一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

課題曲レッスン   283

課題曲レッスン

レッスンフレーズ

「モンデュウ(私の神様)」「愛は君のよう」「オーシャンゼリゼ

 

レッスンフレーズ

 

(1)ただひとりの女のことばに命かけた(ドファミファソラ、ドラミファソラ、ラソソソソソ)

 

(2)アーア(ドシド)

 

(3)私は知っている(ドレドミ、ミファソファード)

 

(4)この手につよくつよく(レミミレミレド)

 

(5)よあけの先に(ドソソソソファミファ)

 

(6)ラララララララララ

 

(7)やめてやめて(ラドファラドソ)

 

(8)とおく離れても(レファミレファソソ)

 

(9)どんなに(ソソド)

 

(10)ゆきはふる(レミファミレ)

 

(11)いのちかけていうまでも(ドレミドレミドレミミド)

 

(12)なんてあおいひとみ(ソファソファミファミレミ)

 

 

 

「モンデュウ(私の神様)」

 

 「かみさまー」が、神様でなく、おカミさまとなるとまずい。

「まあー」という伸ばし方も流れを一つの息の中でコントロールしてくこと。

これと同じレベルでできれば世界的に歴史に残る人になれます。エディット・ピアフのセンスを感覚的に覚えていってほしいと思います。

 

 こういったフレーズに日本号はとてもつけにくいのですが。

「身も心もあなたにーゆだねたいのこうして」

「身もー」までのばすのはたいへんですが、トライしてください。

 

 全体の流れを本物を聞いてポジションも含めて捉えていってください。

 最後のフレーズがちょっと違いますけど「あなたに」で盛り上がらないと、歌になりませんね。

 

フレーズの流れをうまくつくってください。「身も~こうして」まで、直接、外に叫び切るようにして、二つのフレーズで入れてください。フレーズにのっかるのはよいのですが、ことばはきれを鋭くうたうことです。

 

「モンデュウ」のところはおさえて、「あなたの」「あいが」のところもそうでしょう。「あなたは私の神様」のところはだらだらとうたっていません。「身も心も」のところも色気はださなくても身も心も思いきりだして体で捉えておかないと「ゆだねたいのこうして」とおとすときに入っていけなくなります。

 

ほとんど変化のないところだから発声できるのはあたりまであって、それよりも発声の中のフレーズをきちんともつこと、ことばを処理することが大切です。そのままストレートに入ってみましょう。

 最後は転調してあがりますが、基本的に1番と同じです。

 

「私の生きがいなの 身も心もあなたに ゆだねたいのこうして」

 流れがとれてきたらフレーズを大きくしていってください。

 

「身も~あなたに」でワンフレーズに、あるいは4フレーズで1フレーズぐらいに捉えていってください。

 声を感情をなるべく一致させて線を1つにしておくことです。

そのそろえた線の中に「身も心も」と何かふんばって入れ込んでいかないとただ声がみえるだけで感情がみえません。

 

 「あなたのあいが私の生きがいなの 身も心もあなたに ゆだねたいの こうしてモンデュ」

(ドドドド♯ド♯レ レミファファレミファファ ラ(ララ)シ♭ラララシ♭ララ ソソソラソソ レミファソ ドドド ド♯ド♯レ)

 

 

 

「愛は君のよう」

 

 「愛は君のよう」という曲です。アダモが歌っています。日本では人気があり、毎年来ています。

声自体はよくないのですが、日本ではシャンソンの中で一分野つくっている人です。

高音域にもけっこう高いです。このうたもそんなにがんばっているように聞こえないのですが上のFシャープぐらいまであります。

 日本のニューミュージックの人たちのハイトーンと違う音質をもっています。

 

「手をさしのべた ぼくの愛は」

(レレレレソレレ レレシレファ#ミミ)

 

「ぼくのあいは」は「あーいは」にしてもいいし、「あいーは」にしてもよいでしょう。日本語とフランス語とがなかなかうまくあわないのと1番と2番の歌詞のつけ方が違うようになっていますが、歌い手の場合、ふつうは同じようにうたいます。

 

好きなように「あいーは」の「い」で上げるのが難しければ「あーいは」とやってもよいでしょう。「い」から「は」にいくとき、「は」に入るところが乱れやすいようです。実際はサビにあたりますから、もっとキーを上げてもよいでしょう。

 

 

「じっと君を みてるだけなんだ」

(ミミミラミミ ミミドミソファ#ミレ)

 

こういう曲をやるときは最後から(ソファ#ミレ だけなんだ)始めた方がよいですね。出だしがうまくのりやすくなります。最後はゆっくり保っています。楽譜でみるとここが四分音符になっててあとは全部三連ですすむ感覚です。

 

後半は簡単ですが、前半に乱れないように気をつけてください。少々フレーズが長くなったからといって、一度できたレベルで保てなくてはなにもなりません。歌詞からわかる通り、恋のうたなんですから、きちっと言い切りながらもフレーズを保っていくことです。

 

