一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

レクチャーQ&A 時間をかけてでも確実に伸びるトレーニングをめざせ 412

レクチャー

 

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レクチャーQA

レクチャー  時間をかけてでも確実に伸びるトレーニングをめざせ 412

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レクチャー Q&A

 

Q:ヴォーカリストとアーティストについて教えてください。

A:歌というのは変身願望を満たし、日常から自由になれるものです。

そういう時空を歌でつくるのが、ヴォーカリス卜でしょうか。

日常を自由にする精神をもつのが、アーティストのように思います。

私自身、日常が期せずしてドラマ化しているので、これ以上、舞台に上がる必要を感じないのです。私のいるところが舞台となります。

現実は舞台よりもドラマチックなものですから。

 

 

Q:頭ではわかるのですが、声が身についてきません。とうしてでしょう。

A:土台、身体が違うのです。何回かに一度、できた感じがしても、それが必然にならなくては、声は輝いてきません。

条件が備わり、完全にコントロールできてこそ、技術です。

 百発百中できるようになるには、人並み離れた体と耳(判断力)が必要なのです。

その差がわかろうがわかるまいが、モクモクと続けるしかないのです。

すぐれたヴォーカリストたちから、本当に大切なことが学べていないと、できているかどうかの差もわからないものです。

 

真実は自らの体の中心にあり、誰もが、純粋になれたときに感じています。

しかし、それを取り出して提示することは、技術がないとできないのです。

そのためには、それをつかむだけでなく、歌一曲、いやステージにいる間中、

それを離さずにいなくてはいけないのです。

その集中力や技術が伴ってはじめて、あなたの歌に魂が宿るのです。

あなたには魂がありますが、歌には魂がまだ宿っていないのです。

すべてのものが自分の体の中心で一つになり(求心)そして、解放(放心)されるのです。

 

それができている人は、顔つき、そして、雰囲気からもわかります。

多くの人はほとんど、それをつかまずに歌っています。

歌の表面上だけ、薄っぺらな真実もどきを技術らしきもので補っているのです。

 

よく声と音楽に耳を傾けてください。

不安なのは、本物でないからです。

人の目ばかりを気にして、自分の心を見つめていないからです。



Q:もっと簡単に歌えるようにならないでしょうか。

A:ヴォーカリストは、声ではない、ステージだといっている人がいます。

人によってスタイルも違うし、正しいとか間違ったというものでないという人もいます。

否定はしませんが、これでは、カラオケで歌っている人も、一流のヴォーカリストも、同じ歌だといっているようなものです。

考え方は、それぞれでよいのですが、もしそうなら、トレーニングなどしないで、今日から歌っていればよいのです。

 

スポーツでいうと、トレーニングや練習なしでも、試合を毎日、繰り返していれば、力がつくというようなものです。もちろん、なかにはそういう人もいるでしょう。歌では、ステージ経験だけでプロとなった人もたくさんいます。

 

ヴォーカルは、総合力です。楽器の人などに比べ、技術よりも華(個性、精神力、立ち振るまい、雰囲気)がものをいいます。それがある人は失敗しません。すでに表現者としてステージに立っているからです。

ところが、こういう人は、ごくわずかなのです。

多くの人は、人並み以上にトレーニングして確かなものを身につけていかなくては、人並み以上になれません。

レーニングをしっかりとしていくと、

そこで自分も自分のスタイルもそれを支える精神的なもの、

アーティストシップも、身についてきます。

それによって華を得ていくのです。

 

それにはまず、鬼がその人に住むことが必要です。

華は、その場限り、鬼は、将来性です。

 

しっかりとトレーニングを持続してきた人は、身体も息も声も違います。

そこを判断できないと、あなた自身も伸びません。

 

歌は、簡単に歌えるのです。だから難しいのです。

簡単で終わってしまっては、様にならないのです。

 

あなたがそこに立つだけで何かが発してくるくらいのものを、歌や声を通じて身につけておくことです。すると、それは、みせかけでなく、本当の華となります。

それこそ、あなた自身のつかみとってきたあなたの個性だからです。

 

私は見せかけの才能よりも努力の末、培われ現れた才能を評価したいと思っています。

そこに心が動かされるからです。

それは、レッスンでも稀有のことですが、ときおり垣間見られることがあるのです。

                                                

 

 

 

レクチャー2

「時間をかけてでも確実に伸びるトレーニングをめざせ」

 

レーニングの成果について、最初は一喜一憂している人が多いのですが、だめだったとか、よかったとかあんまり考えても仕方がなくて、とにかくやるしかないという時期があります。

