一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

“歌う”ということ    491

“歌う”ということ

 

合宿が終わった。

そこで感じたことは、ここのところ、歌以前の問題ばかり―。

イメージ、体、息、声の一体感、呼吸、リズム、音感―

そのまえに、人間、魂、生命、しぜん、宇宙、創造主。

 

声ができたら、歌が歌えるわけではない。

声が歌わなくてはならない。

息が歌わなくてはならない。

体が歌わなくてはならない。

心が歌わなくてはならない。

 

ポピュラーが歌いたいなら、ポピュラー、

つまり、多くの人と同じく“生活”し、

そこから真実をくみあげることだ。

その生活から逃げて、

純粋に歌の世界を築こうったって誰が耳を傾けようか。

 

会社や仕事や家庭など現実が嘘だという人は、歌も嘘だ。

声や技術をいくら極めたって、永遠に歌は現れない。

 

歌自体には真理などない。

その人の生き方に真実があるかどうかだけだ。

 

誰もが聞いて、心打たれるのは、歌の世界でなく、

歌った人の生きている世界だ。

それを支えるための技術と声にすぎない。

 

初心回帰。

 

お寺の鐘の音を

犬の遠吠えを

心で聞くところから始めて欲しい。

 

自省を込めて。