一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

記事 Q &A 特別レッスン案内 15760字  700

記事 Q &A 特別レッスン案内 700

 

 

 

 

■カラオケ

(「女性自身」36011  福島英記事より  あそび)

 

1)音痴判断

1.NHKのど自慢で合格の人とそうでない人が半分以上はあたらない

2.人のことばや歌を同じ高さですぐまねできない 

3.電話で聞き返されたり、聞き返すことが多い

4.息をたくさん吸い込んだり、吐くと苦しい

5.瞬時にものに反応できない

6.英語の強弱アクセントが苦手である ヒアリングが悪い

7.コマーシャルや主題歌(朝の連続ドラマ)を1ヵ月で覚えられない

8.肩が凝りやすい 体が固い

9.ものまね 声帯模写は全くできない

10.楽器で3音弾いて、それを声でまねできない

11.カラオケで知っている歌をキィを急に変えて歌うと、10秒以上、音がはずれる

12.声を出しているときに集中できない 目がキョロキョロする

13.歌うときの姿勢に片寄った力が入っていて、しぜんでない

14.歌うときにしぜんに体が動かない 顔がこわばるのがわかる

15.新曲は、100回以上、聞いて歌わないと音がとれない

16.覚えた歌のフレーズをすぐ忘れてしまう

17.3曲中、2曲は出だしや間奏のあとで入りそこなう

18.同じ歌手が違う歌を歌うと、違う人だと思うことが多い

 

2)日常でのトレーニン

1.音楽に合せ、ひざの屈伸運動をする 跳ぶのも効果的

2.信号やエレベータ待ちのとき、息を吐く

3.寝るまえにあおむけになり、息を吐いたあと、息で歌ってみる

4.湯のみやテーブルなどを叩いて、その音をまねてみる

5.耳に聞こえる音でどれが高く、どれが低いかあててみる

6.もち歌のカラオケ、CDを毎日100回聞く

7.TVのスポーツ試合で残り時間をみながら数える

8.階段を「いちとおにいとおさんとおしいとお」と同じ速さで昇り降りする

9.街を歩きながら聞こえる音楽やリズムに合せ、ももを叩きながら歩く

10.自分のもち歌をオーケストラを指揮するつもりでタクトを振る

11.CDの出だしをかけてすぐにとる 50曲くらい(めんどうならNHKののど自慢で)

12.歌番組のフリつけをまねして踊ってみる

13.バンドをゆるめ、お腹、腰のまわりの筋肉を動かす

14.かかっている違う音楽に合せ、もち歌を口ずさむ

15.もち歌を一人芝居のように演じてみる

 

※軽、中、重度は、身近な人でやってみて、基準をつけてください。

 

 

 

■声帯の病気について

 

 声帯は、気管にあるV字状の筋肉で、のど仏から約1cm下の部分にあり、声帯の筋肉が左右一対に分かれています。

声を出すときは、声帯は閉じており、吐く息で声帯を細かく振動させて音を出します。

 声帯の振動数が増えるほど、声が高くなります。日常的な会話をする場合、男性では毎秒100回、女性では毎秒250回程度、ソプラノ歌手ともなると毎秒1000回以上になります。

 長時間、無理な声で歌うと、声帯の筋肉が内出血を起こし血まめのようなものができます。これが声帯結節になります。ガラガラ声になるのは、これが原因です。

 

 声帯ポリープは、声帯の筋肉にできたキノコに似たイボ状の突起で、これが障害になって声帯がきちんとしまらず、息がもれるのでガラガラ声になったり、のどに異物感を感じるようになるのです。

 声帯ポリープは、声帯の片側にしかできないのですが、声帯結節は、声帯の両側にできます。大きさは、声帯ポリープより小さめで、原因は、声帯の酷使です。

 音声の専門医であれば、声を聞くだけで異常を起こしている声帯の病変が推測できます。診断にあたっては喉頭内視鏡、ストロボやVTRを組み合わせた喉頭検査をします

 

 50歳以上で、かぜや大声をあげた覚えもないのに原因不明のしわがれ声やガラガラ声が2週間以上も続いている方は、喉頭ガンを疑ってください。喉頭ガンの60パーセントは声帯から発生します。

 

 治療の多くは手術が主体で、小さなポリープを切除できる喉頭顕微鏡の普及によって手術は安全確実なものになりました。声帯をモニターテレビで映し出して、声帯酷使と声帯ポリープや声帯結節の因果関係を説明し、手術後の副作用として、一時的な味覚障害、術後も10パーセント以下の再発の可能性があるということです。

 

