一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

トレーナーのレッスン・コメント 29344字 1175

トレーナーのレッスン 29337字 1175

 

 

 

【トレーナーレッスン】

 

 これはテンポ60です。息と声を交互にやります。「ハイ」で、息、声、息、声で、できるだけ息と声を交互にやると、体の動きが変わってしまうから、それが変わらないようにします。動きは一緒です。 

息を吐くのも声を出すのも一緒なのですが、体ができていないと、声を出すときに体がつかなくなってしまいます。

 

息と声を交互にやると、体がぎくしゃくと別に動いてしまうので、息と声を出すところを一緒にするように感覚してください。息も力づくでぶつけずにできるだけ体の深いところからまっすぐに吐く感覚をもちます。声にするとか息にするとか、頭で考えてしまうと体が意識できません。体の動きを同じにして、ただ息になるか声になるかというだけです。声だけ喉で鳴らないようにします。

 

 どうですか。息とばらついていることが感じたり、それを完全に一緒にするという方向で練習してください。テンポはいろいろとやってみた方がよいでしょう。速くすると甘いところがわかってくるから、どういう速度にいっても変わらないところまで訓練してください。時間をかけて数をやらないと、そういう体にはなりません。

 

 

 どこか悪いところを直すというよりそういう体の状態や感覚にもっていくことを考えてください。

 80でやります。しっかりとテンポのところで吐いてください。息の方をしっかり吐かないと声がいい加減になってしまいます。あせらずに1拍ずつしっかりと出してください。今ので1分間くらいです。60のときよりは忙しい感じがすると思います。そう感じると速くしなければともっとあせってしまいます。 

速いと思ったら、自分はテンポの手前にいて大きくとるようにしていかないと、速くなってしまいます。そういうところも気をつけてください。

 

 これは120です。声は出なくてもよいから息をしっかりとしてください。これで息を吐くだけでつらいことだから、浅く喉のところで切るようにならないようにしてください。

遅れる分にはまだ力がついていないということで、よいのですが、速いからといってだんだん息が浅く上がってきて、切るとかぶつけるようにはならないように充分に注意してください。60の倍ですが、120でまわっていても同じです。一番したの当たるところでつかんでいなければいけないというのは変わりないことです。いきましょう。体にグッと負担がくるようにしてください。 

 

安定しているわけではありませんが、でもしっかり練習をしていたらいつもやっているというところは出てくるようになります。慣れてきたら、こんな感じと姿勢をとっていることも楽になるし、いろいろな意味で楽になってきます。あとは自分で広げていけばよいだけです。もっと深く息を吐こうとか、していけばよい。

最初は姿勢をとるだけで耐えられない。それは毎日やって慣れるしかないのですが、どういう速度で乱れないことが大事です。これが歌になったときに体が安定して使えることにつながります。これだけでもテンポによって違ってきてしまいます。そういうことを感じられるように練習してください。

 

 

 「ハイ」でいきましょう。テンポが遅くても点がだらしなくなってしまってはいけません。音を外して自分の高さで声にするところ、大きくしようとすると違うところが動いてしまうのであわてなくてもよいです。最初、しっかりととってから徐々に大きくしていくことを目標にとっていってください。地声がとれるところ取り出します。「ハイ」といってみて芯のとれるところです。

 

 あまり力まずにあごをもう少しひいて、動かないところで声になるところをどんどん下げていって探してください。姿勢にも気をつけてください。

 

 だいぶばらつきがあります。もう少し普通のところ、それを出せといっても難しいのですが、もう一回やってみましょう。そのくらいのところでもう少しここだなというところを見つけたらそこに息を入れていく感じてやってみてください。

 

 

 「ハイ」になると力が入っています。はっきりと聞こえる声でなくてよいので、パッと取り出せるようにすることと、体をもっと使い込んでいくことです。

 そのときに大きな声が出ているかではなく、体にまったく力を入れないで声になるところがあります。そういう抜けた感じだけだと力が入らないから、今の時点ではコントロールにならないのです。ため息の延長でも声にできるようにしておいてください。柔軟にしていくということです。

 

 まだ声には結びつかないのですが、いろいろなことをして、体を自由にしていくことです。こういうふうに発声練習をするという決まりでやるのではなく、力を抜いてといわれたら全部抜くという感じです。逆にどことどこに力を入れるといわれたら、それができるように、柔軟にすることです。

やっているうちに声と結びついてくると、これかなとわかるようになってきます。普通の動きをするのでさえも、動きにくいと思います。どこでもよいので「ラララララ」と舌だけでやってください。出ないところは浅くなるので息にしてください。

 

 これは息を吐いているだけです。それを喉でつくろうとすると離れてしまいます。それを結びつけます。息だけでやるときにこうなってしまうのでは支えられません。息をもっと吐くことです。息がひっこんでしまっています。息は同じです。

 

 

 「ラララララ」とやったとたん、息は止まってしまって「ラララララ」のようになるから、その逆をやっていかなければいけません。息をもとにしてください。息を吐いて、ここでちょっと発音するだけです。「ラ」と発音するためにすべてがここに上がってきてしまうのです。そうではなくて、意識はお腹の方です。

 

 「ラララララ」と5つありますね。ここだけハーっと息を当てていてもだめです。どの音でも息を流しきる。それを単に舌が「ラ」にしているだけです。それはやりにくいのはあたりまえです。そういうふうにしていないのです。でも少しずつこちらに意識をしていくことです。何を直したらどうなるというものではないのです。それはそういう感覚に慣れてください。深いところからです。

 

 当ててしまってはだめです。ていねいに吐くことです。抜けるように吐いているのを方向をもって吐くようにする。そこに「ラララララ」を入れるだけです。

 まわしてみます。他の人のを見て、わかるようにならないとだめです。3つが一致するようにしてください。

 

 

 「ハー」「ラララララ」←息「ラララララ」←声

息をそっと吐く必要はありません。もっと体からしっかり吐きます。だから全部声の方がひっこんでいきます。前に出る動きにならないと、小さく出すというのは、もっと大変なことです。小さくなるのは体に力が入らなくて抜けてしまっていることだから、息の時点で吐き方がよくありません。

 

 「ラララララ」というときに、息でやっているときと離れてしまうのはわかると思います。それが一致するように自分でいろいろやっていきます。やってみるときにあまりにも小さくなるのでなく、息を吐くといったら常に全身から吐いてください。

 静かに吐くメニューであれば、そう対処します。ハーっと吐かなければいけないときに小さく吐いていたら、体が動かないでしょう。

 

 それを自分で判断して、まずいと思ったら、次のときには変えてください。基本的にはスポーツのトレーニングと一緒です。今のように3回息を吐いて「ラララララ」とやったら、しんどくなる感じなら、部分的でしょう。もっと積極的に体を使って欲しい。いろいろ聞くのにも、本当に体なのだと感じてもらうためだから、もう少し動いて欲しいです。

 

 

 もう一度やりましょう。自分でイメージでもってください。息をゆるめてしまってはだめです。尻つぼみにならないようにしてください。

 5つは難しいので「ラ」を3つにしましょう。それを一致させることをていねいにやってください。

 

今ちょこっとやったことは何にもならないのです。ただ、そういうふうにことばにしたときと息にしたときがいかに一致しないかということ、それが一致すればつかんだり離したりという感覚がとれてくるからしっかりやってください。

 

 息の吐き方も気になるのでやってみましょう。もっとひとつずつしっかりと体を使ったら、今の3段階のものでもすぐにはできないと思います。歌では、ハーッとやってグッとくるまで体を使ったら、次にふっとやらなければいけないでしょう。

 

 

 やり方が中途半端です。使えていません。使い切るという感覚がとれないのかもしれませんが、甘いです。もう少しばっちりとやってみてください。

 息を吐きます。クレッシェンドに吐きます。最初は小さく吐くのではなくて、普通にしっかり吐くのです。最後にハーッと体で吐ききるのです。

のどで調節しても逆にぶつけてもだめです。体の深いところからしっかり吐きます。長く感じなくても、もっと瞬間に吐きます。口のなかでやらないように。2拍で1回です。前屈でやってください。吐き始め、息の深いところが体の中心から出てくるのを意識してください。

 

