一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

課題曲レッスン2 日本の曲 6928字  703

課題曲レッスン 日本の曲  703

 

 日本の歌

 日本語フレーズ20テキスト   

 日本の歌フレーズ②     

「影を慕いて」ほか

 

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日本の歌

 

「おとことおんなの こいごころ あー」(ファソファソラ♭ドラ♭ド ファレ♭ドラ♭ド ドドラ♭ソ)

 音程にはとらわれず、気持ち(ソウル)だけもってやってみてください。のどを開いていないと負担がかかるので、注意しましょう。

 

「こいとなさけの ドゥドゥビ ジュビドゥビ ジュビジュヴァ」

(ラ♭ソファレ♭シ♭レ♭ファ ラ♭ーシ♭ーシn ドードシ♭ーラ♭ シ♭ーラ♭シ♭ードー)

 息を声にしていく感覚で、息がどんどん深くなってくると「あっ」と止まる深い部分があります。それを、のどでつぶさず声にしていってください。「こいの」が、流れてしまわないように、きちんと準備(呼吸を整える)をして入ってください。

 センスの問題で、同じ課題で洋楽系に聞える歌い方の人と、邦楽系に聞える人がいます。何回もやって、自分のセンスを感じとってみてください。

 

「あのこは ちいさく うなづいた あかねのそーらに ちかったこいを」

(ドドドシ♭ ドードシ♭ ドドドシ♭ソ ソレレド レーレド ドレードレレレ)

 芯があること、呼吸で調整していることがわかると思います。ただ、バランスを変えているだけです。単純なフレーズとして捉えた上で、多彩に展開しましょう。

 6回のくり返しは、体の呼吸に合せましょう。動かし方は、いろいろ考えられると思います。音の流れ、フレーズをとったとき、自由にことばの向きを変えていかないと、単純になってしまいます。音で伝えるか、ことばで伝えるか、両方の一番よいところを何とかくっつけて、そのブリッジのところで伝えるように考えてみてください。ただ、計算はしなくてはなりませんが、計算がみえないようにしてください。

 

「あなた あなた あなた あなた あなた アーあールルラルルラルーラー くらい」

(レミファ レミファ レミファ レミファ ソファミ ラーファソラファソソ♯ラソ♯ラーソソソソ)

 日本人には難しいポジションのとり方をしています。下の方から「あなた」で巻いていき、のぼりつめて「あー」で違う線をつくっていきます。のどは解放して歌っていってください。また、キレのよさが必要です。ずるずるとひきずらないことです。

 

「あなたのあつい くちーづけが」

(レミ♭レド♯レシ♭ソ レミ♭レドシ♭ラ)

 「あつい」の「あ」と「つ」の間をあまり変えようという意識はもたずに、呼吸でとっていくことです。「あなたのあ」まで、しっかり入れておけば、「つい」は、しぜんについてきます。フレーズが小さいわけではありません。自分のなかで、どこにおいても失敗しないフレーズを、まずきちんとつくっておくこと、体の動きをつくっておくことです。

 

「いちど はなしたら にどと つかめない」

(ドドシ♭ シ♭レファラ♭ソ ドドド ドミソシ♭ラ♭)

 このような課題をやるとき覚えて欲しいのは、どこで握って、どこでフレーズをつくって離すのかということです。その「握る・離す」の感覚を学んでください。見本は、少し途中で開いていますが、曲のもっていき方、声の出し方は、これがやりやすいと思います。

 呼吸とリズムが入っている感覚とは、「いちど」ではなく「いちいど」、「ない」ではなく「なぁあい」などです。どこで入れるかは、その人のセンスですが、自分のリズムをつくり出さないと表現として出てきません。呼吸というものは、直線ではありません。うねりをもっています。「なーい」より「なぁあい」の方が次にもスムーズに進めます。くずれもしないし、体もついています。その上で、離すことをしてください。

 

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 日本語フレーズ20テキスト ( )はQ盤のNo  370608

 

 例 タクシーに手をあげて (taxi 鈴木聖美

   さよならした人に会いたくなるなんて

   I love you tonight 抱き合って

 

月にやるせぬ我が思い つつめば燃ゆる~  (影を慕いて 藤山一郎

 