そして、ある程度できるようになってきたら、今のがよかったのか悪かったのかの判断がしぜんとついてきます。頭で考えるわけではないのです。

 

今までしっかりと声を聞いていなかった人は、自分がどのように出しているかフィードバックしてみることは大切でしょう。自分がやっていることとお客さんが受けとめることが全然違っていたら、コミュニケーションである歌は、成り立たないです。

 

声というのは、使ったら使ったなりに使いやすくなります。

問うべきことは、それで毎日ステージをするようなことが、

何年も続いたときに、本当に対応できる強さがあるかということです。

続けることによって、より強くなるかということでは、

ほとんどの場合は、のどに負担がきてしまいます。

これは使い方が悪いため、正しく使えるだけのトレーニングをしていないからです。

 

特にレベルが高くなってきて、完成されたステージを目指すほど、

本当の声から逃げてしまわざるを得なくなる場合がほとんどです。

次の日に声がでにくくなるようなことがあるとしたら、

最初からトレーニングがまだ軌道にのっていないという判断が必要です。



レーニングを本格的にやろうとすればするはど、歌うことはネックになります。

レーニングの基本的な考え方は、トレーニングをしているときだけがトレーニングではなくて、24時間の中でどれだけトレーニングの状態を体として維持するかということです。

大切なことは、ある期間、24時間、ヴォーカリス卜の意識、声に関する意識をもてるかどうかでしょう。歌える状態に24時間いるということです。

それが、なかなか普通にはできないのです。

 

本当にうまく歌えるのなら、くる必要はないのです。

歌えていないことをどう知っていくか、

そこから、いろんな問題があり、基本ができていないことがわかるのです。

 

今日のためにやるのか、それとも明日をめざしてやるのかで、トレーニングのスタンスが違います。

今日、歌うのに、声のことを考えても仕方がないのです。

 

その人が、どこを到点にしているかで違ってきます。

3カ月でつくるトレーニングと、3年かけるトレーニングとは全く違ってきます。

基準の高いところをめざしたほうが、伸びるわけです。



実力をつけるためには、常に評価する力が前もって、伸びていくことです。

声は自信さえもてば誰でもけっこう出るのです。

歌は「自分は歌って感動させられる」と絶対的な自信を持っていたら、それなりに伝わるのです。

声も同じようなところがあって、かなり気分に影響される部分があります。

精神的なことで声が出なくなるということは、器質的には因果関係はないのです。

 

結局、トレーニングに関していうならば、楽観的に捉えていくというのが基本です。

「何をいわれてもあんまり関係ない」というところも持っていたほうがよいでしょう。

レッスンをしたあとに記録して、声の状態を確秘する作業を、必ず、しておくとよいと思います。

 

自分でヴォイストレーニングの教材もマニュアルもつくっていってください。

ここにいくらマニュアルがあっても、全部、そのまま習い受けるものではないです。

ここにあるのは、ーつの標準パターンの基本です。自分で見つけていってください。

 

声の部分に聞してのノウハウは、確かにあるのですが、

アーティストの部分、歌の部分というのは、

ここに散らばっている材料を自分で再構成する力です。

それも一つの才能だと思います。それも身につけていってほしいと思います。




体と声と呼吸を統一する

 

呼吸法の問題というのは、いつも大きなテーマになります。

まず姿勢があり、呼吸法があり、発声があり、そして歌になります。

この間に音楽の三要素の音程、リズム、ことばが入ります。

しかし、結局は、その人の歌ができたときの姿勢なり、呼吸なり、それが正しいという見方をするしかないのです。

歌や声に結びつかない腹式呼吸をいくらやっても意味がありません。

カラオケに限らず、歌でも一般的に早く歌いこなしたいなら、腹式呼吸など考えないほうがよいくらいです。

 

本当のことをいうと、音程やリズ厶が完璧でないといけないかというと、そんなこともありません。コンピュュータではないので、正確であれば歌として優れているわけではないのです。不快でなければよいくらいのものです。

 

魅力的な歌として感じさせるのは、正しい音程とリズムとは違うところにあるのです。いわば、声のなかにある音やリズムの感覚といった方がよいでしょう。そこは、正解があってないような世界なのです。

 

ヴォーカリストの世界は、その人が満足するところまで歌えるなら、よいわけです。

これが絶対的な条件としてあるのです。

どこまでいきたいかというのは、当人がみていればよいのです。

その当人が、声に対してもみえないし、歌のスタイルについてもみえていないから困るのです。明確な目標や目的があるからこそ、伝えるべきものがわかり、レッスンが決まってきます。そこで、夢を実現していけるのです。