 出だしでぶつけているのが気になります。そのこと自体、息が浅くなっているからです。よほど用心しないと、これではのどを痛めてしまいます。音のしない息を吐くなどいろいろな方法があります。いろいろな方法で息を吐いてください。1個のやり方だけを力づくでやっていると癖になってしまいます。

 

人の吐き方を参考にしましょう。全身を使うことです。息は見えにくくても息でハーッとやると自分の耳には見えます。これは何ひとつクレッシェンドではないです。口のなかを鳴らしているだけです。それをごまかされないように、体に負担がきていないのにそんなことをしていてもだめだと自分で思わなければいけません。息の深さ、深い息を意識していってください。

 

 

【ステージ実習・ライブ実習プレ】

 

プレBV座VOL.23 トレーナーの総評

一人ひとりを見ると、これまで比較してよい面や成長を感じる部分があったので、よかったと思う。 

しかし、ライブとして見ると、やはり発表会の域を出ない。MCや歌に段取りが見えると、働きかけにならなくなる。人柄や誠意は感じられても、その隙はライブの空気を殺(そ)ぐ。観客と自分の間にある空間の存在をきちんと捉える(感知する)こと。段取りを追うのは正気さにつながる。正気さ=ただの現実。それが読めてしまうと、観客は居心地の悪さのようなものを感じる。「笑っていてあげなければ」というような、落ち着けない状況を呼ぶ。1秒を10秒に感じるくらい、観客の方が敏感になってしまうときである。「勢い」とか「飛んでくる」といわれるものについて、ゲストの差がどこにあるのか感じて欲しい。ステージをする状態とは、努力で得られるものではなく、必然的に生じるものだ。

 

 

ライブ実習2

自由曲、課題曲とも、元の歌が頭の中で鳴っており、それをなぞっている。その歌や、元の歌い手が好きなんだろうなというくらい、選曲の意図もみえなかった。ピアニストはカラオケの代わりではない。以上の点で、全員ではないが、ほとんど一人よがりである。詰めてくるプロセスが悪い。

1.声、フレーズをつくりすぎている。誰の影響を受けているのかまでみえてしまう。もっと素直に歌った方がよいのでは。今のままでは、あなたらしさがみえない。

2.曲には少し入れるようになってきたが、場に入り切れない。慣れてください。歌詞やメロディでなく、イメージのところでのミスです。

3.ステージでは“聞かせている”くらいの気概があってもよい。緊張しても、自信のなさはみせないこと。瞬発力、集中力、必要です。

4.素直な点ではよいのだが、ここまで音程が狂うと、空回りでステージにならない。勝負できるところを、もっとしっかり絞り込むこと。

5.自由曲の途中から少しもち直したが、場に入り切ることが課題。普段、ていねいに声にすることを、しっかりやっていこう。

6.歌い方にクセがついているが、体でもっていけそうなところもみある。クセをはずし、素直に声にする。1フレーズ深く聞くこと。

7.声はあるが、表現との接点がついていない。1フレーズを徹底して練り込むこと。まだ、引いてしまっているところが目立つ。

8.自分のやっていることを正面で受け止めながら発しているようなところで、安心してみられた。

9.アカペラではできるところが、音楽がつくと壊れてしまう。あらゆる意味で、ていねいに聞く必要がある。聞いたままでは、歌にならない。

10.形をとるなら、もっと徹底すること。今のままでは聞き手に先を読まれる。声は、少し落ち着いてきている。

11.イメージの空回り。フレーズに還元されていないため、自分一人の中で閉じている。働きかけているものと、いないものの区別。

12.ステージとしては、元気で生き生きしていた。フレーズにもっと練り込みが必要。“歌い方”の中で歌っている。心地悪くはないのだが、スケールが欲しい。

13.フレーズは、ていねいになってきている。あと一歩の、ピークがない。ありそうにみえるので、肩透かしの感じ。構成をしっかり詰める。

14.ステージとして、前向きでよい。フレーズも、体でもっていけるようになってきた。雑な方向へいかないように。勢いだけでなく、語尾など繊細な放し方や小さな動きを、しっかり処理すること。

 

 

 

ステージ実習1

 

 音がとりにくいのはよくわかりますが、あいまいに覚えてきて歌えるはずがありません。覚えるのと歌うのとは違います。何のための課題なのか考えてみてください。好きな曲でそれができるのなら、自由曲も聞かせてください。何の興味もない人を振り向かせるのが歌い手の力です。うまくなってから考えるのでなく、たった今、自分にできるすべてを使って魅了するというところをみせて欲しいと思います。

1.(欠)

2.歌は暗記でなく、体に入れてください。うまくこなす必要はありませんが、あいまいなところは、はっきりするまで聞くことです。

3.休符が省略されて、せわしなく聞こえます。落ち着きましょう。音程差があるところで、どんどん転調してしまっているので、VTRでよく確認してください。

4.伝えようとする意志がみえる点はよいです。空回りしないためには、どこか1フレーズを確実にすることです。他は捨てるつもりで1フレーズが音楽になるよう、徹底して聞き、練り込んでください。

5.曲の流れを感じとることはできています。うまく声にできないだけです。慣れも必要です。つっかえたときのカバーの仕方など、ステージを想定した準備をしましょう。

6.声は素直に取り出せました。それが狂い始めるあたりから間伸びしています。完全に歌に集中するという状態を、普段とり出す努力をしてみてください。リズムのとり方が単調です。曲を聞き込み、ノリを感じることです。

7.休符の部分で走っているので気をつけましょう。イタリア語は、カタカナに置き換えずに、音をよく聞いてください。サビがサビとして盛り上がらないのは、あなたがサビを感じきっていないためです。よく聞いてみましょう。

8.場慣れしている点で安心してみていられます。語尾に大きくトレモロがかかるクセがあり、どのフレーズも同じに聞こえてしまうので、VTRで確認してみましょう。リピートする場合、同じように歌っても、もちません。構成を原曲から聞きとってください。

9.体を使っていく方向はみえるようになってきました。まだ音楽になっていませんが、その方向でよいです。ただそのままにせず、ギリギリまで表現を入れていくことを忘れないでください。

10.声は素直に出ています。自分なりの解釈をしていることも感じられます。そのままでは音楽になりません。声をとり出すことと別に、音楽として伝えることを考えていきましょう。そこで一致するのを待つことです。

11.曲想はある程度つかんでいますが、音程の表面を動かしてしまうので、歌い回しているように聞こえ、インパクトになりません。ことばでできる、深い声のところを使ってフレーズを練り込んでください。

 

 

新入ステージ

 

 初回や2回目では何だかわからないと思いますが、何もないスタジオのあの場を、あなたが一瞬、ライブの空間に変えればよいと考えてください。伴奏や友だちの応援など、他人の力が何もなくても、自分の出番のときにその場にいる人をひきつけてください。そのためには、何を準備すれば確実にそれができるかを考えて過ごすことです。場に出れば何とかなるというのは、すでに実力を身につけた人だけです。客は、あなたの友だちではありません。まず全力で、これ以上できないという準備をしてください。

 

(1回目)

1.よい声です。内容を絞り、本当に伝えたいことだけを、ギリギリの状態で声にしてみましょう。

2.落ち着いています。ことばが、やや発表調です。読み上げることと、表現の違いを考えてみましょう。

3.面倒でも内容をもっと絞り込んでください。いいたいことをたくさん並べても、全部流れてしまいますが、これだけはいいたいと、絞り出したものには、力がこもるのです。

4.ことばで声を取り出すことは、うまくできています。変なつくりやクセもありません。限界まで表現を入れるため、伝えたいことをもっと一点に絞ってみてください。

5.少しのど声ですが、よく通る声です。意志もある程度、伝わってきますが、全体的に説明調なため、結果的に内容が残りません。どこかにピークが必要です。

6.口調をつくりすぎていて、それがパターン化して単調に聞こえてしまいます。いわゆる舞台口調ではなく、自分のことばを声にしてみましょう。

 

(2回目)

1.(欠)

2.声は落ち着いています。準備もしてきていますが、伝えるという点でインパクトに欠けます。作品を通して、自分の中がどう高まり、それをどうやって伝えたいかをみせてください。

3.ことばを区切りすぎて、聞き手にイメージが伝わってきません。全体をよくみて、ピークをきちんと出してください。

4.ことばにくせがついていて、どの部分も同じように聞こえてしまいます。ことばで読んでも、感情を伝えられるような練習をしてください。

5.何かを読んでいると感じさせなくなるまで、元の作品を体に入れてください。ここで何かが強まったと感じさせるには、自分の中がそのように変化していくことです。全体感をもう少し見直してください。

