一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

レッスン録2 トレーナーレッスン 6750字  775

レッスン録2 トレーナーレッスン   775

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レッスン1

 レッスン2

レッスン3

レッスン4

レッスン5

 Q&A  by トレーナー

 

 

トレーナーレッスン   

 

レッスン1

 

 

サビから出だしと同じフレーズに戻るところ。

サビのところは、テンションをあげてと割合うたいやすいのですが、

難しいのは、サビの終わりのフレーズから、出だしと同じフレーズに移るときに、どう感覚を変えるか。その感覚の違いを出せるか、というところです。

 

SAX:デビット・サンボーン(9:30~ベローチェ

ドドシシララーソーミードドシシララーシードー

ドドシシララーソーミードドレミファードシー

レミーシソラーーレレドシソラーシドラー(ードドシシラ)繰り返し

 

サックスの旋律を声でやってみてください。

音色、ピーク、音の移行に注意してみてください。

このようなゆったりしたテンポのゆったりした旋律なのに退屈させないのは、この3つのことと関係があると思います。一連の旋律の中で、きちんとピークを作れるか。ピークでふんばれるかという体力的なこともあります。

 

 

イメージがピークにもっていけるか、ということ。また、音と音のつなぎめ、移行のとき、このサックスはラーラアーラアーというようなつなぎ方をしています。

ヴォーカルでも方法はいろいろありますが、音の移行のときは感情をいれやすいところだと思います。そういうところに気をつけてもう一度やってみてください。

 

今の旋律が曲の中で何度も繰り返されているわけですが、結構くどい旋律なのに、いかにもさわやかな感じで、聴いていて飽きないし、心地よいのはなぜか、ということです。

繰り返しのところでテンションが維持され、前のピークよりもっと大きなピークが作れるのはどうしてか。(この場合、サックス)どうしてでしょうね。

 

他の楽器が入ってくる、ということもありますが、ヴォーカリストのテンションだけで考えると…やっぱり何か降りてくるんではないですか。

なかなか難しいですね、体力もいりますし…。曲ではもっと繰り返されているのに、テンションを下げずに、退屈させず、さらに大きなピークがもってこれる…。ほんとに不思議です。皆さんも考えてみて教えてください。

 

 

曲に対する切り込み方、こだわり方、学び方という点で、レッスンでハッとさせられることが多いです。誰でもつい曲を好みだけで聴いてしまい、好みでないと少しでも感じるともう聴こうとしないという傾向があります。

けれど好きという曲でなくても、なんか自分なりの引っかかりがあると、それにこだわって追求しているようです。自分がこの曲を歌うとしたら。という聴き方をしているからなのでしょうか。

自分だったらこうは歌えない、というくやしさ、好きでないのに聴かされてしまう悔しさ、からひっかかりをもち、それを追求することで、いろいろなことを学んでいるんだ、と驚かされます。

 

 

 

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レッスン2

 

発声

アエイオウー(ドレミレド)

アオイ(ソミドー)

ラーで(ドミソファミレドー)(ドミソミド)

ハイハイハイ(同じ音で)

 

ひとつのフレーズにしていく。もたつかず、前に進む。押すのとは違うまっすぐに出す。一番はじめの音で止まってしまっているのはダメです。その先前に進めなくなってしまう。

歯切れよく。一回づつ止まってしまわない。

 

 

フレーズ

「夜毎ふたりはここにいるけど あなたは私のものだもの私は離れない」

 

あまり引っ張らず、前に進んでいく感覚を持つこと。なぜ引っ張ってしまうのか。

結局、歌と体が一致していない。歌、体、音程、リズム、それぞれがバラバラ。それで、体を使おうとすると歌にならなくなってしまっている。

夜毎を「よごと」と言うか「よーごーとー」と言うか、の違いで感覚の問題。

 

言葉がつまる(ひっかかる)

園児で言葉がスムーズに言えないような、変な癖がついてしまう。言葉がつまって引きずったような歌い方になってしまう場合もあるだろうし、メロディの流れがつかめない、リズムにのれない、など、いくつか原因があって引きずってしまうのだろう。何で引きづられているのか考えてみる。

