鏡賞レポート 296
[アマリア・ロドリゲス]
根の強いぶっとい息の線が自由自在にうねっている。適度な枯れ具合がまたいい。
ー曲を聞くともうおなかいっぱいという感じがした。
軽く歌っているようなのに、凄くひびく!曲によっては、下アゴを動かさず、全く下の歯が見えなかった。
喉が開いている。詩が興味深かった。
ポルトガルにこんな素晴らしい歌手がいるとはじめて知った。この人の他の歌(CD)も聞いてみたい。サウンドもすばらしい。
すごい声量を楽に安定して出してるようで、プロとはこういう人のことだなと改めて思った。息が流れていてフレーズもまさにプロ。自由に表現をしていてうらやましかった。
もし自分がこれだけの深さで歌ったら、一曲ももたずに途中で泡ふいてぶったおれるだろう。
声が伸びず(自分自身)。マイクを離している(日本人と違う)。
深い声、息の壁に包まれた声を出すこと。
まだまだ私の知らない立派な人がいっぱいいること。
パワー不足、粗雑、基礎の違い、余裕。
初めの一声を聞いたとたん、びっくりしてしまい、ただただ圧倒されるばかりだった。何ていうのか、とりつかれているかのように歌う彼女の姿には、何も表現できないくらいに、ただただすごいとしか言えなかった。
ジャニスの魅力のすごさにびっくりした。バックのバンドの音がヘビイなのにもかかわらず、よりいっそう輝いていた。リズム感がすばらしく、声を自由にあやつっていてすばらしかった。今の自分では、声にとても良いものだった。
[ビリー・ホリディ]
ビリー・ホリディの生涯がよく分かった。
インタビューを受けている外人の方々の声がすごい。
自分はまだまだ、体ができていない。しゃべるようにしぜんにはできない。
ルイス・アームストロングのとを合わせて、アメリカで黒人がのし上がっていくのは大変だとわかった。
生きて動いているビリー・ホリディを見られて良かった。
声のポイントの大切さ。ことばをきらないこと。
なかなか、アメリカの人は体格がいいのが多い「ヴォーカル」。
今まで、こういう人達を敬遠していたが、これからは、もっと接していくぞ!。
[クラウディオ・ビルラ]
一番素敵だなあと»思いました。「愛の別れ」の中の「ワタシニハ」のワの声のパワーに圧倒されました。また、ただ力強いだけでなく深くひびいていて、空気を切りさいていくような感覚です。
イヴァ・ザ・ニッキも同曲(言語が進いますが)を歌っていますがフレーズのふくらませ方などよく似ていると思うのですが、伝わってくるものは彼の方がすごいと思いました。日本人が日本語でこんなにパワフルに歌っているのを(曲が違っても)問いたことがありません。
[尾崎紀世彦]
小さい頃に聞いた歌の中でその声と歌い方が一番印象に残っている歌手です。その頃から彼の歌は全く聞いていませんでしたが、いま聞いて再び彼の若々しいのびのある声に聞きほれ、そして、歌い方が「気持ちよさそうに歌ってる」と一番強く思いました。
歌の中で特にメリハリのつけ方がすばらしいと思いました。サビの部分とその前の部分の音量差の大き差で歌をすごくドラマチックにしているように思えました。また、声そのものがもの哀しく、何というか彼女の経験、思想が声に出ていると思いました。
[村上進]
曲全体を通しての圧倒的パワーと、中、低音のささやき、高音域、サビの部分での声のひびき、ボリュー厶が大きかったせいか、からのカセットのケースがデッキの上でビリビリ音をたてていました。生で聞いたらもっとすごいんじゃないかと想像に難くないです。
私の歌に比べて、声のパワー、出し方、ひびきが、全然ちがいます。これもヴォーカリストとしての体の違いなのでしょうか。以前、野球の番組で、日本のプロ野球は大リーガーと比べて、技術的なことは同レベルに近づいているが、しかしパワーという点でかなりの差があると解説者が言っていました。
生まれもった体もさることながら、彼らは体力づくりに時間をおしまないということです。ヴォーカリストにも全く同じことがいえると思います。小手先だけのテクニックでは、先が見えていると思います。まず、声のパワー、ひびき、魅力につきると思います。それならぱ、その体づくりから始まると思います。ヴォーカリストとは、人に歌を聞いてもらうもの。
まず聞く人の耳をこちらに向けるためには、声しかありません。その向けさせた耳(心)を話さないために、ハートを投げかけ、スクニックに酔わすものだと思います。
自分のパワーの差をひしひしと感じ、これからのトレーニングに活かしていくつもりです。しかし考えてみれば、今、自分が毎日汗をかいて行なっているトレーニングは、基本的に呼吸やスタカー卜、レガートなどの声を出すことが中心であるヴォイストレーニングであるわけなので、的に的中というわけです。
毎日の努力を欠かさず、少しでもパワーに近づきたいと思うし、絶対に近づけると信じています。