6.ことばとことばの間が一定すぎて単調になっています。聞き手に「何かを読んでいる」と思わせるスキを与えないように、もっと作品を体に入れてください。

7.クセがなく、素直ですが、どうしても伝えることがあるという部分がみえないので損をしています。内容をもう一度見直し、自分のことばとして生きてくるまで、読み込んでください。

 

 

 

ステージ実習2

 

 勉強の場なので、本番で失敗するのも経験のひとつだと思いますが、そのような経験がほとんど生かされていない気がします。普段、自分の声をもっとよく聞き判断する作業をきちんと重ねてください。1フレーズを聞かせるか、どう聞こえているかということを徹底して突き詰めているところが、感じられません。曲に振り回されています。「体を使う」ということにのっかってしまわずに、出ている声を聞いてください。

1.形をつくるのはうまいのですが、曲に入れていません。体を使えるようになってきています。ただ、のどで動かそうとしてしまうため、声が荒れて聞こえます。工夫は感じましたが、2番までは、もっていません。元の曲を壊し、構成をしっかり組み立てましょう。

2.コントロールはできませんが、声はよく出ています。曲の展開も感じているようなので、もっと譜を離れ、表現を入れていきましょう。イタリア語の深い音をもう少し聞き込んでみてください。

3.出だしがよくありません。歌い出すとき、声を出すとき、きちんと準備をしましょう。キィの設定が高すぎます。MCの声と比較すれば、無理なところを使っていることがわかるはずです。大きい声を出そうと焦らずに、1フレーズをしっかり声にしてください。

4.歌の出だしで全力を使ってしまい、サビがもたない感じです。全体をよくみて、構成してください。曲の流れの通りに順序で歌うのでなく、自分で展開することです。

5.3拍子のとり方が少し表面的で、空回りしているので、聞き直してください。フレーズを大きく捉えているのは、よいところです。曲調が変わってからは、自分のやり方にもっていけますが、もう少し原曲のよさをくんで解釈できるとよいでしょう。構成がみえるような流れが欲しいです。

 

 

ステージ実習3

 

 声が出ているのに、なぜ歌にならないのかを考えてください。まったく球を見ずに大振りしているような印象を受けます。基本をもう一度、踏んでください。声の使い方、取り出し方の中心をきちんとみれば、もっと歌えるはずです。

1.フレーズ語尾の処理がパターン化しています。声の出し方、音のとり方のクセのところで引っかかっているので、1フレーズ、1音と、細かくチェックしてください。1~2フレーズで構成をつける練習をお勧めします。

2.息もれが気になります。握りきれていないところで声を押しつけているため、声が前にとんでいきません。しかし、きちんと出せばできるはずです。クリアに声になるところでの基本トレーニングを見直してください。

3.1音目がうまくとれないことで、フレーズが全体にあいまいです。考えながら歌わずに、どんなに面倒でも音を体に入れて、1フレーズごとに確信がもてるところまでつめてください。語尾がすべて伸びてしまうのは、フレーズの始めで決められないためです。

 

 

 

ステージ実習予備

 

入(1)

1.歌は歌えています。自分の歌にしていくことを考えていきましょう。声が出ることと、声を使って演奏することの違いを学んでください。同じ曲を別々の歌い手で聞き比べてください。

2.ある程度、自分のスタイルをもっています。声としては、歌のときにややつくってしまうため、オリジナリティとしてのインパクトに欠けます。メロディがなくても、ことばだけでフレーズをふくらませ、伝える練習をしてください。

 

(2)(3)

1.だいぶ音がすっきりしてきましたが、まだあいまいになります。1音を体でキープすること、特に音程が上がるときに音をひきずらないよう気をつけてください。サビをサビとして前に出すことを考えましょう。

2.声はある程度までコントロールできるのですが、フレーズとしての動きが乏しく、元の曲をなぞっているように聞こえています。フレーズが壊れてもよいので、練習ではもっと思い切って前に出してください。

 

 

(3)(4)

 このクラスでは、曲をどう感じ、どう伝えようとしているのかが、もっと出せてもよいのではないかと思います。確かに難しい課題ですが、狙いも意図もみえないと、何曲歌ってももちません。 

特に「津軽のふるさと」は、テンポが聞き手にみえないため、いつ終るのかわからず、サビもサビになっていません。もう少していねいに練り込むとともに、聞き手に働きかけるものを入れていってください。

1.頭で考えながら歌っているのがみえてしまいます。まずメロディのラインをしっかり体に入れ、確実に声にしてください。まずことばを、次に音をつけるという手順をきちんと踏むことだと思います。

2.出だしは、うまく取り出せました。それを慎重に前に出していく練習をしましょう。うまく力は抜けていますが、その分、まだ弱いです。一致点を探していってください。

3.アクセントの置き方、リズムのとり方が、曲の流れから、はみ出しているのが気になります。声はていねいに扱おうとするところは感じました。単に引っ込めてしまわずに、いろいろな方向で試みることが必要です。

4.音程に振り回されて、フレーズがぎくしゃくしています。全体にピークがなく流れてしまったのも、そのためでしょう。音を止めるところはしっかり止めて、粘ることです。焦点を絞ってみてください。

5.1音目のとり方が甘く、2音目で、もたれるくせがあります。フレージングが音の強弱として聞こえてしまうため、メロディラインがはっきりしない点を、VTRで確認しましょう。落ち着いて音をキープすることです。

6.出だしで曲に入れていません。語尾がすべて平面に伸びているので、気をつけてみてください。ことばをしっかり体に入れることです。自由曲は、曲のノリをもう一度、確認してみつしょう。

7.声の出し方にクセがついており、1音をキープすることが課題です。声は出ているのですが、クセが音の流れを邪魔しています。いつもより集中できていました。もっとテンポを落として練習し、音を感じてください。

8.メロディは届くし、音色もあります。ピークをみせて、きちんと終るという構成について、しっかり組み立ててみてください。

 

 

 

ライブ実習2

 

人数が少なかったせいもありますが、全体に暗くライブの空気になりませんでした。ただキィを合わせるだけで、伴奏を活かせなかったのも残念です。それぞれ意図したことがあったことは感じられます。ただ、舞台をとても高いところに感じてしまっているのではないかという印象でした。いつ声がかかっても、出ていけるだけの準備、エネルギーが必要です。

1.努力がよい方向に向きつつあります。歌の中では、まだことばの悪いクセのところにそろってしまうので、ことばを巻かずに音をしっかり出していってください。歌うときには、声を忘れ、表現に集中することです。

2.意図は感じられますが、場の空気にのまれ、伴奏負けしています。音源を使う場合、音が華やかになる分、それを超えて前に出るパワーがみえないと、間奏などで却って沈んでしまいます。場の空気や客の雰囲気まで読んで、準備しましょう。

3.声はよく出ていますが、出ているだけに、構成が流れがないことが際立ってしまいます。舞台側に立ち、聞き手に対する働きかけをすることです。そこから、フレーズを捉えなおしてください。

4.ことばが流れています。曲が体に入り切らないまま、伴奏と合わせようとしているため、全体にぎごちなくなりました。たとえばテンポを決めることでも、単に歌いやすいからではなく、本当に一番合うのはどこか、徹底して試すような準備をしてください。

5.1フレーズの中で声にバラつきがあり、メロディラインがみえにくい傾向があります。英語のことばをいい切れず、単語の頭だけ打ってしまうのは、発音の問題というより、まだ曲を速く感じているためです。音を完全につかみ切れるまで、テンポを落とすなどして、ていねいに練習してください。

6.空気にのまれず、自分のペースを保てました。サビを出すために、他をどうするか、構成がみえるとか音が展開するとはどういうことかを勉強し、感じられるようにしていきましょう。

 

 

 

新入ステージ

 

 それぞれの人によさがあります。自分のもっている可能性を実力に結びつけていくために、新入懇やステージ実習を活用してください。自分によいものがあっても、人前に立ったときに、聞き手に対する働きかけとして、確実に取り出すことができなければ、それは力として機能してくれません。しかもそれは、これ以上にできないというところまで力を振り絞って初めて、ある形として現われるものであることを、この場でたくさん経験してください。 今日の課題に対し、どれくらい時間を割き、追求してきたか、振り返りましょう。そこに手間や労力をかけられることが、上達の条件です。

