課題曲「君を歌う」「この愛に生きて」
課題曲レッスン 「君を歌う」 340511
ここを考えよう
1フレーズを練習する際、常に声の純化を心がける
練習するフレーズ
「ああ、苦しい寂しいあなたへの歌に 愛していたのと ひと言こたえておくれ」
声の力だけで感情表現をすることを心がける
自分の表現ができているのがどうかの判断の基準を、ひとつずつ作っていって欲しいと思います。自分の評価基準を作っていけば、モノ真似や、聴いた通りの歌い方にならないはずです。
いまの歌では、歌い始めた途端に入っていた感情が、抜けていました。どれだけ読みの練習をしても、歌に隙があってはダメです。
歌を聴いて、少しムーディーで、おおらかに歌っていて、と、表層ばかり捉えています。そのために、この歌い手が楽々歌っているように聴こえます。
でも、プロとアマチュアの体は全然違うのです。体の使い方が同じことなどありえません。実際、このフレーズだけでも汗をかきました。
皆は、今3回やって汗ひとつかきません。
体ができていないのに、体ができている人より楽なはずはないのです。上面だけなでていると、いつまでたっても本当の表現にはなりません。
この前のステージ実習(A)は、それなりのものが出てきていたと、本人たちは結構、満足していたようだけど、とんでもない。判断基準の違いで、かつてないほどひどかったです。授業を振り返って、こちらも反省しています。
段階はありますが、もし100%のうち10%でも表現できるのなら、その10%を絶対に殺してはいけません。表現できる10%の力を全て(100%)出せばよいのです。100%のものを薄めて1%表現していて“0”になったら、いったい何が伝わるというのでしょう。
歌詞もそうです。「ああ、苦しい寂しいあなたへの歌に」と言って、聞いている人が、何かそこに感じますか。ことばでも、メロディーでも同じです。自分が表現できることを完璧にすることを自分でやっていないと、単に歌いこなすだけのマシンになってしまいます。
これは「君を歌う」という歌です。スケールの大きな歌です。体ができていて余裕を持って歌える人が歌っているので、力一杯情熱的に歌っているように聴こえません。そのため、似たような感じに歌って、ノラリクラリとなるのでしょう。
これと同じフレーズをとろうとするところから間違っています。この人と同じ寸法でとろうとしたら、私よりも体がいります。低いキーなら、とれるかもしれません。でも、ここよりキーが少し高ければ、それだけ体を使います。そういうことを判断してください。
声のポジショニングみたいなものが胸にあって、そこを捉えます。そこを完全にキープしていて、息をきちんと送り込む。本当は、きちんととれている声はとても不安定です。どこにもよりかからないし、どこにも何もつきません。
フレーズが大きいと、どうしても声が細くなったり絞られたりしがちですが、体の力のバランスが、そのまま感情表現になります。こういうのが大人の歌です。
この歌を悲しそうに女々しく歌ったら、どうしようもありません。朗々とした声で大きく歌うのは簡単なのです。ここで目指すのは、声の力だけで感情表現することです。これは、高い技術です。
レッスンでは、“楽器と同じように、声をある程度動かして使えるようにし、その上でことばを乗せていく”ということをやりましょう。ことばをメロディーに乗せる方法もあります。が、体の強さを持たないでやっているのと同じようになってしまします。そうではないのです。
今は「乱暴」でいい
音域的にそんなに高くも低くもないので、できないはずがないのにできない。何ができていないのかに気づいていかないと、いつまでもそのギャップを埋められません。
それは仕方がないのです。10か20ぐらいはとって次に進んで、1年ぐらいたったときに50くらい理解できて、そんなかたちでも、やっていかないといけません。
では、もう1度やってみましょう。ワケがわからなくても表現しないとダメです。
例えば、フォームのできた大リーガーのバッターが、フワッと振ってスタンドに打球を入れているようであっても、そのマネをしてはダメなのです。