1(5)恋は私の恋は 空を染めて燃えたよ 死ぬまで私     (恋の季節 ピンキーとキラーズ

2(7)夜があけたら 一番早い汽車にのるから        (夜があけたら  浅川マキ)

3(8)別れのそのわけは  話したくない  なぜかさみしいだけ    (また逢う日まで  尾崎紀世彦

4(15)あの夏の光とかげは どこへいってしまったの       (八月の濡れた砂  石川セリ

5(21)あなたー あなたー あなたがいてほしい それが         (あなた  小坂明子

6(22)ヘーイヘイヘイヘイヘイ  あいつもこいつもあの席を      (学園天国  フィンガー5

7(34)マリーという娘と  遠い昔にくらし  悲しい思いをさせた  それだけが気がかり 

    (五番街のマリーへ  ペドロ&カプリシャス)

8(36)何もいいことがなかった このまちで          (遠くで汽笛を聞きながら  アリス)

9(42)さよならはいつまでたっても とてもいえそうにありません 八時ちょうどの あずさ2号で     (あずさ2号  狩人)

10(45)まるで喜劇じゃないの 一人でいい気になって          (迷い道  渡辺真知子

11(46)すばらしいY.M.C.A ヤングマン  西城秀樹

12(50)走り出しそうだから  HERO  HEROになるとき 

                あーハ  それは今~おまえを離しはしない (HERO  甲斐バンド

13(1)めぐるめぐる季節のなかで あなたは何をみつけるだろう   (季節のなかで  松山千春

14(3)(この指が届くと信じていた)空と大地がふれあうかなた    (異邦人  久保田早紀

15(7)愛をささやくうたもない 恋人よそばにいて            (恋人よ  五輪真弓

16(9)Want'you おれのかたを             (スローなブギにしてくれ  南佳孝

17(14)今をなげいても胸をいためてもこのまま何時間でも抱いていたいのに(夢の途中来生たかお

18(17)せつなくなるだけ  Hold me tight  大阪ベイブルース おれのこと好きかあんたきくけど 

   (悲しい色やね  上田正樹

19(30)翼の折れたエンジェル              (翼の折れたエンジェル  中村あゆみ

20(45)飲んで飲んで飲まれて飲んで飲んで飲みつぶれて眠るまで飲んで(河島英五酒と泪と男と女

 

 

■CHECK POINT

 アフタビート 後打ち/ひびき 芯/ふくらませ 切れ

 

 

 

 

「日本の歌フレーズ」② 351203

 

 この課題をやる上で念頭において欲しいことは、

音程、リズムはとれなければとらなくてよい 

フレーズとして捉える 

音域はどこでもよい 自分のやりやすいところで 

前の人につられないように、直に音源(材料)から感じ、自分で表現を出していくことです。

 

 いつものグレードでのグループをはずし、いろいろなグレードの人たちが出席しているので、他の人たちのフレーズ、ことば、発声、体、表現、息なども聞いて、自分によみ込んでいくようにするとよいでしょう。

 

 

課題「タクシーに手をあげて」(シシシシシラララシソ)

 まず、ことばになっていることと、自分でフレーズをつくることをチェックしましょう。

 

1. 「タクシー」と、ことばで言う

 遠くのタクシーを呼ぶような感じで、大きな声で言ってみましょう。タクシーの「シー」にアクセントがこないようにしましょう。

 

2. 「タクシー」の前に「あっ」や「ハイ」を入れてみてから言う

 前にことばを入れることにより、ふみ込みをつけます。体のところへ「ハイ」ともっていったところで、「タクシー」といえるようにしましょう。呼吸をつかんでください。「シー」に流れてしまわないようにします。

 

3. 「タクシー」に音を一音つける

 トレーニング(発声)方法として「タァー」だけにド、ド♯、レ、レ♯と音を上下させていってみます。「タクシー」の部分は「タァー」に強アクセントが欲しいので「タァ」とクレッシェンドして、「タァ」の「ア」にフレーズをつくるようにしてみます。ことばがつかめたら放り投げるようにしてみましょう。

 

4.「タァ(クレッシェンド)に」まで言ってみる

 「タクシー」の「クシー」は、「タァー」のなかに入れ込んで、巻き込むようにします。だんだん強くするときに、のどで押さないようにしましょう。

 