ことばが保てないと「きっときみをみてる」なんで言い切れません。最後もそういう雰囲気の中で体でしっかりと保っておかなくてはいけません。

「手をさしのべた」あたりはストレートにやる方がよいのでしょうが、「きっと君をみてる」ところなどはあんまり強くいうものでもないかもしれません。

「ぼくの愛は」のところが難しいですね。流れの中でやってください。

 

 

「恋を知らないまま トワ(toi) 夢をもとめて』

(ミミミミミミドミファ# ソソ ソソラソファ#ミ#)

 

「君は何処へ行くの」

(ファ#ミミミファ#ソファ#ミレ)

 

「恋を知らないまま トワ 夢をもとめて」がきちっと1フレーズ入ってるかどうか「夢をもとめて」がはみだしてきかずきちっとことばをつかみことばが流れていかないようにすること、メリハリをつけることです。1本通して、1フレ—ズを大きくもつこと、フレーズの中で自分の表現をきっちりうたうということ、そして、その中で体をつくっていくことです。これを常に気をつけていてください。

 

 

「アドロ」との違いはことばをきちっとつかまえているかどうかということ、フレーズがいくら長くなっても(かなり長くなっています)ということです。みんなが同じフレーズをやっても半分くらいの長さにしないともたないようです。それでもかなり言い切ってます。言い切ってるけど、のばしてます。その違いに気づいてください。

 

 

「オーシャンゼリゼ

(オー/シャンゼリーゼェオー/シャンゼリゼェ)と同じく「こいを/知らないままトワ/ゆめをもとめて君は/」というふうにフレーズの練習をするときにずらしていくようにしてみるとよいでしょう。

 

「こいを/しらないまま/トワ/ゆめをもとめて」という切り方をしているとフレーズがもっていきにくくなっていきます。「しらないままトワ」まで入ってれば「夢をもとめて」の次に「君は」にひとりでにおちるのです。

 

聞かせどころを「もとめて」「ままトワ」「知らないまま」のあたりにニヶ所くらいおくとよいでしょう。そこだけ聞かせられればよいと思ってください。最初から全部聞かせようとすると、まずダメでしょう。そうして全体的に調整していってください。

 

アダモとの差は「まま」から「トワ」の狭い範囲で華をみせるとでも言うのでしょうか。さらに盛り上げ新しい展開をみせているという点にあります。いれるべきところに力を入れコントロールはしているのですが、流れた流れをへたに動かしていくことまで、できていないわけです。

 

この歌のうたい方は体を動かして声の線をきちっとつくっておいてそこから調整していくことです。へたに線がでるまでは頭で考えない方がいいでしょう。

 

「恋を〜どこへ行くの さしのべた僕の愛はじっと君を見てるだけなんだ」

 今は少しオリジナリティのところの勉強に入ってきてます。本当に声を充分に活かし切って表現すると、オリジナリティがのぞいてくるのです。

 

 自分でやるときは、ことばの練習なのかフレージングの練習なのか体を使う練習なのかそれをわけてやらないと目的が漠然としてしまいます。あまり音楽的処理に入りすぎてもよくありません。

 

いろいろと聞こえてきます。ことばで勝負している人もいれば音楽が聞こえてくるなという人もいます。ただ、今みんなにやってほしいのは声を一00パーセント、体で使い切るということです。オリジナリティをだすのならこういう歌をうたってみて自分がどう処理するかっていうのに気づいていくことです。案外、いいものを誰でも持っています。

 

 ところがこれがステージとかになると。みんな同じように仕上げてしまうわけです。原曲の聞きすぎというよりも、自分を出せずに影響されすぎるわけです。

 

2番の歌詞でやってみましょう。

 

「暗い夜を酔わせるtoi夢みていた愛の影は君さ もう離さない ぼくの指は震えながら君をさぐるtoi」

 

「君さ」で言い切っても、意味は切れすぎないことです。体でうたうこと、息の流れを捉えてうたうこと、ことばをきちっと処理していくこと、その上でリズム、メリハリ、強弱を気をつけてください。一番弱いのがフレージングです。後半になると全部体でまけてしまいます。最初の方に息を使いすぎてコントロールできなくなるからです。

 

それから、ことばの面のメリハリでいうと、強勢が「ぼくの」にくるか「愛は」にくるのかというようなことをこまかい面で感じ分けていくことです。

 

さらに全体としてもどのフレーズが上にくるのかにも気を配ってこまかく組み合わせていくと一つの流れがでてきます。もちろんその前に、体と息でうたいこんでないとそこ作為というのがみえてしまいます。

ひびかせて歌っている人もいますが、ひびかすというのは難しいことです。私はひびいてもよいがひびかすな、伸びてもよいが伸ばすなと注意しています。下手にひびかそうとするよりストレートに言葉で伝えていく方が伝わります。ひびきに逃げすぎるとカラオケの上級者のようになってしまいます。

 

うまい人でも二度と聞きたくない人というのがいますが、そういう人は中途半端に発声が先行してしまっていて、その歌の統一ができてないのです。

 

皆の好きなアーティストはその統一が完全にできているはずです。その技術を身につけることが大切です。この歌もただ高くなれば盛り上がるのではないということです。どうして盛り上げているのかをじっくりと研究していってください。