音声外科の専門医>

防衛医大・北原哲助教授、東大音声研・新美成二教授、

東京専売病院・山口宏也部長、東京都立大塚病院・川井田政弘医長、

藤田保健衛生大・岩田重信教授、京都大・児嶋久剛(ひさよし)助教授、

京都府医大・久育夫(ひさ やすお)講師、

国立大阪病院・牟田弘部長、愛媛大・湯本英二講師、九州大・小宮山荘太郎教授

 

 

 

 

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レッスン

 

 

Q&A   by  福島とトレーナー

 

基本講座 3609023

 

Q1.日常の練習メニューで大切なこと

A1.体を動くように備え、精神的にはモティベーションを高め保つことでしょう。

レーニングの優先順位は、それぞれですが、体、意識に関して高いテンションに維持しておくことはとても重要です。

ハリがなくなるということは、それだけ衰退していくことです。年齢には関係ありません。

感覚を鈍らせないこと。一つのことをやっていると、そのなかに入り込んでしまい、自己満足してしまいがちです。常に気持ちを切り替えつつ、持続していかなければなりません。

レーニングメニュは、その姿勢さえあれば何をやるべきかということはわかるようになると思います。個人差もありますので、一概に何がよいとはいえません。すべての方法が大切というわけでもありませんし、またその人の時期によって、メニュも変わります。メニュは、自分で組み立てていかなければなりません。

 

Q2.正しい声のために、今の声を壊すというのは、どういうことですか。

A2.今の声を壊すといっても、本当に壊したら、声は出なくなります。また、正しい声と今の声が全く違うものだというわけでもありません。

表現するには、表現するに耐えるだけの力のある声が必要だということです。むしろ、そういう感覚の上にのった声が必要だと思ってもらうのがわかりやすいでしょう。

本を読んで、ことばだけで理解しないことです。

すべての内容を覚えて、すべて忘れることです。

体が覚えていて、できることがより確実にできていくようにすることです。

 

Q3.正しい声が出たとき、体を使っているという感覚はわかるのか

A3.正しい声、というより深い声ですが、それが出たときに、体が使われていることは、直感的にわからないといけません。使っているというのは、あくまで、トレーニングのプロセスで、本当に使えているのとは異なります。

そのために、一流の歌を聴き込んでくださいといっています。

また、体を使う感覚がわかろうとわかるまいと、要は出ている声がきちんと作品に耐え得るものであることです。そのとき体はしぜんに使われているはずです。

スポーツのときの超ファインプレーと同じで、反射的にできた、このベストのプレーには、あまり体を使ったという感覚はないはずです。

 

Q4.その歌を歌っている人と同じになってしまうのは、オリジナリティがないからなのか。

A4.歌とはそんなものと考えて、それに合わせてトレーニングするから、そうなってしまうのです。トレーニングの段階ではそれでよい場合もあるのですが、追求すべきものは自分の表現です。

何のために何を歌うのですか。

 

Q5.オリジナリティとは、声や体ができてくればしぜんに出てくるものなのか。

A5.しぜんに出てくるものではありません。オリジナリティは、ある程度、意識的につくっていかないとなりません。オリジナリティとは、いろんな歌を聞き、自分のなかにすべてとり込んだあと、自分ならこう歌う、この歌い方は許せないというところに出てくるものです。

そういう気持ちがない人が、本来、歌で表現する必要はありません。そういう格闘をすることによってオリジナルは生まれるのです。

オリジナルがわからない人は、いろいろな音楽を聴き込んでいくしかありません。一流のすごいものをたくさん聞いていることで、つまらないものを聞いたとき、自分ならこうするというものが見えてくるはずです。それが見えるためには、自分が何を伝えたいのか、どう表現したいのかなどといった、自分の音楽観をもつ必要があります。それとともに、それを確実にできる技術が必要です。

技術だけもっていてもオリジナルがないのは、アーティストとは呼べないでしょう。声を身につけても仕方がないとはいいませんが、技術とオリジナル、どちらを評価するのかといったら、オリジナルのある人が評価されます。なぜなら、オリジナルがなければ価値は出ないからです。すなわち、その人でなくてもよいということだからです。

 

Q6.中・高音域の豊かなヴォリュームを得るために、低音域の胸のひびきが大切になるのですが、うまく低音が出ないのはどうすればよいのだろうか。

A6.低音域で胸のひびきばかりトレーニングしていると、中・高音域はすぐには期待できません。しかし、低音域の歌でも活躍しているヴォーカリストもいます。

自分がどういうスタンスでやっていくのか、自分のことを知っていく必要がありますし、また今すぐ決めつけることでもありません。

声だけで考えないことです。決めつけると広がっていけません。

いろいろな可能性があった方がよいでしょう。ことばのトレーニングも徹底しましょう。

 

