ロック音楽と接する
あなたの大事な一曲の歌のことを、あなたが音楽に取り組むきっかけとなった一曲を考えてみてください。
それは日本、もしくは、外国人のミュージシャンやヴォーカリストだったりするでしょう。
エスニックや伝統音楽のこともあるでしょう。
公園でボーッとしているとに耳から入ってくる音の全てを総合して、自然に音楽を感じた人もいるでしょう。人によって、環境や条件よって、人を引きつける音楽は、様々です。
ここでは、ロックという名で呼ばれている音楽について論じてみます。
その中でまったく新種のものというのは、ありません。大半のものは、その一昔前の音楽につながっています。時代から時代へ、前のものを受け継いで、次へ流れているのです。
たとえば、3コードの展開はロックの時代の流れの本流として、今も流れているものですが。3コード、長髪、ワイルドなステージングなどは、伝統的なものです。
自分のお気に入りのミュージシャンが影響をうけたミュージシャンを辿っていくと、そこには一つの大きな時代とジャンルを見ることができます。
ロックの大きなルーツはロックンロールです。
現在のロックも、ほとんど50年代に始まったロックンロールが源流です。
一般に歴史を紐解けば、55年の夏、それ以前の様々な音楽とそのスタイルが交ぜこぜこなって、ロックンロール(DJのアラン・フリード氏が若者向けのステージショウ実況司会の席で最初にロックンロールという言葉を使い、以後、それがこの手の音楽の名称となって今日まで認知されている〉となりました・
R&Rはそれまであった大人のムードミュージック(テンポのゆっくりしたダンスミュージック〉にはないアッフテンポで、当時のR&Bよりもメロディーの変化に富み、いわゆるダイレクトでパンチの効いた、イカスものでした。ほんの短い間ティーン・エイジャーを中心に、帰発的ヒットとなりました。これを間いた大人達は、目をつりあげて子供を咎めたといいます。
当時はR&B、コンボスタイルのジャンプ・ジャイブブルースやジャズ、アコースティックな戦後カントリーブルース、C&Wなどの音楽が、それぞれ混ざり合い溶け合う、まさに寄せ集めの音楽で、得体の知れない突拍子のないものだったようです。
それ以後のシャウター(ギター、ベース、ドラムといったシンプルなバンドスタイルに、メリスマ唱法を多様に用いた歌い回しを主とする表現〉が典型的な3コード進行の中で(また当時のR&Bは47年ごろから続いた型のマンネリズムから抜け出せず、嫌気がさしていた〉扱っていた音楽を元に、テンポアップした分、リズムとインパクトの強い、ノリを効かせたハードな音楽となって、まったく新しい音楽爵として蘇り、当時の若者に熱烈な支持を得ました。
1955年のヒットチャートを振り返ると、55年の初夏を境に、ムーディな大人向けの静かな曲や、ゆるやかなメロディーのインストルメンタルしかなかった音楽から、ラジオからポップに飛び出るようなアップテンポの音楽にするのが面白いです。それこそ新しい時代の幕開けでした。かくしてC&W、ジャズ、ブルースなどをベースにもったロックンロールは、若者に圧倒的な支持をもって、55年夏に爆発的に始まったのです。
しかし、凄い勢いであったためにその終わりも早かったのです。それは新しい時代とその音楽の起爆剤だったのかもしれません。58年のエルビスの入隊、ドイツ駐屯あたりからその勢いは下降線を辿ります。
ちなみにその頃は、ソウルの台頭、ブラック・コンテンポラリーなどが始まり、その後R&Rがバトンを渡したかのように、オールディーズ全盛の時代がやってさます。
ポップス・ゴールデン・エイジ(黄金時代)1956〜62年のことです。もしR&Rとオールディーズの金曲を我がものにできる人物が表れれば、それはすなわちポビュラー音楽の統師者と言えるでしょう。
ポピュラー音楽を自分なりにとらえる
あなたのお気に入りの一曲を挙げてください。それが日本の曲だろうが、アメリカンポッフスだろうが構いません。その曲はお気に入りだから、いろいろなときにいろいろなところで聞こえるはすです。毎日、さまざまな場所(自分の部屋、公園、電車の中etc)で間いてください。そして時間をとって、自分の部屋で通当にブレイクしながら、何度となく聞き込んでください。
その一曲は、そらで全部歌えるようになるでしょう。友人に聞かせるぐらいはできるでしょう。鼻歌でもよいから間かせてみてください。
次は、その一曲が入っているアルバ厶に手を出すことです。あなたのお気に入りの一曲を歌っている歌手のアルバムなのですから、全部、聞けるはずです。
一枚聞き終わったとき、あなたがどこまでそのアルバ厶に感動し、心揺り動かされたかが、次へ進む大きなステップになります。
アルバムが10枚市販されているなら、次はその10枚を一つ一つ買っていってください。そして1枚1枚のアルバ厶の感動と興奮を味わってください。アルバムを消化しているうちにアイディアが生まれてきます。
アルバ厶について、自分なりの評価をしてみましょう。アルバ厶やバージョンの違いにより、そミュージシャンがとった音楽的プロセスを自分なりに知ることができます。