5. 「タァ(クレッシェンド)にてを」まで言う

 「てを」は、きちんと入れて、おとします。「タァー」で使い切って、「てを」でおとしますが、フレーズの方向性はもっていくようにします。フレーズを大きくつかんでいれば、ポイントだけふみ込めていれば、大きさが予期できますので、大きく聞かせることができます。次の「あげて」はおくだけです。

 

6. 「タクシー」から「あげて」まで、リズムもつけてみる

 「ターてーあー」の一つのフレーズの流れをつけます。そして、「タァ」の「ア」、「てぇ」の「え」、「あげて」の「あ」とふくらませて、ふみ込みます。ここのふみ込みが遅れると間伸びしてしまいますので、急速にふくらませましょう。

 全体的なポイントとしては、ふみ込みの部分(ポイント)でふみ込む、のどを開く、「タクシーに」までは、絶対に離さないようにする、声がバラバラにならないよう統一する、深いところでつかんだ上で、動かしていく、ということです。それから、「タクシー」の「クシー」は、「タァ(クレッシェンド)」のなかに入れないと、「ク」でそれてしまうので、気をつけましょう。

 

 

「つつめば」(ソソソミファ♯)<影を慕いて>

 「つ」で体を使うのは難しいですが、「つつ」で体を入れていきます。

 「めば」で開いてしまうと、全体的に流れてしまいますので、体に入れていきます。また、助詞をひびきに逃がすと、きれいには聞えますが、トレーニングの目的としては逃がさない方向でやっていってください。同じポジショニングでとるように心がけてください。

 全身が入るためには、どうしたらいいか、入れたあと離すにはどうしたらいいか考えてください。

 

 

「のませてください」

「そとは ふゆのあめ まだやまぬ このむねを ぬらすように かさがないわけじゃ ないけれど かえりたくない」

 「い」「う」段が多い歌です。オリジナル歌手は、頭打ちしていてはねるように軽く歌っていますが、フレーズを大きくつくろうとしたら、大きくつくれる曲です。

 日本の歌い方をしていて、アフタービートでの展開はありませんが、演歌には日本語のことばを聞かせるノウハウがたくさんあります。

 

 

「ふゆの リヴィエラ おとこって やつは」

 「ふゆ」の「ふ」のあとで、「ふう(クレッシェンド)」とフレーズをつけます。あとは「リヴィエラ」の「ヴィ(クレッシェンド)」です。どこかに入れるフレーズをつくると、流れ-ノリが出ます。

 「おとこ」の前にブレスを入れても入れなくても、どちらでもよいですが、どこで切っても、フレーズ上は線を保ち、方向を示すようにしてください。音声のイメージをもって歌うことです。

 「おとこ」は「リヴィエラ」のなかに入れる感じで、芯を捉えるようにしましょう。「おとこ」としっかり言えていないと、「って」と、次へしぜんにいきません。

 

 

「しれとこの みさきに」

 歌としては、大きくつくれる歌です。オリジナルの歌手は引いて歌っていますが、北島三郎のイメージで歌うくらいでよいと思います。

 

 

「ラヴ イズ オーヴァ」「わたしはあなたを わすれはしない」

 「ラヴ」の「ラ」や、「わすれはしない」の「い」が日本語の発音ではないところを参考にしてください。「ラヴ」の「ラ」は、「ラ」と「ロ」に近いでしょう。「~しないの」の「い」は、ひびきに入っているのと同時に、体でしっかりつかんでいるので、ひびいていても、いやらしく聞えません。

 「あなたを」の「を」が、線上からはずれている人が多いです。声がかすれてもよいので、線からはずれないようにしてください。

 「わたしは」の「わ」、「あなたを」の「あ」、「わすれは」の「わ」にアクセントがすべてきてしまうと、単純すぎて観客に先を読まれてしまいます。もう少し、山の変化をつけてください。

 一つのフレーズにしておいて、三つの山をどう構成していくかは、自分の体、感情表現、ことばの捉え方、イメージで決まってきます。何かをしようという意志も必要です。

 ことばをきちんと言い切れば、伝えようとすれば、フレーズは動いてきます。

 

 

「こいは わたしのこいは そらを そめて もえたよ しぬまで わたしを」

 「もえたよ」の「た」と「よ」の間に、「たぁ(クレッシェンド)よぉ」とフレーズをつくり、「よ」の後は「よぉ(デクレッシェンド)」と一回、小さくして「よぉ(デクレッシェンド)(クレッシェンド)」とフレーズを盛り上げると、大きく聞えます。