 

(1回目)

1.声は素直に出ており、共鳴もよいです。ことばのふしぜんな抑揚をはずし、自分のことばで伝えてみましょう。内容を絞り、どうしても伝えたいということを全身で伝えることです。VTRをみて、自分の中に高まっているものがあったかどうか、振り返ってください。

2.声は無理のないところからよく出ています。ことばがブツ切れで届きにくいので、センテンス全体を見直すとともに、暗記してきたと感じさせないところまで、体に入れてください。頭で追っていると、どうしても説明調になってしまいます。

3.声そのものは、深くてよい声です。それだけに、内容がとりとめのないものに聞こえてしまいます。伝えたいことを絞り込み、聞き手を一瞬もそらさないというところで、もう一度、構成を考えてみてください。

 

(2回目)

1.よく準備はされていました。同じトーンが続くと一本調子になるので、ことばの間やリズムを意識できるようにしていきましょう。作品自体がやや長いので、ピーク、見せ場をつくり、しっかり終らせることです。

2.落ち着いているところに好感がもてます。ことばを切り過ぎているため、何かを読んでいるように聞こえます。自分にとってのしぜんなことばになるまで、読み込みをしましょう。悲しいことを悲しそうに読むのではなく、まず全身で伝えることをめざしてください。

3.しっかり前をみて、伝えたいことがあるという意志を聞き手にみせましょう。うまくできたかどうかよりも、前に出たときの感覚、場の空気などを感じ、慣れていけばよいのです。普段から場を想定した練習を行なってください。これだけ練習したと自信をもてれば、もっと歌えると思います。

4.声の取り出し方がうまく、しぜんな口調です。聞き手を意識できており、朗読としてはよい線です。今後は、自分の表現として、どう出していくか考えていきましょう。自分の声を知るために、あらゆる音声表現に触れて、自分だったらどうするかを常に意識してください。

 

 

 

ステージ実習1

 

 歌詞とメロディを暗記してきたという印象です。課題を直して表現するということが、まったく練られていません。がんばってきたのはわかりますが、まだやらされている感じです。失敗しても、うまくいかなくてもよいのです。何もない舞台を自分で動かそうとするから力がついていくのですから、そのための準備に力を注いでください。

1.前に出たときの感覚、空気、自分の内側の状態を感じ、それを踏まえた準備をいつもしていけば、失敗は失敗になりません。すべて引き受け、次に活かしてください。

2.音程を追っているのが聞き手にみえてしまいます。曲がどこで盛り上がるのか、どういうところで心地よく感じるかという部分を、しっかり聞き込んでみましょう。自分で意図しないと、人に伝わりません。

3.声にはクセがなく、素直に出ている方です。気持ちを込めていることも、わかります。VTRで、自分の歌を客観的に判断していきましょう。リズムのとり方にクセがあり、音楽の流れからそれています。少しの狂いにも敏感になるように、チェックしていくとよいでしょう。

4.フレーズの語尾を、すべて同じ形で伸ばしてしまうので、結果的に単調になっています。ことばをていねいに扱うよう、歌詞の読み込みをしてください。ことばだけでも表現できるくらいのイメージを入れてください。

5.ことばからでも、音からでもよいので、イメージをしっかり組み立てましょう。自分が伝えたいこととの接点をつけるためにも、イマジネーションを広げることが大切です。どうやったら生き生きとした音楽になるか、考えてください。

6.声としては、今歌っているところにヴォリュームをつけていくと考え、メニューを組むとよいでしょう。フレーズとして、今はぎこちなくても、体でしっかりと声にしようとしているのであれば、それでよいです。しかし、サビはサビとして出していきましょう。

7.音楽になっていませんが、ことばはとんできています。もう少し、サビが前に出て構成がみえるとよいでしょう。狙いが自分の中にあるのなら、音程をとろうとしなくてもよいです。

 

 

 

ステージ実習予備入(1)

 

1.声はよいです。まとまりがなく、まだインパクトとして弱いですが、理解できないおもしろさのようなものは感じます。策に走りすぎず、声と結びつけていってください。

2.声が深く、よい意味での緊張感をキープしました。作品も、よく読み込んで、自分に近いことばになっていること、ピークがみえたという点で、評価できます。もっと強くインパクトを残すにはどうするかを、相対的にでなく、自分の中で詰めていってください。

3.場の空気を跳ね返せるだけのエネルギーがもてるまで、作品に向き合いましょう。たとえつっかえなかったとしても、伝わらなかった部分はどこなのか、考えてください。

4.聞き手を動かそうという意志を前に出しましょう。作品のよしあしを超えて出てくるものが、場を動かします。一流の作品に触れ、何によって人が感動したり喜んだりするのかを、自分に置き換えて感じていきましょう。

5.ところどころ、音色として、よいところが出ていました。全身で伝えようとしているのも観じます。全体が流れてしまわないように、気をつけましょう。1フレーズに絞り込んで、そこを確実に伝えるための練習を、ていねいに行なってみてください。

6.堂々と歌えている点で、安心してみていられます。やや声で押し切り過ぎているので、曲の構成を考え、イメージもしっかりつかんでください。同じ伸ばし方、出し方だと、結果的に単調になってしまいます。原曲を聞き込み、曲のピークを音の中で感じてください。

7.ていねいに歌っています。音楽としては起伏に欠けてしまうので、曲の流れをよく感じてください。1曲の中に世界があり、それが始まってピークがあって終るということを、実感していきましょう。ことばだけでも盛り上げられるように、練習してください。

8.MCの声と歌の声の違いを、VTRでよくみてみましょう。声が息もれしていること、音が上がるとき、声をぶつけるクセがあることで、メロディの輪郭がよくみえません。1音をしっかり声にするトレーニングをしてみてください。

9.声にバラつきがありますが、音楽は少し感じられます。中低音域で、よいところが出ているので、確実に声にできるよう、基本のトレーニングをしっかり行なってください。ダラダラせず、1コーラスで切った点など、賢明です。

10.いつもより力みがなく、比較的、集中できていました。音程は悪くはないはずですが、少しずつ狂っています。チェックしてください。歌い出しから終りまで、力の配分を考え、サビがきちんと出せるようにしていきましょう。

11.声の出し方にクセがついていますが、音楽が聞こえるため、不快ではありません。声をつくっていくか、スタイルを活かしていくかによりますが、課題曲のように自分では絶対、選曲しないというものを扱うことで、自分にしか出せないものは何かを、みていくことが大切です。

12.キィにやや無理があります。キィだけで決まるものではないのですが、しっかり音になっているということが、音楽を動かしていくことを、いろいろな歌の中から感じていってください。自分の気持ちが一致しても、常に客観的にはどう聞こえるかを、同時にみていくことです。

 

 

 

ステージ実習予備(2)(3)(4)

 

1.曲に入りきれずに最後まで流れてしまいました。声のことを意識しすぎて気が散っているようにみえます。聞き手に対して自分を投げつけるくらいのものを、歌の中に入れていってください。

2.キィの設定が高すぎます。扱えないところでぶつけてしまうため、フレーズがぶつ切れに聞こえてしまいます。出ている声をよく聞いてみましょう。その音に届くかどうかより、サビでヴォリュームが出せているかを、意識してください。

3.声がよいです。音色を出せる部分もあります。全体に気持ちが引いてしまいました。自信をもって、ノリを前に出してください。曲調などは、よくつかめています。確実に出すための練習と準備をしてください。

4.少しクセはついていますが、ていねいに音を扱っています。声の出し方から離れて、表現に集中できるとよいでしょう。そうすると、内側では感じている曲の構成が、前へ出せるようになってくると思います。音色・音のタッチについて、いろいろなものを聞いてください。

5.声がやや固いものの、よく出ているし、しっかり歌えています。音楽も聞こえます。そこまで歌えるからこそですが、2曲の差異が、もっとはっきり出せるのではと思います。曲の世界、自分の世界を、より強く出していくことを課題にしてください。

 

 

 

新入ステージ

 