 

呼吸

ひとつのフレーズに対して、呼吸をどれだけコントロールできるかということ。ひとフレーズで息もたえだえ、というのでは歌えない。コントロールできるだけの余裕がないといけない。

レーニングの息読み、息吐きをどう活用していくか、も問題。ただやるのではなく、自分にとって何が苦手か歌ううえでハンディになっているかを感じながらやっていくこと。

そういう意味で、息吐きのやり方でも、レッスンでやっているような方法ではなく、自分に合ったやり方をみつけてやるとよい。

 

たとえば、歌のフレーズを活用してみるという方法もある。

今やったようなフレーズを毎日息のトレーニングに使うと、それなりに感覚がつかめてくる。

要するに、ただやるのではなく、感覚をいかに自分で生み出していくかが大事。いかに声の感覚をつかみ、それを積み重ねていけるか。それはトレーニングでも歌でも同じこと。

 

音楽にするには、いかに聴くか。聴いていて、その流れを体の中に浸透させていく。音楽を聴いてきた人にとっては、自然に感じ、自然に出てくるもの。メロディの構成部分をきちっと出していけるか。それを壊すようなことをしない。

 

もう一つは、「歌う」ということに対する体の意識。

「歌う」前に、どれだけ備えられるか。体の集中力。(歌う準備として体を備える集中力。)

歌というものに、はじめから、言葉やメロディ(音程)がついていると思わないこと。

 

まずメロディの構成、流れの(音楽)として捉え、言葉などは自分のアピール材料にしていく。音楽として感じられず、言葉やメロディを覚えて歌うと、音楽にはならなくなる。

 

昨日のオーディションでも、音楽になっている人は、ほとんどいませんでした。

言葉やメロディをトレーニングした声でやっただけ、という感じになってしまっていました。

音楽としてやってくことです。

 

 

 

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レッスン3

 

2/4ハァ<ア:抵抗をかける、押しひろげる。

4/4ハァ<○ハァ<:2拍かけてやった感覚を1拍の中に入れる。

4/4ハァ<○ハァ○<ハァ○:体を使ったぶんだけ声にする。声だけを上でつくらない。

4/4ハッハァーハッハッ:つかんで引っ張り、息の延長線上に声をとらえる。

ハッ<○ハッ<○ハッ○:息のあとに声にするときと同じタイミングで声にする。瞬時に準備をしてぱっとあてられるようにする。

4/4ハイッ<○ラオ<○ララ<○:(ドドドζドド♯レッζ)音をつける。

一回づつ体を使う、フレーズ(線)にする

 それぞれ息でやった後、声でやる。

 

 

「黒田節」

(シードミシーラドシラシーミファミレシレミー

さけはのめのめのむならば(酒は飲め飲め飲むならば)

こぶしは付けなくてよいので、ポイントの音をとり、それを動かすということをやってみてください。

 

かなりキツいで、途中でブレスを入れてもよいが、フレーズとしては、つなげてください。これ全部でひとつのフレーズになっているようにする。

 

かなりMAXの声量は出ているのだが、入れっぱなしになると、一本調子になってしまう。どこで入れるか(掘るか)は人それぞれちがうので自分で探していき、動かせるようにする。

こういう民謡の、つかんで引っ張り動かす感覚は、洋楽に通じるところがある。

 

 

「相馬盆唄」

ハァ~アイヨ

(ソラー・ドラドレミソーミレドラソラーラー)

入れっぱなしでな離さないと一本調子になってしまう。

引っ張って動かす、入れたり離したりが一定でない。

 

 

カンツォーネ」(ミルバ)

イオソーニョヨルミォソーニョベドーケノンパレーロダモーレノンネパッレロマイピュー

難しいですね。プロはすごいですね。

できなくても、つかんで動かす、という感覚は少しでもわかりましたか。

浅いところで動かしてもダメなので、まず深くつかんでから離したり入れたりします。自分では動かしているつもりでも、聴いている方にはそれが伝わらず、一本調子に聞こえてしまうことが多いので、これでもかというぐらい思いきり動かすぐらいやって、やっと伝わる。