Q7.声のクセ、固さをとるにはどうすればよいのか。

A7.体の準備も必要ですが、一番の問題は感覚の問題でしょう。1、2年目は、よいフォームをぎごちなく思うのと同じで、力を抜いてやるのは難しいでしょう。固さが抜けてできるときを、しっかりと感じとっていきましょう。

 

Q8.深い息を吐くポイントとは何か。

A8.深い息というものがあるなどと頭で考えないことです。深い息とは、完全にコントロールできる息のことです。一流の人たちは、それがあるため、結果として、声も息も深くなっていくと考えてください。

レーニングとは、一つのことをやるときに、すべて総合して筋肉や呼吸がうまく動かないから、一つひとつ分離して部分的にベースのことをやっているのです。

最終的に、ミックスされて一つにして出すことが目的なのです。

 

Q9.クリアさとひびきは両立するのか。

A9.ポップスの場合はマイクを使用しますので、あまりクリアに抜けなくても他によいところがあればそれで通じる世界です。発音がきれいに聞える、クリアに聞える、ひびきがよいというだけでよいという人は少ないはずです。何をとるのかという問題になります。そのへんは、ここを使って研究してみてください。

 

Q10.扁桃腺の手術について

A10.医学的なことなので、正式なコメントは控えます。治せるところは、治しましょう。

歯並びや舌の長さなど、そのことも含めてポップスの場合、個性にできるでしょう。

人と変わったところがあることは活かせればよいことだと思ってもらえればよいです。

 

Q11.ロングトーンを30秒やると、苦しい。肺活量が少ないせいか。

A11.肺活量の問題とは関係ありません。息のことで考えれば、浅い息で薄く出していけば、かなり伸ばせます。それを深く保つことは難題です。でも、声をコントロールできる息にしていくのです。

長く伸ばせるからよいということでもありません。何を基準にするのかの問題です。他人と比べる必要はありません。

 

Q12.高音、低音、胸のひびきについての差異。

A12.最初は、あまり高音、低音とわけて考えたり、こだわらない方がよいでしょう。

音色の違いの問題と同じで、表現形態の違いです。

日本人は、どうしても高音、低音と音域にこだわりがちです。

こだわること自体が声を分離させてしまいます。

つまり、ことばは、何かを定義して区切ってしまいます。ことばを超えたら、一つにつながっています。

 

Q13.胸声、頭声のチェンジについて

A13.音によって、単緒純に区別されてしまったり、音色が変わってしまうときは、自分がその段階を超えるまで待つしかありません。統一音声でのバランスで考えていきましょう。

 

Q14.リズムが入り、音程が加わると、途端にくずれてしまう。

A14.リズムや音程を意識しているからです。自分が好きな歌を歌うときは、音程やリズムの意識はしないでしょう。無意識に瞬時にできていることが大切なのです。

本来、瞬時にできないということは、基本が全くできていないということです。

だから、そのレベルになるまで、慣れて、感覚もつかめるようになりましょう。毎日、積み重ねていくしかないです。

 

Q15.のどは開くが声門は閉じて空気を使う量をセーブすると言われたことがあるが、どういうことか。

A15.ことばだけでは、捉えないことです。当人がやったことをイメージに置き換えているのです。

自分のなかにあるもの、体験のなかで体のなかにおとして捉える、すべて、イメージの世界です。

この場合、のどは声道の空間、声門は、声帯での閉鎖、つまり、口内を広く保ち、ていねいに声を出し発声、共鳴させるようなことでしょう。

 

Q16.声を出すときのトレーニングの時間は、30分くらいと書いてあったが、呼吸のトレーニングはどのくらいやればよいか。

A16.本気で正しいトレーニングをしていれば、15~20分が限度です。やり方を間違えるというか、雑になりがちです。たとえ間違えていても、それも恐れず、続けましょう。そういう時期も必要です。

ヴォーカリストは、単純にいうと歌に感動し、その瞬間を自分のなかに入れて自分が伝えたいと、声のフレーズで出す人です。

だから、トレーニングも、ただメニュをこなしていくのではなく、そういう意識で臨み、瞬間をつかんでいくことです。

レーニングとは、単に息を吐いたり声を出すためにやっているわけではないのです。

感覚が鈍いままトレーニングをしても、意味がありません。

強い意欲、モティベートがなくなると鈍感になります。

人前に立つのなら、一瞬をつかみ、次に世界を展開させることをやっていくことです。

手段と目的を、はき違えないようにしてください。

 

Q17.表現する、伝えるということについて考えることは何か。また、実際に歌うとき考えること、心がけること、どうやって表現力や伝えることを磨いていけばよいのか。友人のライブをみるとわかりやすいのだが。