音楽全体への憧れと希望は、あなたの頭いっぱいに広がり始めます。自分の思うように次から次へと間き込み、歌い込みの世界に没頭できるようになれるでしょう。
お気に入りの一曲をつきつめて行くと、すでにそのミュージシャンの全ての曲、すべてのライブ、出演情報に、あなたは無関心ではいられなくなるでしょう。
すでに他のアーティストのものも間き始めているでしょうから、自分の耳で持っている音楽は、かなりたまってくると思うのです。そうしたら、お気に入りの一曲から、その音楽のルーツを辿る音楽の旅にでかけましょう。
お気に入りのミュージシャン自身のことを調べましょう。ミュージシャンの経歴や私生活を調べたりするうちに、そのミュージシャンが影響をうけたアーティス卜を知ることになるでしょう。
同時に、そのミュージシャンと同じジャンルのアーティストも浮かび上がってくるでしょうから、そのミュージシャンに影響を与えたミュージシャンのCDも聞いてみましょう。
そこが、ミュージックライフの分かれ目になります。そのとき、さらに強く感動と興奮を知るかどうかなのです。そこでより凄い感動、影響を得たなら、そちらの音楽に衣替えすればよいのです。
何も得られなかった人は、別に優れたミュージシャンとされる人の歌やライブを見たり聞いたりしてください。
80年代から日本には大物ミュージシャンが次々とやって来ては演奏をしており、日本が大好きだという外国人ミュージシャンも多数いるのです。
これを繰り返してゆけば、ルーツに辿りつきます。
ロックであればロックンロール、ポップスであれはオールディーズといった具合です。
自分のお気入りの一曲からそのルーツに辿るまでに1~2年かければ(音楽が好きならさほど長いものではありません〉、一つの音楽の流れを知っていることになります。そこでの知識と経験がこれからのあなたのミュージックライフを豊かなものにしてくれます。
そこまでくれば、自分だけが持っている音楽を深めていけばいいのではないでしょうか。すなわち、そこにトレーニングの必要性を強く自覚することができるようになります。
いつもどこでも心の中に音楽があり、自分自身と絡めて離れない存在になっている。
それが音楽に近づく最高のスタイルの一つなのです・
「音楽が好き。できればー生続けて行きたい。体の底から思いっきりシャウトしている外国人ヴォーカルに憧れて、自分も歌ってみたくなった」
「中学の時はコーラス部だった。県大会で準優勝した。今でもカラオケで腕をふるっているが、4曲も歌うと喉がかれて声が出なくなる。ヴォイストレーニングで良くなりますか」
など、いらっしゃる動機は、それぞれです。
トレーニングをしようと、それはよいことです。ただ、時間のかかることなので、焦らず着実に力を付けていける方法を自分なりに覚えていってください。
トレーニング、レッスンを受けるための準備
自分の音楽帳をつくります。そこに自分の好きな音楽を整理して書き、聞いた順に揃えてまとめていきます。さらに好きなミュージシャン、好きな曲、やりたい曲、バンドの経緯について、楽器をやった経緯について、自分の目指す音楽について、トレーニング及びレッスンで自分は何を求め、何をトレーニングするのかを、あらかじめノートに書いてまとめておくのです。
これが、あなたがレッスンや卜レーニングで悩んだり、迷ったりしたときに役に立ちます。
初心を握り返ってみるのです。そこで自分の努力が足りなかった点を見直そうと懸命になってください。
壁を感じたらどうするのか。
壁を感じるのは、それだけ、あなたが努力し、トライを続けている証拠です。レッスンを受けて何もないよりは、ましです。
ある程度の壁であれば、自分のやってきたトレーニングの反省からクリアできるでしょう。どうにも打破できない壁であれば、先生に相談してください。
自分なりに、自分の好きな音楽の全体的な眺めを鳥瞰する図を書いてみてください。
ロックの系統図をつくるには、それなりの知識が必要です。
CDを聴く、昔のポップスを本やCDで学ぶなど、やりやすいところから始めましょう。
これだけのことでも、つきつめればかなり知識は増え、ポップスを判別することができるようになってきます。
それなしでトレーニングに入れば、迷ったり困ったとき、自分でどうしたらいいかわかりません。
音楽やトレーニングに深入りする前に、浅くてもいいから一通り、通すべきです。
お風呂埸で歌っていたのが、パーティーの席、学校の文化祭のライブとなり、ライブハウスとなり、プロダクション紹介ライブとなっていきます。そのうちレコーディングも経験したり、バンドとなり、その分裂や解散なども経験するかもしれません。
そうした経験があればあるほど、音楽を続ける上での自分の指針に変わります。それらを経て自分が深めるところを絞っていけるのではないでしょうか。
そこに集中、一点専念するしかありません。
だからこそ貯めてきた力が、一気に出て、集中しやすいのです。
包丁も日頃、研いでおかないと切れません。音楽へのチャレンジも同じことが言えます。
ポップスを有効に教わるために