その動かす幅をつけるには、それを支えるための体が必要です。

今日は、とても体を使いましたので、後でよくストレッチをしておいてください。

 

 

 

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レッスン 4

 

Stevie Wonder

 

Black Man

 

アレンジがすごい曲です。

スティービー・ワンダーは、まあ説明することもないですが、1960年代前半に11才ぐらいでモータウンからデビューして、以来30年以上活躍している人です。大人になってから大学で音楽理論や作品も勉強しました。曲に戻ると、何といってもアレンジがすごいですが、クケクケクケクケ…とずっとリズムが鳴っているところで、どう歌をのせているかも聴いてみてください。

 

こういう感覚の人は他にいないほどのリズム感を持っています。この曲も、表に入ったり裏に入ったりして遊んでいます。このリズムを本当に捕えて、気持ちよく動かせるにはすぐにできることではありません。楽譜にすることはできるかもしれませんが、それ通りにやってみても、できることではありません。つかみにくいですが、何もきまりがないわけでもない。

支点によって次の動きが決まってくる。支点(ポイント)は無数にあってわかりにくいが、やはり入ってはいけないところというのもある。そういう動きが聴けるようになったら、自分の歌の中にも少しずつ出せるのでは。

 

動かすのはバラバラではなく、やはりひとつの動きの中で動いている。だから、同じヴォーカリストがライブなどで歌ったもので同じ曲の別バージョンがありますが、それをつなぎ合わせてもダメ。動かせない、と思ってしまうのではなく、動かせるはずですから、リズムが捉えられるまで聴いて、自分でも心地のよいリズムが出せるように探していくこと。

 

今、声ででいなくても、体は動けるはずですから、聴いたときに、歌い手の体と同じ動きをしてみること。スティービーが特別なのではなく、そういう感覚を身につけてきたのでできるわけです。

環境というのもあって小さい頃からこういうものをいつも聴いていたら感覚が身につくんですね。ここでは、向こうの人が20才前までに入っていることの遅れを取り戻すようなことをやっているわけですから、今からいかに聴けるかということが大切です。

 

今の自分の感覚だけで歌うしかないですが、それでは狭いので聴いていき、新しい感覚を取り入れていかないといけません。こういうことは当たり前のことなんですが、つい忘れてしまうことでもあります。

 

ステージ実習なんかでも声とか表現とか一つのことに気をとられると他のことが抜けてしまい、先月言われたことを、またやってしまったりします。気がついたとき戻りつつ、前に進むことをやっていかないといけない。

 

 

Isn’t She Lovely

 

この曲は、彼にアイシャちゃんという子供が産まれて、うれしくてしょうがなくて、かわいいでしょう!という歌です。この曲のすごいところは、何と言っても「かわいいでしょ」という、うれしさ、それ一点だけで曲をつくってしまったところ。

 

一点にかける情熱と、それを形にする情熱に表現の深さがある。単純な構成の繰り返しなのに6分聴いても何回聴いても飽きません。親ばかのうれしさ、というばかばかしさでも納得させてしまえばすごいものです。歌詞だけでなく、声やハーモニカの音色にもうれしさが表現されています。

 

やけに抜けたような音色です。それに、ハーモニカのフレーズがもう“うれしい”と言っていますよね。おどったり、とびはねたりしている。楽器だったら何の楽器でも(ピアノでもバイオリンでも管楽器でも)音色が命です。ヴォーカルは、言葉で伝えるということもありますが、音色で伝えることも大切です。

 

 

Living For The City

 

声の抵抗感・重みのあるヴォーカルです。高い音は響にもっていくような歌い方の曲もありますが、この曲は聴いていて重さを感じます。重さというのは実際に重いものを持ち上げてみればわかりますが、ぐぐぐっという抵抗がかかります。バーベルを持ち上げるのは、ひょいと持ち上げるわけにはいかなくて、重みを支えながらです。

 

 

 

レッスン 5

 

あおむけになり、ゆっくり息を吐いてください。胸とお腹に手をあてて、胸ではなくお腹がふくらんだり凹んだりするようにしてください。次に、声を出してみてください。呼吸はそのままお腹でゆったり行ない、声は震えないようにしてください。