 「もえたよ」のあとの「しぬまで」は、しっかり芯を捉えないと、浮いてしまいます。ここで気を抜かないようにしましょう。

 

 

「よがあけたら」

 「よーあーたー」のふみ込みを押さえた上で、体のなかにどのくらいのリズムをよみ込めるかです。このリズム感がないと流れてしまいます。リズムと声を、体に入れることです。

 

 

「わかれの そのわけは はなしたくない なぜか さみしいだけ なぜか むなしいだけ」

 

 

「あの なつの ひかりとかげは どこへ いってしまったの」

 けだるさを出すのは、皆さん上手ですが、それは実際の歌のときにやればよいです。体をきちんと使ってください。「あの」をしっかり入れてください。

 

「まっかな バラと しろい パンジー こいぬのよこには あなた あなた あなたがいてほしい それが わたしの」

 「それが」をしっかり入れ、それないようにしましょう。

(以下略)

 

 日本人のヴォーカリストでプロがもっているものはたくさんあります。

それを学ぶと共に、日本語のことば上、頭打ちで歌われていることが多いので、フレーズの展開や大きさを入れ込んでトレーニングとして成り立たせましょう。

 

 器は広げて欲しいと思っていますが、声が出るようになり、体が使えるようになったからといって、歌からそれてしまうのはよくありません。今できるところでベストを出すにはどうしたらよいかということも考えてください。

 

のどはしめないようにしましょう。声も声量も音域もないのに、皆さんよりうまく歌えている人は現実にたくさんいることを知り、そういう部分を知ることです。流れのところまで早くつくって、自分が新しく加えるところで問えるところまでいってください。

 

 

 

○森進一「影を慕いて」

 

息の量が大きく、声質はモータウンなどの黒人に近いものがあります。センスは、まさに演歌です。息のフレーズ、ことばのなかできちんともっていっています。高低アクセントの感覚はないのですが、日本独特のあやをつけています。ファルセットに近い線、浮かし方の線があり、そこにたどりつく意識はあると思います。

 

三浦洸一 日本の代表的な歌い方の一つです。

フランク永井 日本の歌謡曲の低音の人。昔の人たちは、体がついています。

アイ・ジョージ 上の方のひびきをとっていて、その音を変化をつけずにフレーズをとっていく歌い方。感覚はクラシックに近いでしょう。

小柳ルミ子瀬戸の花嫁」 歌の技術より、柔らかさ、伝えるところなどの雰囲気を学んでみてください。

○「花」このベースから何をやっていくかということが、ポピュラーの課題です。

○オルネラ・ヴァノーニ「アンコ-ラ」 最初の方は、声をおいていく歌い方です。ミーナ、ミルバと並ぶイタリア三大歌手の一人です。声量のある人が、体をはずしてひびきで歌っているやり方です。

 

 条件は整っていても、それをどのように組み合わせてピークを出すかという問題点が大きいようです。まず、体のフレーズをもち、それをすべて体に押し込んで、ことばだけを伝えようとすること。あるいはその逆で、ことばだけきちんといえるようにしてから、フレーズをとるなど、どちらのやり方でもよいので、やってみることです。フレーズ、ことばのどちらかに集中するために、もう片方が抜けてしまわないようにしてください。

 

 また、自分のなかでパターンに対しアレンジし、体でやっていくことです。そのためには、一つのパターンを1000回、2000回やって自分でわかっていくことです。そうすれば、体も感覚も変わってきます。そして、一年後にもう一度、白紙に戻してみて、そこから何が出てくるのかを学び直すのです。そうやってくり返し学ぶために、日頃、体を整え、つくっているのです。

 

 練習のポイントで一番大切なのは、オリジナルのフレーズを出すことです。どんなに一流のヴォーカリストが出てきても、自分がオリジナルのフレーズをもっていたら、かすんでしまうことはありません。その人の「作品」としての価値とみなされるのです。そのために、すべてのトレーニングがあると考えてください。

 

演歌は、ふみ込みが浅く、上でことばをひびきでまとめていこうとする傾向があります。それはまねをしないようにし、色のニュアンスだけを参考にしてみてください。