スポーツや芸事に馴染んだことのある人なら、体で入るということが、少しはわかるでしょう。声も、同じように体をつけて呼吸を覚えていくのです。

話や本は、形ですから、現場から盗んでいってください。

参考になるのは、話の内容よりも、他の人やトレーナー、それをみて「ああいうふうに声が出ている」と感じるのが、大切なことです。

それだけでは、難しいから、私やトレーナー、参加者のことばでのフォローをしているのです。ことばにとらわれすぎるのは、本末転倒ですが、ヒントになることもあります。☆

 

すぐには、そうならないけれど、トレーニングした結果として、そういった感覚になるのだろうと見ていくしかないということです。

レーニングのメニューはいろいろあります。

 

ブログや本にもメニューを出していますが、

「どのメニューやれば上達するのか」

「どういう順番がよいのか」というのでは、ありません。



ヴォイストレーナーの資格は、今の声と将来の声をきちんと組み立てる能力があるかどうかです。今、ベストで出る声と、3年後で出てくる声とは、基本的には違います。

そこを判断できるようになればわかってくるでしょう。

一流のヴォーカリストを見て、才能の差や人種の差とかで片づけてしまうのは、

そこがわからないからです。

 

私は、ヴォイストレーニングで声を身につけるには時間をかけていくしかないとはっきり述べています。時間をとって、トレーニングという以上は、結果を出さないといけません。

レーニングは結果を出すためにやるものです。

そうでなく、伸びた人は才能があった、というのでは、トレーニングそのものの意味がないのです。どのレベルでの判断かにもよりますが。

 

今の音楽スクールでは、そこに通わなくても伸びた人しか伸びていないという結果になっています。なぜ初心者が伸びないかというと、歌を仕上げることと声を出すことを、混同したままにしているからです。

 

きちんと声が出ることは、まず一つの条件です。

そして、どうやって相手に伝えるかという技術の基本を学ぶことです。

本来、ヴォイストレーニングは、ここから始めなくてはいけないわけです。

音程やリズム、高音の共鳴ばかりをやっていても、どうしようもありません。高い音がとれたとかは、どうでもよい話なのです。

 

ヴォイストレーニングの本当の目的は、声域や声量ではないのです。それは副次的な効果です。大切なことは、声を魅力的にして、そのコントロールすることです。☆

そのために声を統一することです。自分でコントロールできる声にしていくということです。

 

感情を伝えようとしたときに、発声などを考えなくても、それを伝えるのに最もふさわしい声が出ていて体からきちんと表現できるかということです。

そして、自分自身か自分にとって最良のヴォイストレーナーにならなければいけないのです。

 

大切なのは、体と耳での判断力です。

本当の意味で声を考えたときに、あるいは声を伸ばしていこうとしたときに、どう判断して整えた方が伸びるかということを知ることです。自分が声をよくしていきたいと思ったときに、考えた方がよいことをたくさん学んでくださいということです。

 

歌というのは、本来、国境がないものです。ことばの部分を超越して伝わらないとおかしいわけです。ことばで言った方がよければ、話していた方か早いわけです。

感性や表現をヴォーカリストは、声の表現力で肩代わりします。

いかにも、トレーニング中の発声や技術が、前に出てはいけないのです。

体と一体になり、声が飛んでいく、そこで何かが表現されているか問われます。

 

 

ナンバー2はいらない、それがアーティストの世界です。その人独自のスタイルになっていないといけないのです。

頭で考えたり計算してやるようなことは全部、見透かされてしまいます。新鮮や感動みたいなものか、全部壊れてしまいます。

 

カラオケのうまい人と、プロとの一番の違いは、常に器の中でギリギリで勝負できているかどうかです。自分の中にある音声イメージを、どう伝えるかというようなことを常に問うていかないといけないです。

 

1オクターブぐらいで音程やリズムを間違えず歌っていて、それで伝わらなければ、細かいところを直すより、根本のところが間返っていると考えた方がよいときもあります。つまり、声の出し方と声の使い方にほとんどの問題があります。

 

声を正しく使うには、鍛えていくことです。それは声を出す楽器、つまり体から麥えていくのですから、トレーニングしなくてはなりません。

 