 

次に、こんどは今より大きめのしっかりとした声を出してみてください。(と中でお腹で呼吸できているか、お腹を触ってチェックしてもらう)

 

それでは曲をかけますので、ブレスの位置を確認しながら聴いてください。

次に、歌と同じところでブレスして息を吐いてください。曲を知っている人は、声を出してみてください。息だけより、声を出した方が少し楽だと思います。

 

 

ハート・オブ・マイン

歌っていて、息が苦しくなる人は、余計な意気がもれてしまっていることがあります。ハスキーな声と、息もれしているのは違います。自分の声だけでいいので息もれしていないか判断できるようにしてください。また、息を流していて、そこに声をのせるような歌い方もできるとよいと思います。小さい声は、揺れてしまいやすいので、息をお腹でして、コントロールできるようにしていってください。息の配分でフレーズの感覚がつかめるとよいと思います。

 

緊張すると表面を取り繕おうとして、胸で息をしたり、余計なところに力が入るため、胸で押さえつけて、どなるような声の出し方になってしまう人がいるので気をつけてください。緊張しても必ず深いところに息を入れて、息に声をのせるということを、本番でも頭の隅に入れておくとよいと思います。本番というのは場慣れということもありますが。(テキストP32ページを読む)

中・低音は自然に胸に響くはずです。高音では無理に胸でとろうとしない方がよいでしょう。

 

・んあーんいーんえーんおー

自然と、きれいに胸に響きやすいはずです。全部鼻に響きを抜くのではなく、鼻もとおしてあげる感覚です。鼻をふさいでやってみて、はずしてみれば、鼻をとおるというのがわかると思います。鼻をとおすと、高音で声が出しにくくなり、天井が低くなってしまう感じが少し楽になるはずです。

 

毛穴全部から出る感覚で、と言われたことがあります。鼻も穴が開いてますから、そういう感覚でやればふさがらずに出ていきます。目薬をさして、透みとおっていくところ、鼻とのどの間も、とおっている感じでやってください。

 

コーラスなどではよく注意されることですが、鼻濁音は歌の中では「が」などの濁音を鼻に抜かないと、そこだけ強調されてしまい、汚い響になります。ひとりで歌う場合でも気を付けることが必要です。あと10分しかないので声を出します。今の鼻にとおす、ということを少し意識してやってみてください。

 

・アエイオウ(ドレミレド)

・イエアエイエアエイ(ドレミファソファミレド)「イ」のときにも鼻にとおす

・ナーナーナー(ドミソミド)

・アー(ドーソーファミレドー)

・ハッハッハッ(ドミソラソミド)スタッカート

 

鼻にとおすだけではダメだけど、高音で天井が低くなって押さえつけられるような感じのときに、鼻に響を集めると、抜けてくる感じがつかめるのではないかと思います。実際歌っているときは、案外抜けてないことが多いです。家でしゃべるときなどに、鼻をとおす声を意識してみてください。

 

 

 

 

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Q&A  by トレーナー

 

Q:フレーズのメリハリというのは具体的にどういうもののことかがわからない。

A:言葉で説明のつくものではありません。

例えば、自分の一番歌いたい歌の歌詞を思いきり棒読みしてください。次に想いを込めて読んでください。

録音して聴いてください。何がどう違って感じるか聴いてみてください。同様に、一流の歌い手のほんの一フレーズを、同じように歌って聴き比べてください。そういうことを積み重ねていけばわかります。

 

Q:自分の自然な声がわからない。

A:仕事などでお客様と接するときの声と、家族に呼ばれて返事するときの声は違うと、自分でもわかると思います。自分がたった今出している声を常に意識してみてください。「自然な声を出すぞ」と意気込んだ途端に不自然になってしまうことは、初めは誰にでもあることです。自分の声がどうしてもわかりにくければまわりの人の声を聞いてください。あの人の声は猫なで声で不快だ、とかいろいろ感じるでしょう。メニュをやるときだけではなく、そういうことがトレーニングに結びついていきます。