自分が熱心に追い求められるアーティストのCDを聴き、ステージで出会う。
出会ったミュージシャンのCDを全て買う。聞き込む。歌詞を見ながら、聞く。
歌ってみる。バンドを組んで、演奏を試みる。
そのミュージシャンが影響を受けたとされるミュージシャンのCDを聞いてみる。
広く浅く、金体的なポップスの流れ、60年代後半~90年頃までを本や、CDオムニバスなどで自分なりに勉強する。
一番したいこと、Vo/G/Dr/B/etc・を決めて、トライすること。
才能の有無、向き不向きを口にする前に、できることをやる。
(ヴォーカルでなくてもよい。作曲とか作詞をしたり、友人のバンドのディレクターをやったり、音楽に関することなら何でもよい。そこで自分が熱中できるものを探す)。
悩んだり、迷ったら、お気に入りの1曲に戻ってみる。
→聞き込む→感動を新たにする→そこで何かが起きる。
レッスンやトレーニングで壁に当たったら、その状況を紙に全部書いて先生に見てもらう(カウンセリング)・
どうしようもなく大さな壁に当たったら、聴くことを、再び、ミュージックライフの中心に置いてみる。
スタジオを借りて、そこでヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、なんでもいいから、思いのままに演奏を楽しむ、発散する。1時間の反省とともに、何かが心に残るでしょう。
それがあなたの今後の課題になっていくでしょう。
これらを悲観的に見るか、楽観視するかはあなたしだいです。
一番大切なことは、ロック、ポピュラー音楽の言葉では言い尽くせない感覚の興奮を、自分なりに得ていることなのです。
有名なポップスのアーティストにも、独学でプロになって、ラッキーにもレコードの好セールスをあげたミュージシャンは数多いです。それらのミュージシャンは個性を強く持っており、自分なりの音楽を持っていることで共通しています。
鍵となるのは、音楽を自分自身と切っても切り放せない存在にしておけるかです。
さらなるトレーニングで力をつけること以前に、自分と音楽との関係をいかに持つかが、最大の力となって、あなたの夢に近づけてくれるでしょう。
音楽は広く、そして多様です。いろいろな音楽をこなせる力も、作詞作曲、演奏でさるミュージシャンも、内なる力に呼び覚まさせられ、音楽に仕え、日々奏で机けているのです。
音楽を追い求めるあまり、自分の内なる世界と世の中のバランスがうまくとれず、悶え苦しむ中にも、あなたの音楽が眠っていて、今か今かとその解放を待ち望んでいます。壁を壊してくれるのを待っているのが、私には聞こえます。
ポピュラー音楽を演奏するために
一番やりたいことを決める。(Vo、G、LG、B、Dr、Pf、Pc、etc・/裏方、宣伝、マネージメント)
それ一本に取り組み、そこで得られる経験を積む。
経験から得られた知識を生かして、トレーニングの必姜性を知る。
ヴォーカルの埸合は、これだと思うヴォイストレーナー、先生について習う。
自分にとって最高の一枚だと思うCDをセレクトし、詩を書さ出してみる。
詩に自分がどう歌うかを注釈的に書さ添える。自分の感情表现、
オリジナリティをどうつけるか考える。
CD1枚分、全曲トライしてみる。
歌ったものをカセットで録音して、聴いてみる。
フロの歌と自分の歌では、どこがどのように違うかを、項目ごとに分けて書いて整理する。
・歌の世界
・感情表现
・メリハリのつけ方
・フレージング
・声
・シャウト
・声の出ないところ
・歌った感想
例:のどが枯れて声が出なくなった。3曲目から、枯れ声、だみ声で歌うことになった。1曲目の息の流れが、3曲目で半分になった。汗をかいたわりには、体からシャウ卜することがでさていない。テープの声は変な声でいやになった。一番自信のあった曲も、全然;牙えなかった。
その不足していた点(自分に何がなくて歌えなかったのか〉について整理する。
・オリジナリティーの差
・袤現
・声の使い方
・聞かせ方の差
・フレーズ
・音程のズレ
・音をキープできなかった理由
自分の足りなかったところ、なかった点をまとめて先生に提出する。
以上のセクションの中では、自分の足りなかった点について、整理ができます。
ここまではっきりさせたのだから、後はその不足点、無い点をうめる努力を図る段取りをします。不足点を埋めるべく、レッスンやトレーニングに集中できるように、その設定をしっかりさせておくとよいでしょう。
足らないのは、おそらくは、根本的な問題でしょう。
発声の姿勢、呼吸、体と息と声の結びつき、結びつけるポイント、体の支えとバランス、体の深いところからどのくらい息が吐けるかなどに注意して、トレーニングをしましょう。
基本的なことなので、かなりの時間を要します。そして、体でコントロールできる息の流れ、フレージングのトレーニングをしてください。
いずれも声を扱う上での基本のレッスンやトレーニングであり、その習得までには時間と忍耐が必要となります。
自分に合ったトレーニングをつかんだら、一日5分でよいので、365日集中した5分を送ってください。