A17.表現、伝えることは、最終的な課題であり、教えることのできることではありません。

それは、その人の表現を伝えることにはならないからです。

プロになるノウハウも、いろいろありますが、自分でみつけていくしかないでしょう。

結局は、その人がどのレベルまで行きたいのか、人生という限られたなかでどう時間を使っていくのかという問題です。

生徒間のライブなどに行くなと言っていますが、そのへんで行なわれているライブのレベルに追いつくのが目標のレベルに、頭も体も設定されてしまうからです。

彼らのレベルにいきたければ、彼らよりも上のレベルのものだけを自分のなかにとり込んでいけば、気がついたときに彼らと同レベル、あるいはそれ以上になっているはずです。

100m泳ぐことを目標にしている人とオリンピックに出場することを目標にしている人、どちらが先に1km泳げるようになれるのかと考えてみてください。

オリンピックをめざしている人の方が、より正しく、速く、楽にたどりつくことができます。

そしたら、どちらをめざせばよいかという話です。

 

Q18.“ハイ”などとれるようになってきたが、どうも押しつけているようで気になっている。ときどき、よい声が出たと思っても、体が使えていない声なのではないかという気がしてしまうが、よく判断できない。

A18.トレーニングを積んでいれば、体が変わるので、当初の感覚のままではなくなります。出た声を判断するのは、難しいから、トレーナーがいます。

最初に戻り、テキストを読み直すと、違った発見があるはずです。1年前に「これが歌と何の関係があるのか」としか思えなかったり飛ばしていたメニュの意味の必要性がわかってくるでしょう。そうしたら、そこに戻って、一つのことをつきつめてみること。そこから、いろんなことがわかることがあるのです。たとえば、ことばのトレーニング、せりふのトレーニング、息読みのトレーニングなども、やったとしても、まだ全然できていないことがわかる。そこから粘れるかどうか。

メニュを消化していこうとするのでなく、一つひとつ判断をつけるのです。

声を押しつけていると感じたら、そうなのでしょう。

そうでない状態とはどういう感じなのか、いろんな言い方でテキストにも書いてあるので、わかりやすいものをとって追求する。もっと課題を絞り込むことです。

 

Q19.声が深くなっていくことは、自分ではっきり感じられるものか。

A19.感じられるのには、個人差があります。それが本当なら、まわりの人の方が早く気づくように思います。

感覚的にはもっと深く、強くと思ってやっていくので、いつも足りない感じがしているので、よいでしょう。「ハイ」といって、深いと思っても、歌になったら全然足りないものだからです。トレーニングの手応えとして感じられるかどうかということなら、それは感じられるでしょう。

 

Q20.高い音のときに声がふるえます。

A20.ふるえない高さのところで同じようにやってみましょう。自分の体を感覚してください。高いところの方が、息も体も、より使うことになるので、体が足りないとか、息が吐けていないとか、どこかに力が入ってくるとか、感じられると思います。時間をかけることです。

 

 

 

 

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「枯葉」特集

 

ジョー・スタッフォード

パティ・ペイジ

ナット・キング・コール

ビング・クロスビー

サラ・ヴォーン

マンハッタン・ジャズ・クィンテッャズ・クィンテット

チック・コリア

トランペット マイルス・デービス(キャノンボール・アダレイ

(ピアノ)ビル・エバンスウィントン・ケリーバーニー・ケッセル

(ベース)ロン・カーター

(ピアノ・トリオ)キース・ジャレットケニー・ドリュー

 

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■W検対策

  リズム講座 (1)

 リズムフレーズ 考え方、声にリズムを叩き込む

  Shall We Dance (2)

 リズムパターン100  踊って体と心に叩き込む

 音、波動、リズムの感得

  Eiの一日声優講座(3)

○声の条件 ○声の表現力

 ○声の力、ことばの力、感情の力

  Eiの音感、音程 (4)

 ○音感と心身 ○コード、音 音と感覚

 ○音程、フレーズ

  フリートーク 表現力講座 (5)

 ○フリートーク(一人3分スピーチ)

 ○トークショー(With Ei)

 ○一般常識 内容:作文力、表現力チェック

☆発表文(3分間)もってくること。できたらフリートークで。テーマ:思っていること、やりたいこと、感動したこと、おもしろかったこと、21世紀の夢(ジャンルは問いません)

 

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福島特別

(1) 体:身体表現

(2) オリジナルフレーズと表現

(3) リズム:律動・波動

 

☆ことばを音(楽)とする(プレEi塾)入~④

☆プレBV座模擬オーディション。 一人一曲、アカペラステージ総評。

☆呼吸(法)・音感特集

 