ヴォーカリストの埸合は、まず耳をもたなくてはなりません。声について、何が正しくて、何が正しくないのか判断できるようになることです。判断ができないから、うまい人とのギャップもわからないのです。一つの基本を徹底してつきつめないからトレーニングもうまくいかないのです。

 

声に関心をもつことです。トレーニングを一日も欠かさずやってください。(毎日あたりまえのことをあたりまえにやったら、)伸びないはずはないのです。効果が出るのかあたりまえです。効果がでないなら、どこかおかしいと恩わなければいけないのです。

 

ヴォーカリストは人を魅了し、感助させられないのであれば、その資格はありません。

誰でも歌えるような現状で、歌おうなどと考えて、他の人の時間を奪うべきではないし、人の前に立つべきではないと考えます。

 

人間が何であれ大きなことをやろうとしたら、体が必要になります。大きな歌い方をしようとしたら、やはり体を使います。

最初にフォームをつくるためには、野球のバッターなら素振りをしないといけません。体は部分的にある程度、えていった方がよいです。腹式呼吸もその過程でやった方がよいでしょう。

 

身体という器は、先につくらないといけません。スケールや大きさは、先に小さくまとめてしまうと直しようがなくなります。

腰を意識して声を出すことです。強く、弱く、高く、低くとすべて、体を使います。日常的なことをやっていることよりも、当然、体を使います。

 

ポピュラーに関しては、声そのものが統一できていて、それを体でコントロールできることが第一条件です。体を意讖しないで、感情を声で伝えようとしたときに、そこに身体がついているというような感じが必要です。

 

声を体でコントロールしていると、深い息が出ます。深い息で声を統一していくのです。まずは三つの要素、ことば、高さ、メロディを統一します。1~2フレーズだけでも歌ってみて、しっかりと統一できた上で歌になるかをチェックしてみましょう。



レーニングでは、体を使って発声をすることを徹底して行いましょう。器をつくっていきましょう。声量にしろ、声域にしろ、できるだけ大きくしておくことです。

 

低音は、日本人は苦手ですが、太さがとれない人が多いです。ヴォイストレーニングは、体を使わないと成長しません。

スタンダードなトレーニングは、ヴォーカリストに足る体に変えていくところにあります。

 

このときに、一つの打開策として、声量のなかに声域が巻き込んでいけるようにするのが、このヴォイストレーニングの特徴です。☆

あくまで、いろんな方法のなかの一つにすぎません。

 

腹式呼吸については、実際の歌になったときに結果として現われるように使っていくことです。息を吐くことと、それを声にして、ことばにすることが一致しなくてはなりません。

 

ポピュラーの世界は、声を完全にコントロールした上で、どのような世界を表現するのかが問われます。

手本がある分には構いませんが、手本のまねでは通じません。勉強は自分の体にあわせなければいけません。体がこなれてくるまで、大したトレーニングもできません。本当に身になるトレー二ングができるまでにも結構、大変なのです。

 

ヴォーカリストとしての自分を変えるヴォイストレーナーになっていくように学んでいくことです。ヴォイストレーナーがついていたら、うまくなるわけではありません。

自分で最後まで判断できるようにならないといけません。

 

日本人は声の基準が甘く音が届けばよいと思っています。しかし、そのことは表現できていることとは関係ないのです。

 

自宅でのトレーニングは、欠かさずにやりましょう。たえず、息を深く吐くことです。

柔軟と息吐きは、毎日やってください。

 

声は、声帯を使うのをこわごわとやっていると、かえって変なくせをつけてしまうことがあります。息のトレーニングは、どこでもできます。

ときどき声を出してチェックしてみてください。ことばをしっかり伝えるようにやると、効果があります。

 

自分の声は、自分では聞けないので、他の人の声を判断するところから始めるとよいでしょう。ともかく、やってほしいことは、一流のものをたくさんみること、声を体で捉えること、体で声を使えるようにすることです。

 

朝起きたら体を柔軟にして、深く息を吐いてみましょう。そうやって体をつくっておけば、一日中、声も楽にでますし、ヴォーカリストの体に近づいていけます。それが最も大切なことです。

 

最初はトレーニングをしても正しいとか間遠っているとかいえるレベルにさえ届いていないのです。だから、行えばよいのです。

このようにして、トレーニングをできる体の条件を身につけて、はじめて本当の声が宿るのです。


練習のときだけが練習ではありません。今の声を、たえず、ベストにしていくことです。

レーニングについては、高いレベルのできないことはやらないことです。

単なことでよいから、確実にできることを一所懸命に続けることです。

それがトレーニングでの秘訣です。