1.世間話にならないよう、舞台を想定した、みせ方を考えましょう。声そのものは悪くありませんので、どう活かすのかを詰めることです。

2.声は素直に出ています。ことばが少し芝居がかって聞えるので、自分のことばに戻してみてください。そうすると、パターン化から抜けてきます。

3.落ち着いているところに好感がもてるのですが、ことばが説明調です。ステージを意識して、自分のみせ方を詰めていきましょう。

4.声はよいです。内容が絞られていないため、散漫な印象を受けます。3分間、全力になれることを前提に、課題に取り組みましょう。

5.口調は、しぜんです。そのぶん、表現として少しものたりないので、図々しいくらいに前に出すつもりで、聞き手をひきつけることを考えてください。

6.発表と表現の違いを、普段から考えてみましょう。緊張してもしなくても、これだけは伝えたいという意志をみせることが必要です。

7.やや、説明口調です。伝えたい内容とステージでのテンションが一致するよう、課題に取り組んでください。

8.ことばの語尾の調子、抑揚がすべて同じなので、結果的に単調に聞えてしまいます。あまりつくりすぎず、自分のことばが取り出せるようにするとよいでしょう。

9.全体にピークがありません。全部を声で押し切らず、曲調、曲想を捉えて、サビを盛り上げることです。声は、素直に出ています。

10.元の曲が聞えてきてしまいます。大きな狂いがないぶん、曲が流れているのです。1フレーズごとに見直し、サビにピークをもってこれるように、組み立ててください。

 

 

 

ステージ実習(1)

 

それぞれのよいところはみえます。ただ、元にそれだけよさがあるのに、結果として準備不足で、どこがどんなふうによかったといえるところになっていません。それでも、前回よりは少し詰めてきたという感じは受けます。でも、それくらいでは、やはり全然たりないということを、知ってください。曲を覚えて、どこをどう歌おうとか、感情移入してくるというのはあたりまえのことで、練習以前です。それが、気迫負けにつながります。何もないスタジオに、真剣に勝負するステージを設定してください。

1.声は出ていますが、あまり張り上げすぎないよう注意してください。やや機械的な感じを受けるので、曲想、構成をしっかり見直してください。

2.声そのものはよいですが、声が揺れるため、ピッチが不安定になり、フレーズのラインがみえにくくなっています。1フレーズずつていねいに声にすることを徹底してみてください。

3.少し急ぎすぎに聞えるので、落ち着いてゆっくりテンポを確認して歌い出しましょう。曲の流れをよく感じ、のれるようになるまで、よく聞いてください。

4.比較的、声は出ています。どのフレーズも同じように聞えるので、聞かせどころを絞って、そこにピークをもっていくようにしましょう。

5.語尾を伸ばしすぎるクセがあります。全体が単調にならないためにも、VTRで確認し、再度、練り直してください。何となく曲の流れを追うのではなく、どこをどう歌うのか、きちんと詰めることです。

6.いつもより落ち着いて歌い出すことができました。全体的に、恐る恐る歌っているようにみえるので、思い切って表現してください。

7.いつもより落ち着いて歌い出せていました。声の出し方に振り回されている印象を受けます。イメージや表現が死なないよう、練習で、どちらも徹底して歌い込んでください。

8.流れとしては、まだあまいまですが、少し構成はみえました。1フレーズごとにことばに音をつけていくような練習の家庭を、きちんと踏んでいってください。

9.欠席

10.大きな狂いはありません。フレーズ処理が、声の出し方のなかで行なわれているため、歌い方を聞き手に読まれてしまうところがあります。曲想から再度、見直し、何を表現したいのかを詰めてみましょう。

11.ことばが聞えるところはあるのですが、暗記したことを頭で追っているのがみえてしまいます。練習してください。

12.歌い出しで声をとり出せなかったことが、最後まで影響しました。やろうとしていることを出すには、音域がありすぎる曲だったと思いますが、もっと思い切って歌ってみましょう。

13.1音目のとり方が、各フレーズとも引っかかっています。スッと入れるように練習しましょう。MCの声と歌の声をVTRで聞いてください。その差を埋めていきましょう。

14.表現を入れることは比較的できており、ことばが聞えてきます。それを音楽にすること。フレーズとフレーズのつながりを意識して取り組んでください。

 

 

 

ステージ実習(2)

 

もう少し曲を聞き込んで、流れを感じとってください。順を追って歌っているような印象です。構成について、わかりにくいときは、聞かせどころを決めて、そこにピークがくるように組み立てることです。

1.声はよく出ていますが、まだ線がありません。線を出すのがどういうことか、最初はわかりにくいのですが、まず曲にのれるところまで聞き込み、ノリを感じましょう。ノリを離さないようにして歌い込むことをしてください。

2.発声に気が散って、うまく曲に入れていないところがあります。練習のときに、もっと各フレーズごとに練り込み、徹底して声にしましょう。できるだけ大きく拡げておいて、本番では思い切って歌うようにしてみてください。

3.少し力が入ってしまいました。休符のときに自分も止まってしまうことがないように、フレーズとフレーズをつないでいきましょう。ことばに戻して声にしてみると、バラついているかどうかわかりやすいので、ていねいに行なってみてください。

 

 

 

ステージ実習予備 入(1)

 

1.「うれしい」というとき、そのうれしさをどうやって最大限に伝えるかということを、その都度、考えて、思いつく限りの試みをしてみましょう。全身で伝えたいことを、どうしたら取り出せるか考えながら、場数を踏んでください。

2.真剣さは伝わります。今回のでき、ふできよりも、今回のことをもっと10倍20倍に強めて伝えようとしたとき、必要なもの、省くべきものが出てきます。そこを、詰めてみてください。

3.入り方は落ち着いてできました。語尾の処理が同じため、変化に乏しくなりますが、サビはいつもより集中できています。もう一歩、曲の中へ入れるようにしていきましょう。

4.声が揺れてしまうので、メロディラインが見えにくくなっています。勢いをつけすぎず、1音をきちんとキープしてください。VTRをみて、MCの声のクリアなところをよく聞いてください。歌では力が入って、ややこもっています。

5.歌い出す前に、自分の中に音楽が流れるように、練習中から意識してください。テンポだけとって入ると、どうしても、せわしくなります。思い切って伸び伸び歌い、そこでぶつかる問題をトレーニングに、おとしていきましょう。

6.VTRでMCの声をよく聞いてみましょう。歌のイメージと、取り出す声が一致していないため、力が入って声がこもっています。サビにもっていこうとする構成はみえます。1フレーズに絞って、確実に声にする練習をしてください。

 

 

 

ステージ実習予備 (2)(3)(4)

 

1.比較的、伸び伸びと歌えており、声も素直に出ています。出ている声をどうしたいのか感じられるまで、曲と向き合っていきましょう。フレーズを細かく検討するのと同時に、感じたままに自由に歌うことも行なってください。

2.出だしはうまく入れました。音程が上がるとき、声を押しつけたままずり上げてしまうクセがあり、苦しそうに聞えます。普段、テンポを落として、確実に声にする練習を積んでください。

 

 

 

ライブ実習(3)

 

1.落ち着いて入れるようになりました。声の出し方にとらわれすぎて、音楽が抑え込まれているような印象を受けます。トレーニングの中では、声に集中することがあってもよいので、同時に自由曲くらいの軽さの中で自由に歌うことをやってください。

2.課題曲の出だしは、よくしのげました。メロディラインも、だいぶはっきりしてきています。1フレーズをしっかり線にしていく練習をしてください。声を押さずに、音が動いてくるのを待つことです。そのためには、元の曲をしっかり聞き込んで、部分的に取り出してチェックしてください。

3.音域のあまり広がらないところで、構成をみせる練習をしてください。もっと厚かましく曲に踏み込んで大丈夫です。自分のよいところを最大に活かすことを常に考えましょう。その点で、自由曲の選曲は、よくありません。ピアノをつけて、ピアノを引っ張れるところまで、練り込んでいきましょう。

4.声を出すことに振り回されている感じがします。心と体と声の一致点は、なかなかつかめないものですが、声の出るところなら出るところで、まず思い切り表現を入れてみましょう。そのあとで、細かく判断していくことです。

5.だいぶ力は抜けてきましたが、まだ力みのために声にこもりがあり、フレーズ全体がバラついて聞えます。1音をきちんとキープする練習を積み、整ったところでフレーズにするという手順を踏んでみてください。

6.リズム感がよいです。うまく声にできない部分は、焦らずに1フレーズごとにバラして徹底的に練習しておきましょう。音楽は入っていますので、あとは声をどう扱っていくかです。時間をかけてください。