☆ヴォーカル入門。学び方とその心構え、エッセンス100、ルール

☆オリジナルフレーズ

☆ことばと曲(構成)

 

■Ei塾Vol.1

☆徳川無声の話芸「話は間から誠から」

☆モデルのための表情動作トレーニング 演技術

☆声楽を志す人のための身体訓練 

☆Ei塾 試聴と話

 

 

トレーナー特別レッスン

 

「クシコスの郵便馬車」誰もが一度は幼稚園か小学校の運動会で聞いたことがあるでしょう。クラシックですが、歯切れのよいテンポで、ロックのようなリズム感があります。この曲から、声の芯、フレーズ、ハーモニーを学びます。

 

☆テキストを読む。最近のレッスンで、トレーニングで、テキストの中で気づいたり心が動いたこと、それに対して取り組んでいることを一つあげる。そういうことで、自分の中にあふれているかどうか(数の問題ではない)。ナチュラルヴォイスを見つけるトレーニング。“床かイスにすわって「ハイ」「ラオ」「ララ」を同じようにそろえて言ってみる”“自分のもっともうまく声が出ていることばでやってみる”、エディットピアフの「群衆」

 

わからない、できないと思うことを単に人に聞いてみても、一向にクリアにはなりません。

もし本当にわかりたい、知りたいと心から望んでいるなら、断固としてそこにとどまり、わかるまでやってみるだけです。人から聞いた答えなら、勉強になった気がしたほっとしますが、自分の体でわかったときというのは、外へ走り出て叫び出したいくらいの手応えと感動があるのです。目的にたどりつくために、耳と体と心を使って、感覚をつかむ時間です。

 

○オペラ(リットー 青本p49~50より)

闘牛士の歌“諸君の乾杯を喜んで受けよう”

 

カンツォーネ(p51の中から)

ヴォラーレ、愛は限りなく、ロマンティカ、君に涙とほほえみを、生命をかけて、カンツォーネ、アモレスクーザミ、クァンド・クァンド・クァンド、アモーレモナムール・マイ・ラブ、タンゴイタリアーノ

 

シャンソン(p51の中から)

バラ色の人生、空と海と太陽、愛は君のよう、私の孤独、水に流して、詩人の魂、ラ・メール、サントワマミー、ラ・ボエーム、想い出のソレンツァラ 他に、ダミア「暗い日曜日」「人の気も知らないで」、バルバラ「黒いワシ」「報道写真」、ピアフ vs ミルバ、ジュリエットグレコ、ジャクリーヌフランソワなど…(同じ曲)。

 

○スタンダード・ナンバー

枯葉、バラ色の人生、いそしぎ、この素晴らしき世界、マイ・ファニー・バレンタイン、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン、やさしく歌って、ホワイト・クリスマスビートルズの曲 Yesterday…サラ・ヴォーン、Something…エンゲルベルト・フンパーディンク、Here There and Everywhere…ジョルジア

 

 

①音声イメージトレーニング…短いフレーズをひたすら聞いて、ひたすらやってみる。フレーズの勉強ではありません。何が違うのかを自分で感じることです。だから曲の予習は特に必要ありません。リットーミュージック 青本「ヴォーカルトレーニング」必携

曲目:FLY ME TO THE MOON、A SONG FOR YOU、私の神様、タンゴ・イタリアーノ、心遥かに、HEART BREAK HOTEL、他。

②イヤー・トレーニング…どうして人が感動するのか、まず自分がそれを感知できるか、浸れるか。先入観を取り払い、音を聴きます。インストルメンタル、オペラ、ヨーロッパ、ポップスまで。筆記用具持参

曲目:ドリーム(デヴィット・サンボーン)、奇妙な果実(ビリー・ホリデイ)、泣かずにいられない(近藤等則)、アコーディオン弾き(エディット・ピアフ)、六大響(千僧音曼荼羅より)、カルーゾ(村上進)、その日から(オペラ“ルイーズ”より)、他。

③“ヴォイス・トレーニング”(リットーミュージック 赤い本)…聴き込むことと同じく、テキストは読み込むものです。単に目を通しても、行間にある文字は見えません。

赤い本を使ってトレーニングを体験します。自分が何を求めているのかを確認してください。

 

 

音声イメージトレーニング…フレーズを1ヵ所抜き出して繰り返し聴き

1.フレーズの大きさ、声の深さを感じる 

2.自分でフレージングしてみる 

3.再度、聞く。そこで気づいたこと、感じたことを自分のトレーニングにもちこめるようにする。

 

○Fly Me To The Moon(トニー・ベネット

フレーズの大きさ。ゆったり聞こえるのはテンポが遅いからではない。自分で歌ったとき、どうなっているか。→“フラーイ”と張り上げてしまい、“me to the moon”でくずれる。もう一度聞いて、息が流れコントロールされているのを感じる。“フラーイ”ではなく“Fly”である。

