ステージ実習コメント 1214
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【ステージ実習④「リコルダ」「アデュー」コメント3911】
「リコルダ」は難しかったと思います。一概にはいえませんが、声という武器をもてあましているような気がします。大ぶりをしすぎて、素振りでいうとそこの乱れです。これは自分の得意な曲なりでシャープに振るようなことをしてください。
前半に対しては、ポイントのズレがあります。盛り上げるべきところをはずして、そのあとに重点を置いてみたりしている解釈のズレです。全体の構成と展開での問題です。
1、2、3とあって、1で閉めておかなければ、2、3ではきちんと収まらないところを、3のところで閉めようとした部分が多いのです。最終的に決めるべきポイントの欠如、強く出さなければいけないというところで引いてみたり、引かなければいけないというところで、強く出して結果的に構成をわからなくしているような気がします。
両方とも、ひとつの構成をとっていたら、そのなかで終えていきやすい曲です。ですから音楽的な解釈とか、組み立てというのが大切です。そこで誤ってしまうと、なかなか声のなかでとか、感情移入でフォローできる曲ではないからです。
それから、声は音量を出して、アカペラで構わないのですが、最近、私は第三者に対してステージをやったときにどうかという見方をしています。声を出していると伝わるという勘違いがどこかで起きているような気がします。
より声があるのをセーブして、計算して配置している人に対しては、伝わるとしたら、心が剥き出されて、それに声が一致しているときで、そこに頼っていくのは難しいという感じがします。
言葉とリズムとの葛藤を経て、特に「アデュー」は、それをぎりぎりのところで出してきたものだったらよかったのでしょう。しかし、どちらかというと、妥協しているんじゃないかという気がします。どこかでだらしなさとか、閉まりのなさが出ています。大きく構えすぎたためにできなかったという場合はしかたないでしょう。これはスタンスを取り直すしかないのですが、ただ、そこの葛藤をきちんと経ないでは、やはり激しさとか、詰めとか、そういったところでチャックされてしまうような気がします。
心が入っていて、声が若干はみ出している場合はよいのですが、今回は構成とか、解釈の面に負うことで違う面での力が問われてしまったと思います。そこでうまく乗れないと、余計なものがついてしまいます。自分のなかで、歌っている中で、無理だと思ったら、あまり技として見せたり、余計なことをしない方がよかったかもしれません。好調な状態でこれを歌っていたときには、うまく乗れたのかもしれませんが、それが裏目に出てしまうこともあります。
そこでもってこれなかったときに、一般の人が見て、何でこんなことするんだろうとがっかりしてしまうと思います。私は今までの皆さんの作品のなかから、ああきっとこうやることで乗れていたんだろうと、よい面で解釈するようにはしています。
声を出していくことは、よいと思います。それもひとつのパワーです。ただ、そのことがストレートに何かを大きくし、歌い手の気持ちよさにはなっても、聞き手の方に働きかける強さとは比例しないということです。人にどう聞こえるかということに配慮があるかということです。
声のなかでちょっとだらだらしているということが感じられました。それから調子がよかったというよりは、いろいろなことがここで起きたので、その人のなかのフレーズ処理の力というのが見やすかったような気がします。マイクをつけ、歌のなかの流れでもっていくから細かいところまでは見ませんが、お互いにいろいろな参考になったと思います。
歌っているにも、そこに5つフェイントをかけて歌っている人もいれば、フレーズの処理の仕方のギアを5段階くらいもっていて、切り替えている人もいるということです。歌う人にとってみれば、構造とか、骨組みが丸々とみえてしまうことは、命取りになりかねないところがあります。それが見えたときに、自分の曲だったら切り替えられると思いますが、そこまで練りこんでいる曲でないと、あたふたしてしまいます。
自由曲と課題曲のどちらを先に歌ったほうがよかったというのも、一般的には、課題曲、自由曲とやってほしいのですが、それがどうしてもネックになる人は、逆も許しています。そういうことも全部含めての勝負だということで、考えるようにしてください。
いろいろな展開をしたときに、投げたものをどこかに受け止めようと思って放り投げているのにも関わらず、放り投げられていない。言葉でも同じです。特に「が」とか「い」で伸ばそうとしたときに、そこでいろいろなことが起きて、それが音色としてとれているのはよいのですが、それを拾えないで、響きなり、あるいは声として収めきれないでやってしまうと、そこで乱れて、声の状態も悪くなります。歌の均衡が乱れてしまいます。
③のクラスでは、均衡で歌っていてもしかたないから、まずその均衡を破って、その破ったところで出てきた均衡にでまとめるようにいいました。それは皆さんでも同じで、声を出して、そこではみだすのはよいのですが、その先にそれを完全に処理するような均衡感覚のようなもの、要は、これも計算はされていなければいけないのですが、その計算が破られるように、計算されたものであって欲しいのです。
そこのもうひとつ先で、やはり客よりも先のところ、あるいは深いところでつかまえてみる余裕というか、そういうバランスがもてれば、歌で自分は勝ったといえるでしょう。それがもてないときは、乗りそこねたとか、どうも歌いきったけれど、何か伝わった実感がしないということになると思います。
とにかく、いろいろなことがステージでは起きます。それに左右されず、それを生かしつつ追い込んでいくことです。さらに失敗のシミュレーションもしておくべきだと思います。特にこの曲は、覚えにくいし、間違いやすいです。
進行は、最初に構成を見たらわかるような歌だと思います。3段階くらい構えておいて、ここで間違えたらと、間違えることを前提にしてはいけませんが、きちんと勝負どころをつかんでおいてほしいということです。
自分のスタイルなり、フレーズを持っている人は、それをどういう風に組み合わせて展開するかということです。こういう曲の場合は、新しいことにどんどん気づいていってほしいのです。また、そういう決め手がない人は、そういうものを持っている人たちから、同じフレーズのなかでどれだけのことが、可能性としてできるのかということを勉強して、今日は少し大ぶりな感じがしましたので、もっとシャープにきちんとまとめつつも、まとめすぎないように持っていってください。