7.体から声は出ていますが、フレーズとして聞いたときに、押しつけて聞えてしまいます。発声トレーニングと歌を分けて考えてみましょう。曲を聞き込み、どこが音楽になっているかを、よく感じてください。また、普段から、いろいろな声を出して、自分の声を知っていきましょう。

8.ところどころ、声のよさが表われている部分がありました。VTRをみて、自分で確認してください。元の曲にのまれているところがあります。曲の組み立て、フレーズの練り込みを白紙の状態から行ない、しっかりピークをつくれるようにしていってください。

9.発声のクセが歌に影響しています。フレーズをつくろうとするあまり、音がバラついているのです。ことばに戻し、しっかり音にするところから、ていねいに取り組んでみましょう。曲全体をどうみせるかという構成が、きちんと詰められるとよいと思います。

10.歌い出しで、しっかり切り替えましょう。大きな乱れはありませんが、フレーズ語尾の処理が、やや単調です。さまざまなパターンの中から、絞り込んでください。聞かせどころをきちんと前に出すため、フレーズとフレーズのつなぎを考えてみてください。

11.調子がよくなかったようですが、声のよさはところどころ出ています。くせがなく、しぜんで体でもっていける部分もみえます。確実にできることを、安定させてください。あとは場に入り切れるかどうかです。

12.出すところ、引くところの密度の差をつけていくとよいと思います。つかむべき一瞬をつかむことだと思います。フレーズ処理のまえに、声そのものの濃さや動きを、いろんなものから感じてください。

13.ステージをキープできました。大筋では、音楽もしっかり捉えています。固さをはずしていくため、いろいろな方向でフレーズを試みてください。曲を聞き込むこと、ことばのところでニュアンスを表現できるようにしていくとよいでしょう。

 

 

 

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【レッスン録(トレーナー)】

 

過去に比べ、今回は身体的に柔軟な人が多く、私のストレッチでは少し物足りないようにも思えた。ただ体が柔軟なわりに、腹の力が抜けているため、体の強さというものは感じられなかった。(腹に力を落とす、入れる訓練が必要であると思われる)。また、今までもそうだったが、女性の多くが、肩甲骨が外へ開き、胸部を圧迫する姿勢であること、骨盤、恥骨周辺の動きが鈍いことをあらためて感じた。この現象は上野千鶴子さんではないが、やはり資本制と家父長制によって、女性を圧迫し続ける“女性性のこじつけ”が根の原因であると思われるため、ストレッチなどの前に、女性には男性になってもらい、男言葉で話をしたり(その反対も)するような、お互いの性へのこじつけを捉え直し、人間としてのスピリチュアルな部分を探っていくようなレッスンが必要でなないかと思われる。

 

前回までは90分くらいかけておこなっていたレッスンを一時間に無理にまとめようと試みた。やはり難しく、いつもより終わった後の一体感みたいなものかなかった。操体法と簡単マッサージをおこなったが、私自身の理解不足が原因で、短い時間で、うまく説明することができず、中途半端なレッスンをなってしまった。ただ、“こんなものだよ。”という導入の部分は伝えられたので初めての体験としてはよかったのではないかと思う。

 

あらゆる先生からのコメントが、ものすごく心にひっかかっているようで、「こうこうこんなふうにいわれましたが、どうなんでしょう」という質問が多かった。でも、すべて視野の問題で、落ち着いて考えると、いわれて当然であるし、みんな遠い遠い課題を抱えていることをわかって欲しくていっていると思うので、急ぎすぎだと(受け取る方が)思った。何をいわれても、今の自分に合ったトレーニングや課題をとりあえずやって欲しいと思った。

 

 

○レッスンメニュー、カンセリ内容

 

しぜんな歌い出しから感情の波に合わせて体を柔らかく使ってフレーズをつくっていく。パワーを意識し過ぎない。そういうことを、小柳ルミ子の「春のおとずれ」を使ってやりました。メロディは比較的早く覚えてくれました。そして何をやりたいかも、頭ではよくわかってくれていましたが、なかなか音としては聞き手が心地よく感じるほどにはなってくれませんでした。何も考えずに歌うところまでは難しかったようです。意図は理解してくれていましたが、それがしぜんにフレーズの心地よさとしては出にくかったです。それでもやるたびに、変化はみせてくれました。質問については、「理屈から入らないで」とお願いしました。また「質問するのを少し我慢してみてはどうか」といいました。

 

1.ストレッチ体操及び各種体操を行う。2.目を閉じ足踏みをし、体のバランスを確かめ、歪みに気づいてもらう。その後、個別の歪みの直し方を指示。 

 

1.アキレス腱踏み。2.肩甲骨ほぐし。(1、2ともに2人組で)3.操体法―気持ちいいと感じる方向に体を動かすことで体のバランスを整える。4.コンタクトインプヴゼーション。

 

自分たち自身が問題を解決するのを妨げていることが多く、それはだいたいにおいて、時間の使い惜しみだということを、結論として出した。 

 

 

歌で聞き手を気持ちよくさせるということを思って欲しいです。自分ががんばって、体に重みや疲れがあって、それで汗をかいて終りではなく、聞き手を心地よくすることを思って欲しいです。

 

レッスン終了後に胸を開く話をしていたら、とても興味深げにみんな聞いていたので、今度は胸を開くことについて多く時間を取るようにしたい。特に“黒人は、腰椎の4番と5番がくっついていて腰に弾力があり、ピックアップしているために肩甲骨が内側へ入り胸が開き、いい声が出ると思う”というような話をもっと聞きたいといっていた。

 

歌うときの姿勢について、ときに興味を持っているようだった。→自分の中ではだいぶ理屈ではまとまってきているので、今度、文章またはレッスンのような形で発表したい。 

 

 

longは、もう少したてに口を開けているつもりでいうと、きれいに出しやすいと思う。 

 

come home toはCやhで吐く息が弱いので、mに重みがありすぎて聞きづらくなっている。m はMuになってしまう傾向。 

 

Lの音、前歯の後ろにあてるか、あてないか、2パターンあり。音はまったく違うので、注意必要。まずよく聞くこと。 

 

声に関心があるわりには、体に興味のない人が多いように思われる。 

 

総じてだいたいの質問がこういうふうにやっていてもわかってもらえないという内容で、それはやっているのとできているのは別で、できていると思っているのにわかってもらえないという状況になってからが、本当の質問なのだと答えた。

 

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○レッスン内容

 

トレーナー5

話し声の延長線上にある歌/簡単で展開の少ない曲を使い、同じメロディの繰り返しの中、クライマックスはどこなのか、どの部分に感情の頂点をもっていくかを中心に学びます。(ワンコーラスの中では。フルコーラスの流れの中では、それをどう表わすか。)飾り気のない、しぜんな歌い方、声自体をよくしていくことの大切さを、よく聞いて感じとり、実際に歌って発見していきましょう。

 

ストーリーのある歌詞を歌ってみよう/詩から楽曲を読み込み、イメージをふくらませてみる。自分が読み込んだものが、歌うことによってどう変わっていくか。イメージとは、歌の中にどう反映されていくか。自分の世界を創る過程を体験しよう。

 

ことば(点)から、フレーズ(線)へ/日本人の平べったい歌い方から脱却するために、点で線を感じさせるフレージングを実際やってもらいます。このことは、私自身が研究所のレッスンで得た、最も大きなことのように思うからです。まず、音を一つに捉える。点で捉える。ことばを一つに捉える。このためにこそ、体や深いポジションを必要とする。そして、その次。「一つの音。これに対して次の音をどうするか。」という観点から、音色や方向性、展開といったものが生じてくる、といったものを感じてもらえたらよいと思います。

 

リズムを使ったヴォイストレーニング/リズムに焦点を当てながら、いきと声を使ったヴォイストレ-ニングをします。特に今回は、シンコペーションを多用したパターンを中心に、繰り返し練習しましょう。ひとつのメニューをじっくりと行うつもりなので、リズムを強化したい人、特に裏拍を感じるのが苦手な人は参加してください。リズムを楽しみながら、体に練り込んでいく内容なので、リズムに自信がある人もない人も、気軽にどうぞ。

 

声を出す/元気に声を出してみましょう。息を吐く→声を出すという、マンネリ化している今から、ちょっと、はずれてみましょう。

 