 

○C'est Si Bon(イヴ・モンタン

出だしの“セ・シ・ボン”の部分。“セ”の深さを感じる。“セ”の深さのなかに“シ・ボン”が含まれている。弾むように軽く聞こえるが、口先でそっと歌っているのではないこと。そのことが感じられるか。自分で歌ってみる。“セ”は言いづらいので、却って深さの違いを感じやすいので、何度も比べること。

 

○枯葉(イヴ・モンタン

出だしの“あれは遠い思い出”。ことばの深さと勢いを聞く

 

レッスンの時間のなかで、説明を聞いてわかることではないので、日頃からイメージしながら聴き込むこと。同時に実践して、体で聴けるようにする。

息吐きなどのトレーニングで体を使う感覚をつかんでいくと、少しずつ聞こえる(感じられる)ようになってくる。

プロと同じフレーズのサイズでなくてもよい。“ハイ”でも“ラララ”でもよい。少しでも深くとれることばをみつけるのもトレーニング。

 

 

Vメニュー100

Menu1、2 姿勢のチェック…読み流してしまいがちだが、基本のこと。書いてある通りに姿勢をとろうとすると、最初はそれだけでリラックスできなくなってしまうし、慣れてきても必ずどこかにクセがある。声を出すとき、体の力が足りない分、違うところに力が入ってしまうので、それをクセにしないためにも、正しい姿勢がとれるようにしよう。発声していくうちに、姿勢がくずれてくると自分がどこに力が入ってしまうかがチェックできる。

Menu2に、座った姿勢で下半身をリラックスさせ、上半身からフォームをつくろうと書いてある。こういうところは読み流さず、実践して自分は立ったときと座ったときで、実際どう違うか確認する。

Menu4 体の動きを意識する…“背中の下の方に中心点がくるようにイメージします”イメージしてみる。今イメージできなかったら、そのことをもち帰って発声や息吐きのとき、常に意識していく。イメージがとれるかどうかというのは、声を出すときにとても重要なことなので、こういうところで粘りをもってトレーニングしよう。

Menu7、8 正しい声を見つける/前傾姿勢で発声“ハイ”

Menu6の“くせをとる”の項目を踏まえて、毎日実践しよう。小さく言ってみても、体を使う感覚はわからないし、小さな声で歌うわけではないので、トレーニングは全力でやる。前傾姿勢は、慣れるまではその姿勢をとっているだけできついかもしれないが、必要な部分が鍛えられ、また感覚しやすいので取り入れる。ハイと言ったときの自分の体の感覚。

初心者だから、姿勢や“ハイ”をやるわけではない。長くやっていくほどはじめとは別のクセがつきやすくなるし、ある程度できていたことが途中でわからなくなったり、調子をくずしたりすることもある。そういうときに基本に戻る。どのレベルでも基本は深められる。深まれば、それだけ自由に動ける。本日行なう1メニュというより、日課として意識に入れるようにする。

ある程度、好きなようにやっていて、壁にぶつかってはじめて、基本のことを本当に必要とすることもある。必要であると心底、痛感したら、地道なトレーニングは苦痛ではないから、自分でこれだと思うメニュはそこまで徹底してやっていく。

イヤートレーニング…さまざまな音楽を聞いて、体に入れていくのはとても大事なことですが、一つの曲、一つのフレーズからたくさん勉強できるようになることも重要です。以前に聞いた曲だからといって、そこで放してしまっては、身につきません。この場合、“勉強する”ということは、気づいて感想を書いたことを自分のトレーニングにもちこんできてすぐ取り組み、課題を知り、それを克服するために実践するということです。書いて終わりではありません。もって帰るために、集中して聞いてください。

 

○タンゴ・イタリアーノ(ミルバ)

フレーズお大きさ、サビや中低音のヴォリューム、曲が展開していく流れがしぜんであるところを聞く。“Tango-”と伸ばしているところと、次の“Italiano”を比べ、繰り返し聞く。声の表情がどう変わっているか、音がどう動いているか、息の流れを感じよう。

○パダン・パダン(エディット・ピアフ

ことばがリズムになっているところ。体が鳴っているような声。パダン・パダン・パダンの3つをどう言っているか。自分でやったらどうなるかを考えてみよう。ことばの勢いとかリズムがわかりにくければ、ラでもアでもいいからそのままとって、自分で歌ってみるとよい。浅く音に声をあてていても、音が動かず、子供が教科書を棒読みするような感じになってしまい、その差を感じることができる。