ムチャクチャでも何でもよいから、全力でぶつけて、とにかく前に飛ばすということをやらないといけません。そうでなければ遊びになってしまいます。
だから、基準を作ってください。要は表現できればよいのです。大人みたいな表現をしなくてよいのです。まずは、思いっきりやってみてください。大きな声で歌えということではありません。体中で一所懸命にやること。ひとつのものをグッとまとめて相手にワッと渡し切るのです。
それは乱暴な場合もありますが、今はよいのです。ことによっては、乱暴な方が体が使えます。
今から気取ってやると、その辺のカラオケのおじさんみたいになるので気をつけましょう。
体の力を目一杯使ってやって力をつけるのは、今しかできないことです。ただし、喉ははずしてください。だから、難しいのです。
課題を自分のスタイルにひきずりこむ
今は、うまくまとめることより、より広げて体全体でしっかりと受け止めて一致させることです。なるべく、歌ではなく自分の体があっての表現だというスタンスに立って見てください。
技巧的な細かい点では、いつも言っている通りです。日本語の並び方が難しい歌です。
「歌に」の「に」あたりは入らないですね。それから、「愛していたのとひと言」で、夕行やカ行など邪魔なのが随分入っていて、「し」や「い」や「う」など、オンパレードになっています。
これができてたら、日本語の発声発音に関しては問題ないのではないかと思います。
他の歌で完全にできている人でも、この歌をやると、引っかかってしまうでしょう。それ以上の体の強さを持たないと、日本語のことばを転がしていくこと自体、難しい歌のひとつだと思います。
役者さんになれというのではありません。役者は化けますが、ヴォーカリストは自分のものを出さなくてはいけないのです。それがオリジナリティーです。
何か与えられたとき、自分のスタイルにもってきて、すぐに勝負できるようなものを授業のなかにキラリと出していくことです。そして、伸びていって欲しいと思います。
同じ歌をBクラスでも、取り上げています。 VB 360511
歌詞のいいにくい難しいフレーズ→言葉をかえて練習してみる
歌をもう1回聴いてみればわかりますが、最後の「歌に」のところの「に」のかすれ方は、きちんと発声できている人は上になればなるほど響かなくなるのです。遠いところ、あるいは小さな声に聴こえるようになっていきます。
それから、「あ」の位置が浅いですね。「あ~あえおえ」では、なるべく深いところでとっていかないともっていけません。そして、最後「あおえあ~」。息を使い切ってはダメです。呼吸のバランスとフレーズの配分みないなものもうまく考えていかないとできません。
そこから下りていきましょう。
それで最高音が出て、「あなたへの歌に」の「た」の音ですね。
これもややこしいですね。「愛していたのに」(ミミミー、レファミミー、レ)
「ああ、苦しい寂しいあなたへの歌に 愛していたのと ひと言こたえておくれ」
「歌に」の「に」がやはり難しく、つっかかっていってます。この見本の歌がかすれているのは、喉を絞めたりかすれているのではなく、同じポジションをとろうとしているから押し出しているだけです。
だから、自然とそうなるのはよいけど、真似るのはダメです。それと「歌に」、結局ひびいてコントロールできない発声になってしまいます。「あなたへの歌に」を深くとらないからです。
では、母音に変えてみましょう。
「あ~あえおえ、あえおえあえおえあおえあ~、愛して」
(あ~くるしい、さみしいあなたへのうたに~、愛して)
どこかで言いかえた方がよいでしょう。全体的に、もう少し体力が欲しいですね。自分なりにメリハリをつけてください。上っていって落ちてくればよいだけの歌です。
たかか半オクターブしかないフレーズです。ですから、そんなに難しくないでしょう。
フレーズを通して声の線を一本描く
最初の「あ~あえおえあえおえお」くらいで、もう口の中が疲れ果てています。勝負しないといけないところは「あおえあ(「のうたに」に対応する部分)」。ここで一番体を使わないといけないのに、逆にそこで放しています。そうではなくて「あおえあ」、ここでキチッと入れて、「愛していたのと」と出さなくてはいけません。逆になっています。