前回テーマである、「歌声は話し声の延長線上にある」ということと、「弱めに歌うとこすと強調するところの差を、キッチリつける」という部分をテーマにします。前回、歌い出しの時点で自分本来のしぜんな声を取り出せていない人が多かったので、そちらを重点にやってみます。話しかけるように入っていくことも可能な出だしの部分を選んで、そのときの自分の体の中の感覚と、それに対して何か気づいたことを具体的に一人ずつにコメントします。もし失敗するにしても、違う種類の失敗をして、試行錯誤してもらうキッカケになればと思います。特に、上半身にあまりにもガチガチに力を入れている人が、その負担を下へ下へ逃がしていける方向になるようにします。

 

音を動かす/音を“動かす”といっても、決して力づくで動かすのではない。使うべきところで体を使えば、あとはしぜんに“動いてくる”。メロディやリズムに制約されることなく、それらは利用すべき土台に過ぎない。そこから先に、ヴォーカリストならではの無限の可能性があることを、感じて欲しい。

 

HOTEL CALIFORNIA”(イーグルス) を歌おう/その1.ドラマーとして。 その2.ベーシストとして。 その3.ギタリストとして。/歌詞とメロディを覚えるだけでは、ライブになりません。ライブ感覚を磨くため、どのパートも別々にも同時にも、感じられるようにしていきます。

 

「音色(ねいろ)」なぜ深い息、深いポジションなのかということに対する、一つの答えです。人間の声の一楽器としての魅力を最大限に発揮するためにどうすべきか、考えてみたいと思います。すぐれたヴォーカリストの中には、すべてが入っています。強さ、弱さ、厳しさ、優しさ、温かさ、つまりその人自身です。そこから一緒に学んでみたいと思います。

 

現在の自分のレベルを、より素直に受け止めて、それと目標とする地点へのギャップを埋めていくために、どれだけ改善するべきところがあるか、各々が考えていくきっかけをつくりたいと思います。/そもそも、どういう気持ちでレッスンを受けにきているのか。/あこがれの歌や声と本来の自分のそれとは、似ても似つかないとして、それでも続けていく気持ちがあるかどうか。/本当の自分自身の内側から出てくる声を取り出すための、トレーニングにたどりつくために努力する気持ちがあるかどうか。(他人から見て、トレーニングとは思えないくらいの細かい部分から、何かを積み上げていけるか。)/無数にいる他人を押しのけて、自分が人前に出て3分という時間をもらう権利が、一体どこにあるのか。

 

体と心を解放する/1.体と心で自由に表現のできないと思われれる人。2.トレーニングや生活で、体や心のリラックスができない人。3.体と心の関係、体の各部の動きとそこへの意識を深めたい人。4.その他、気持ちよくなりたい人なら、誰でも。/最初は、自分の体の声を聞く時間(目を閉じて、体を感じ小さくゆする)を中心にする。足裏を押したり背中ふんだり、ゆっくり足の裏を感じながら歩いたりする。その後は、ストレッチとリラクゼーションを行ない、体をゆっくり伸ばしていく。ストレッチ体操に、プリントにある各種体操などを組み合わせてつくったプログラムを行なう。※持参できる人はバスタオル。

 

今一度、“息を吐く”という行為を見つめ直してみましょうお腹から息を吐くというのは、どこから吐いているのか。 体はそれに伴いどう動いているのか。 声に効率よく変換していくにはどうするのか。 普段していることを、ていねいに確認していきます。

 

どうしても毎日トレーニングが続けられない人。/何ヵ月もトレーニングを続けているのに、変化が感じられない人。/ある程度、変化はしたが、そこからかなり長く行き詰まって、これ以上深く追求するには、突破口がわからず悩んでいる人。/以上のようなことを、本当に質問したい人のための時間にします。

 

歌・音楽の捉え方、聞き方/覚えたメロディを声にするだけでは音楽にはなりません。音楽の中の典型的パターン(構成、始まり方、終わり方、コード進行、転調など)を、しっかりと感じられるようになることが大切です。さらに、パターンの通りに声を出すのでなく、いかに音楽として自分の声・体を通して外に出すかです。同じパターンでも、感じ方は人によります。自分だけのものを取り出すため、まずは基本的な捉え方を実感できるようにしていきましょう。

 

■NM30

話し声の延長線上にある歌/簡単で展開の少ない曲を使い、同じメロディの繰り返しの中、クライマックスはどこなのか、どの部分に感情の頂点をもっていくかを中心に学びます。(ワンコーラスの中では。フルコーラスの流れの中では、それをどう表わすか。)飾り気のない、しぜんな歌い方、声自体をよくしていくことの大切さを、よく聞いて感じとり、実際に歌って発見していきましょう。

 

ストーリーのある歌詞を歌ってみよう/詩から楽曲を読み込み、イメージをふくらませてみる。自分が読み込んだものが、歌うことによってどう変わっていくか。イメージとは、歌の中にどう反映されていくか。自分の世界を創る過程を体験しよう。

 

主に声と発声器官の関係を中心に解説していきます/声を自由に扱えない、高音を自在に出せないということは、生理学的にどういう現象が起きているのか。喉頭の圧力バルブとしての働きと声の関係。さまざまな引き上げ筋の存在。そしてそのためのエクササイズを実践します。特に声のことで伸び悩んでいる人、頭打ちとなっている人にお勧めのレッスンです。ヴォイストレーニングの理論をもっと深く理解するためにこれらの生理学を理解し、各自のトレーニングの指針となればと思います。30分が生理学の解説、60分がトレーニングとなります。/具体的エクササイズ/呼吸のエクササイズ/母音を使ったエクササイズ/ポルタメントを使ったエクササイズ/(特に今回は、中高音にいくのに声量を切り離すことによって、自由にピッチを扱えるようなメニューを中心に扱います)

 

課題曲の練習法/ステージ実習課題曲は、自分にとっての課題が何であり、今すべきことは何であり、どう突き詰めたらよいのかを知る絶好の機会です。曲を覚え、どこをどう歌うか決めて気がすむまで歌うほかに、何をどう練習したらよいのかわからない人、1曲をつめるとはどういうことか体験したい人は参加してください。

 

ロック、ポップスのノリ/曲にはすべて、ノリがあります。頭でリズムを数えたり、無理な動きでリズムをとっても、ノリを出すことはできません。いろいろな曲のノリを感じ、そこに入れるようになりましょう。聞き手がわくわくするような部分はどこか。それを自分で出せるように、ノリを体験し思い切り歌います。

 

ストーリーのある歌詞を歌ってみよう/詩から楽曲を読み込み、イメージをふくらませてみよう。自分が読み込んだものが、歌うことによってどう変わっていくか。イメージとは、歌の中にどう反映されていくか。自分の世界を創る過程を体験しよう。

 

前2回のテーマである、「歌声は話し声の延長線上にある」ということと、「弱めに歌うところと強調するところの差を、キッチリつける」という部分をテーマにします。前回、歌い出しの時点で自分本来のしぜんな声を取り出せていない人が多かったので、そちらを重点にやってみます。話しかけるように入っていくことも可能な出だしの部分を選んで、そのときの自分の体の中の感覚と、それに対して何か気づいたことを具体的に一人ずつにコメントします。もし失敗するにしても、違う種類の失敗をして、試行錯誤してもらうキッカケになればと思います。特に、上半身にあまりにもガチガチに力を入れている人が、その負担を下へ下へ逃がしていける方向になるようにします。

 

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<トレーニングQ&A>(回答は、トレーナー)

 

Q1.音程がとりづらい理由は、自分で発声にあると思うがどうか。

A1.もっている声を母音の使い方で無駄にしてしまっている。「ア」の発音がとにかく浅く、ひらべったいのが原因。しゃべるときはよいのですが、歌うときになると、母音がとたんにひらべったくなるくせがありました。「ア」が、よくあるロック調のうすっぺらい「ア」なので、しばらくは「オ」の母音で口の中を広く使う。

 

Q2.前傾の姿勢で息を吐いていると、ときどき前腹がものすごく圧迫されて痛みを感じるときがあります。これは、力を入れすぎているからなんですか。 それとも、毎日、息吐きを続けていると、そのうち感じなくなるのですか。

A2.痛くなることはありません。無理はしないことです。

 