○群衆(エディット・ピアフ

シャンソンは、初めは自分と何の接点もないものに聞こえてしまうかもしれない。3拍子といわれても、ことばとリズムがバラバラに聞こえて混乱したりするかもしれない。でも、慣れないためと、知らない音楽という先入観があるだけ。→QUEENの“Somebody To Love”を聞く(8分の6拍子)この曲なら、リズムや流れは感じやすいかもしれない。ピアフ確かに慣れないとわかりにくいが、ただQUEENに、この曲をとれといえば、きちんととれるだろうと考えると、体にリズムが入っていれば、わかるようになるはずである。Vのグループレッスンでも、シャンソンは取り上げられるが、音取りに終始しては遅れをとってしまうので、できるだけ慣れておく。慣れると、それまで聞こえてこなかったものが聞こえ、世界が広がる。

 

必然的に、音楽に出会ってから今までの自分の歴史を振り返ると、音楽が何よりも好きになって、また人前で歌うようになって、10年以上、経っているわけです。この数年間には、いくつかの大事なポイントがあって、そのポイントを越してつかんだものが、私の音楽的な“感覚”なのだろうと、現時点では解釈しています。そういった解釈の下で、いくつかのポイントのなかから、人に伝えられそうなものを出していきたいと思っています。

①フレーズ研究でアーティスト特集を組む。

Aretha FranklinChaka KhanWhitney HoustonDianne Reevesなど。さらに、Ella Fizgerald、Sarah VaughanBillie HolidayStevie WonderMarvin GayeSam CookeDonny HathawayPeabo BrysonRoberta Flack、Nat "King" Cole、Luther Vandross、Maharia Jackson、Anne Wilson (Heart) 、Janis Joplinなど。

②テーマを限定して特集を組む。

たとえば、60年代のソウルミュージックをとりあげたり、Quincy Jonesの『愛のコリーダ』『Back on the Block』『Q's Jook Joint』をとりあげて、かくアーティストのオリジナリティを学ぶ。

③ポップ・ミュージックの歴史をたどる。

NHK教育で放送された『ダンシング・イン・ザ・ストリート』という番組では、50年代のロックン・ロールから70年代ブリティッシュ・ロックまでの流れを、社会・文化的にフォローして(3月の後半に同じシリーズの、70年代、ファンク、パンク以降が放送予定らしい)、かなり興味深かった。

 私は、音楽が社会、文化の流れに絡められて提示されるとおもしろくてしょうがない。音楽は音楽として、聞いたり歌ったり、演奏したりすることに価値があるのはもちろんだが、その国、地域、世界の歴史や社会、文化のなかに置いたときに、聞いて、歌っているときには見えなかったものが見えてくる。そのうえで、また聞いて、歌って、さらに深く理解していくのだと思う。レッスン生の中には、洋楽を聴きたいのだが、何を聞いたらよいのかわからない、聞いてもよくわからないという人が少なからずいる。こういう形で提示したい。鑑賞にしても、理解の助けになるだろう。

④ ③に関連して、ブラック・ミュージックとアフリカ系アメリカ人の歴史とのつながりは、私の中で永遠のテーマなので、納得のいく形でやりたい。

⑤ダンス天国ならぬ、怒涛のリズム天国

ビート天国にまみれてしまいたいときがある。世界中のリズムを、とにかくCDなどをかけまくって聞く。体を好きなように動かしてリズムを体に叩き込む。

⑥議論の場を設ける。しゃべり足りない人がいるようなので、思い切って場を与えてしまって、普段は静かにしてもらうという意味や、せっかく人が集まっているので話を聞いてみたいという私の個人的な欲求もあるが、一番の目的は、“個”になるということ。自分が何がわかって、何がわからないかを知って、まるはだかになるとか、相手を納得させる“力”が身につくとか、月並みなことを言っていてもしょうがない。個の獲得は表現者にとって必要だ。(ただし、人には思想・信条の自由があるので、研究所で行なうテーマの設定やルールの確立が難しい。なにしろ、私自身が暴走しそうなので…)