少し短くしましょう。「あなたへの」で「歌に」をはずしたいので、「あなたへのあおえあ」にします。意味は考えなくてよいです。「あおえあ」あるいは「あえおえおえあ」、だから「歌に」のところだけ「あおえあ」に変えるか、今と同じにするか、ややこしいなら「あおえあ」を2回でもよいです。
「あおえああおえあ~愛していた〜」
ワンフレーズでできれば一番よい。
「あなたへの歌に」
原語だとその辺で切るのでしょう。切ったからといって、力尽きていくのではダメです。
「あなたへの歌に愛していたのと」
このへんの「愛し」の入り方の「愛」はまだよいのですが、「していたのと」のところが結構雑で、口の中になって声の線が消えてしまっています。一瞬、線は見える人もいるですが、最初から最後まで、あるいはその最初出るところの前のところから、最後「いたのと」、次の「ひと言」というところの前まで、くっきりと線を描いていくことです。それは、声になっていなくても構いません。
「歌に」の「に」のところできちんと入れておいて、広げていって、そこから「あ」のところにきちんと持ってこなくてはいけません。この「愛して」のところで、きちんと言い切れないで泳いでしまうところに持っていくと、歌全体が流れてしまいます。
「ひと言こたえておくれ」も、本当は「おくれ」のところで盛り上がるのでしょう。その後に落ちますから。ですから、息とフレーズと自分のことばのリズム感覚がピッタリしないと、なかなか押し出すにも押し出せないし、フレーズを持たせるにも持たせられない。どこかで流れが滞ってしまうのです。
基本的なベースの歌い方というのは、こういう歌い方です。出せる音域での音の処理の仕方が違っています。要は、自分の体の中でひとつにつかんだものをきちんと息で送っていって、それが感情と一致していく。だから、あまり「寂しい」とか「苦しい」とか、そういうところで感情を入れようとしないのですが、自分の体の一番大きなバランスの中で、それが聞く方に感じられるように表現できるようにしてみてください。
これくらいのフレーズでやってみると、練習としてはよいと思います。これくらいの長さの練習、あるいは、これ以上に長くしてトレーニングしてみてください。
「なにもかも見えない〜」(ラシドミレドシラ)
ほとんどの人が、「か」のところで響きにきたり、そのポジションに移って音をなくしてしまう。それに関するトレーニングは、「がげぎごぐ」の「ぎ」、「ぐ」をうまく処理することでやっています。
日本人の「い」や「う」はものすごく浅いので、いくらでも口先でつくれます。
「か」や「た」もそれに近い音です。ところが、つくった部分を放してしまうと声がなくなってしまうのです。
だから、いつまでも英語が発声できない。英語でいうと間違ってしまうのです。発音は正しいけれど発声が間違いなのです。深いポジションをもたないと、こういう言葉は本当にはいえません。
「なにもかも」の、「か」のきっかけのところだけとれれば、「かぁ」の「あ」の中では入るはずです。「あおいえあい」のトレーニングでやっていることです。苦手な音は集中的にやらず、ごまかしごまかしトレーニングのなかに巻き込んでいくとよいでしょう。「なにもかも見えない」の母音のところは、
「あいおあおいえあい」。これは「あいお」が言いにくいです。
テヌートのやり方も同じです。一番深いところで押さえておいて、上の方で音を保ち、やわらかく切る。ただ、全部口先ではなく、体の方で切るということです。言葉の音をおいていくという感覚です。おくまえに、おくところの線を自分でつくっておかないといけません。それがフレージングの基本です。
フレーズの捉え方
「あー、苦しい、寂しい」→「あ~く~さ~」
「あー苦しい寂しい」
これは言葉でそのまま言ってくれた方がよいでしょう。「さびしい」でも「さみしい」でもどちらでもよいです。
何だか高校生の演劇みたいですね。なり切る必要はありません。こういう歌の場合は特に第三者的に歌い上げる場合が多いので、感情移入するより、ワンクッションおいて感情を構成した方がよいでしょう。声の面から言ったら、そのまま息の流れで言った方がよほど楽です。歌はものすごく大きなフレーズをつくっているので、少し違います。