Q3.イメージをそのまま声に出していくのであるなら、やはりそのイメージにあう音色(声)に無意識に変化するのでしょうか。それとも、それはつくっているだけなんですか。

A3.ことばでは意味をなさない問いです。答えようはありません。レッスンで。

 

Q4.体のバランスが悪い。どうしたら直るか。

A4.まず、どう悪いのかどこの力が抜けていて、体のバランスが崩れているかを、知ることから始めます。(目を閉じて、足踏みなど)。それがわかったら、あとは、体操によって歪みを整えていきます。

 

Q5.胸の力を抜きたいのですが、どうすればいいか。

A5.肩甲骨間を狭め、胸骨を前に出す胸骨体操を。

 

Q6.丹田を正しく感じて歌うことと、支えを下げることはちがうのか。

A6.丹田を正しく感じて歌えるということは支えが下がっているということ。ただ敷く感じるというのは、ただ、力を入れて固くすることではない。

 

Q7.エチュード以外の曲をするときも拍のアクセントを気にしますか。

A7.初めての曲を見る場合、拍子は曲全体の雰囲気をつかむ、とても重要なヒントになります。それ以外にも私たちは歌詞のあるものを歌うので、歌詞のアクセントの位置が必ず強拍に入っています。例外があるときは何らかの意味があるのではないかと考えます。

 

Q8.3度音程をとるコツは。

A8.和音でとる。もしくは間の音を歌ってみる。

 

Q9.息の支えのことでお聞きしたいんですけど、息を一定にコントロールするトレーニングの中で「声を出す分の息をやや意識して吸い込む」と書いてあるのですが、それをすると息の支えができるトレーニングになるのですか。

A9.息の支えなどについては、その意味がわかるにも、数年を要します。トレーニングはそれに近づくための一手段で、「~をしたから○○になる」とはいえません。しかし、何でもやってみることからです。

 

Q10.体から訓練するのがいいか、響きからがよいかわからない。

A10.よい歌い方ができて、はじめて歌うための筋肉は使われる。訓練をはっきり2つに分離させるのはどうかを思う。

 

Q11.声を出すときは、まったくのどを意識しないのですか。

A11.目的による。一概にいえることではない。

 

Q12.ブレスの練習について、ゆっくりでないとまだうまくできないが、早くやらないと効果はないのか。

A12.(口を閉じて鼻から吸い、鼻から出すという方法)早くできなければ、できるスピードでよい。筋肉がついてくると、次第に早くできるようになる。

 

Q13.「ラストワルツ」のリズムのとり方。レッスンでは表と裏を聞いて「イチ ニッ サン、イチ ニッ サン」でリズムをとるようにいわれましたが、「I wonder should I go」のそれぞれの頭の音が3連符の1番目と3番目だったと思うので、リズムで跳ねるように歌うことは、間違っているのでしょうか。

A13.歌い方に間違いがあるのではありません。どのようにリズムを感じていても、それが歌として外に表われなければ伝わりません。まず、曲の元になっているリズムが、歌のラインとは別に、体の中で動いていなければならないということです。また「跳ねるように歌う」ことと、曲がどういうグルーヴで動いているかというのは同義ではないので、わけて考えてください。

 

Q14.マイナースケールについて知りたい。

A14.ナチュラル、ハーモニック、メロディックの23種類がある。テキスト参照のこと。

 

 

<一般の方より>

 

Q16.楽譜で、半音ずつ上がっていくとか、下がっていくとかあるのですが、ピアノがないので、どういう風にあげたり下げたりすればいいのですか。

A16.小さなキーボード(パソコンでも代用できるかもしれません)を買うか、CD付きの本を使ってください。

 

Q17.練習したいのですが、まずどのようにすればいいかわかりません。腹式呼吸などができないと、次の章ができないような気がするので。この本は、各章ごと、できてから次へいくのですか。とにかく、なにから手をつけていいのかわからないんです。本にそったスケジュールみたいなものを作って送っていただけませんか。お願いします。やり方を間違えたくはないですから。それができるまで、2年でも3年でもやります。まわりに音楽教室とかもないので、本だけがたよりなんです。

A17.建前でなく本音で回答します。人に会わずして学ぶことはできません。誰もに共通のやり方、スケジュールなどありません。呼吸法ひとつでも完成などありません。まずは学ぶことができるということがどういうことかを本から学んで下さい。あなたがもしサッカーの選手になりたいとしたら、こんな質問をしますか。本当のやる気があればすでに手をつけているはずです。

 

Q18.メトロノーム4拍で4分音符=80 分音符=120とは、どのくらいでしょうか。(実践講座p22)

A18.書店で音楽辞典や楽典で調べてください

 

Q19.メトロノームがない場合はどうしたらいいのですか。

A19.代わりになるものがないなら、安いものでかまわないので購入してトレーニングした方が効果的です

 

Q20.母音のトレーニングで、アエイオウの口のあけ方は

A20.書籍に述べたことより詳しくは、実践してみないとわからない。

 

Q21.(実践講座p52)の中間の音が出てもよいという、中間の音とはなんですか。

A21.「あ」と「え」の間の音、「ae」という意味。

 

Q22.子音(実践講座p54)のK、N、R、L、「ラ」、V、F、W、Z、の意味がわかりません。

A22.英語の子音です。

 

Q23.曲を聞いて、何分の何拍子かをわかるには、どうしたらよいのでしょうか。2分の2拍子と4分の4拍子など、聞きわけ方がわかりません。

A23.よく聞くこと。手を叩いてみてください。またいろいろな拍子の曲を聞くことです。楽譜を買って、そこで拍子を知ってから曲を聞いてみましょう。

 

Q24.3連符とか4、5連符のリズムのとり方がわかりません。よい方法があれば教えて下さい。

A24.日本語の等時性(子音+母音 CV構造で同じ長さになる)を使ってみて下さい。<例>三連符「さくら さくら さくら さくら」など

 

Q25.練習しているのですが、自分の練習プランがよいのかどうかわかりません。

A25.練習方法や順番については、文章でのやりとりは不可能です(貴兄の状態もないようもわからず、責任をもってお答えすることはできません)。

 

Q26.「声を出す(吐く)分の息をやや意識して吸い込みます。」という部分がどうしても理解できません。

A26.ここの表記については、あまりこだわらなくてよいです。

 

Q27.本の独学だけではプロになれないのでしょうか。やはりトレーナーについてもらわないとダメなのでしょうか。

A27.独学とか、トレーナーにつくことのよしあしは、一言でいえるものではありません。貴兄が必要を感じたら、そう行動するかどうか、というだけのことです。

 

Q28.ヴォーカルの達人(基本ヴォイストレーニング)でわからないことがあります。後口蓋弓って何。腔洞ってなに。下咽頭腔って何。

A28.体の部分の名称です。これも勉強のうちですから、自分で、家庭医学辞典などで調べてみてください。

 

Q29.自分はプロのヴォーカリストをめざしているのですがまだまだ未熟者で納得いくように歌うことができません。2ヵ月くらい前からとりあえず毎日好きな歌を腹式呼吸を意識して歌っているのですが、うまくなったなという実感がなかなか得られません。歳ももう22ですし、このままではまずいという気持ちばかりが先行しています。このまま毎日腹式呼吸を意識して歌い続けていって歌はうまくなっていくものなのでしょうか。教えてください。

A29.これは、体力づくりをしたら、プロ野球の選手になれると思うほど、おかしなことです。

 

Q30.自分は声が高音が出なく、カラオケにいってもキイを平均4つくらい下げて歌っています。練習次第で出るようになるものなのでしょうか。 また出るようになるものであるならば、どういう練習をすれば出るようになるのでしょうか。教えてください。

A30.いろいろな著書をよく読んでみてください。やる気があるというのは、手に入る情報は、自ら全て知ろうとし、必要と思えば解決できるところに通うくらいの自己投資をすることです。

 

Q31.ブレストレーニングのアドバイスしてもらいたいんですけど、深く息を吐く"こつ"はのどを開けるということなのですか。

A31.ことばで答えると誤解や間違いを招く方の多い質問、というものがあります。「深い息」や、「のどを開ける」ということもその代表例で、指導者でも間違ってやっている人も少なくありません。それを正すのに何年もかかるのです。実際にやっている様子をみてしか、アドバイスは困難です。この質問に関しては「はい」とも「いいえ」とも「どちらともいえない」ともいえます。