⑦基本的なブルースのコード進行にのせて、自由にフレージングする練習。

⑧音楽的な力をつけるために効果があると思うこと。

a.曲に合せて勝手にデュエットしたり、踊ったり。

b.歌をまるごとコピーして、のどに負担をかけないように歌う。または、息だけで歌う。上っ面をただなぞるのではなく、体の動きをなるべく近づけるのがポイント。CDやライヴで歌を聞くときも、歌い手の体、息の動きを感じて身をゆだねる。

c.英語の歌詞を聞き取ってみる。わからない箇所は、聞こえたまま声にする。わかる箇所もできるだけ近づける。

d.複雑な歌をすみずみまでコピーして楽譜にし、楽譜の通り歌ってみる。ジャズのスキャットなんかがよい。音程、リズムキープ、テンポキープに効果あり。

e.コードのコピー。

f.私には、インスト(Pat MethenyDavid SanbornMichael BreckerMarcus MillerJohn Scofieldなど)のレコードを無理やり聞かされたり、コンサートに連れていかれたりした経験がある。最初は気が進まなかったのだが、そのうち好きになってよく聞くようになった。音色やリズムへの関心が深まり、楽器のうまい下手、演奏者のセンスのよしあしが漠然とではあるのだが、わかるようになった。嫌いでも、よいと認められている、一流と言われているものは、チャンスがあるなら無理やり聞いた方が絶対いい。

g.人によっては好き嫌いが激しいものにはまってみる。James Brown、Prince

 

一流を聞くことで耳を鍛え、自分との差を知り、これからトレーニングのなかで何をすべきかを考えましょう。

Aretha Franklin 1 in Pop Music

Aretha Franklin 1 in Pop Music/Aretha Franklin 2 in Gospel/Quincy Jones "Back on the block"特集/Aretha Franklin 2 in Gospel

クインシー・ジョーンズ“Back On The Block”を中心にして、

世界の一流を聞き、オリジナリティ、表現力について学ぶ。

 

クインシー・ジョーンズって誰? 何やってるの?…アレンジャー、プロデューサーの仕事をいくつか紹介。今後、二度とあり得ないメンバーで作られたアルバムを聞いて、体験していく。

②曲の解説

a.「バードランド」…マイルス・デイビス、デイジーガレスピーサラ・ヴォーンエラ・フィッツジェラルド、ジェームズ・ムーディ、ジョージ・ベンソン、ジョー・ザビヌルらの、一発でそれとわかる音、声、フレーズについて学んでいく。ウエザー・リポート、マンハッタン・トランスファーもあわせて聞く。

b.「I'll Be God To You」…レイ・チャールズチャカ・カーン、この二人が歌って悪いはずがない。リズム、タイミング、フレージングについて。

c.「We Be Doin' It」…ボビー・マクファーリンサラ・ヴォーンエラ・フィッツジェラルド、Take6らのアカペラパーティを楽しみながら、各アーティストの個性を学ぶ。

d.「Tomorrow」

…当時12才のラヴィン・キャンベルの奇跡の歌声について。

e.「Setembro」…wooというだけで表現しきるサラ・ヴォーン。Take6のコーラスワークに天国を見る。f.「The Place You Find Love」…シーダ・ギャレット、チャカ・カーンの魂を鳴らす歌。また、それ以上に、ハービー・ハンコックのソロに注目する。音とフレーズだけの世界、ヴォーカルより限界がある世界での、信じられない表現力について。

 

LEVEL①「息吐き中心のトレーニング」…体が息、声と一体になる感覚を、量をこなすことによって少しでもつかむことを目的とする。100%ジム。

○参考本「やさしいヴォーカル入門」P98、99、「ポピュラーミュージックのためのヴォーカルトレーニング」(青本)P57、58 ※その他のメニュ。

LEVEL②「体中心のトレーニング(縦のイメージトレーニング)」…体と声が一体となり、芯を捉えることを安定させることが目的。LEVEL①を踏まえて、少し音をつけていく。

○参考本「やさしいヴォーカル入門」P100~102 ※その他のメニュ。

LEVEL③「音のつながり+軟口蓋のトレーニング(横のつながりのイメージ)」…一つのことば、一つのフレーズに2音以上(2度以上)の音をつけて、体、声の動かす感覚をつかむことを目的とする。LEVEL②を踏まえて、点を少し線にするトレーニング。

○参考本「ポピュラーミュージックのためのヴォーカルトレーニング」(青本)P61~64 ※その他のメニュ。

 

[ジム]…時間中は、余計なことば、休みははさまず、できるだけ体、声を使うスポーツ的ジムにしたい。ただし、体力的にきつい人は無理をせず、自分の判断で休みながら参加するように。エアロビクスなどで一時間、いろいろなメニューをやるようなものと考えるとよい。レベル1~3に分けてはあるが、大した差はつけないので、入門の人でも対応できる。すべてのクラスに参加可としたい。様子をみながら、ゆくゆくはヴォイストレーニングをしながらのコード感、リズム感が身につくメニューを取り入れたジムも入れる。クラシック的な音程、リズムではなく、音感、うねりが身につくジムとする。

 

[お願い]…レッスンの「場」の理想として、学校の部活で先輩が後輩とともに基本トレーニングをしているというイメージで、生徒同士でメニューを実践していくという場にする。                        

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