「ああ」と言っているなかで「苦しい」と捉えていくことです。
「ああ、苦しい、寂しい」と口先で言っても、全部感情から離れていきます。自分の感情と一致させる、自分の体の動きとこの感情の流れとを、ひとつの動きに一致させるということです。だから、息と声の深いところでの一致が原点なのです。ここで大きくつくっておくことができれば、入っていけます。フレーズという考え方を少しずつわかっていってください。
「ぁあ」なのか「あぁ」なのか、「苦しい」の方が情感が出ても、気持ちのバランスとしては「苦しい」でしょう。歌ではなく言葉ということで言っても、らしくなってしまわないことです。
「あー、苦しい、寂しい」は、簡単にすると「あ~く~さ~」、これだけです。その中に言葉がきちんと詰まってはみ出さないことです。ところが、「あ~く~る」になったり「ああ苦しい」になったり、そういうはみ出しがあると、フレーズはきれいに流れなくなってしまいます。だからつくってはいけません。
音階で言うと「レーシミレレ」です。その繰り返しです。4度くらい下がります。「あー苦しい寂しい」こうなるとだめです。そうならないようにするのがフレーズです。
これもさっきの感情をなるだけ生かして、音を処理することです。自分のキーの中でよいです。
息の流れからすると、「あー苦しい、寂しい」ではなく、「あー苦しい寂しい」というひとつの流れです。息継ぎをしてかまいませんが、息継ぎの仕方でつくってはいけません。日本人が歌うと、どうしても「ああ、苦しい、寂しい」、「はあ、はあ、はあ」というようになってしまいます。それではダメです。「はあー」と、ひとつの流れの中でやっていくことです。
これを表面上で聞くと、楽々歌っているようにみえます。実際楽々歌っているのでしょうけど、そこが体の違いです。50キロ持てる人が30キロ持つのと、20キロしか持てない人が30キロ持つみたいな差があります。だから、今20キロしか持てなくて30キロ、その差が50キロなんだとわかって欲しいのです。それがヴォーカリストに求められる耳のよさです。
長いフレーズでやると「あー苦しい寂しい」と全部体から離れてしまうので、こういうときは、フレーズを縮めてかまいません。
「苦しい」。「く」が体にしっかりと入って、その後に「う」が続きます。「く、る、し」の、「る」も入っています。「し」はこれでよいのですが、「し~い~」となるのはよくありません。普通は「し~」のなかにつくります。そういうのは全部フレーズなわけです。日本語を一音ずつ切り離さず、リエゾンのようにしていくのです。「くる~、くる〜」や、「るし~、るし~、し~」という形ですね。「苦しい」ではなく「く・る・し・い~」とやってはいけません。
日本語はそうなりやすいので、歌に向いていません。ただ、全部母音がついていますから、英語よりも音楽的に処理できます。けっこう音楽的な言葉なのです。大切なのは、「く」でも「あ」でも、そこでこれだけフレーズをつくっておくと楽だということです。「あ~」でも「く~」でもよいし、「苦し~」、そのなかでつくらないと、どんどん「く・る・し・い〜」みたいに離れていきます。それをなるだけひとつに捉えて、「苦しい」と出すのです。フレーズをつけると、それだけ体の力で息を吐かないといけないのです。
体を使う方向で練習をする
もっと単純に簡単にやろうとしたら、イメージを「あ~苦しい」の中に全部入れていくことです。それが「あ~」じゃだめです。入り方が違います。縦に通すと、効率のよい発声になります。
「あ~、苦しい」だとものすごく体がいりますね。それに対して半分くらいの体で同じ音が取れます。これが強くなってしまうと、どんどん空間の中の隙間が空いてきます。
「あ」は大きくなくてよいのです。ただ、その中に「寂しい」までを全部入れていくこと。だから「あ~」っていうのをなるだけ深いところで言うのがポイントになります。「ら」や「あ」などを、日本語の中で深くしていくことが非常に大切です。そのへんが一番違うのです。
「アドロ」、「アルディラ」、全部そうです。「アルディラ」、「アドロ」こうやってしまうと、どんどんマイクのエコーで言わないといけなくなってしまい、後が大変です。サビでいきなり体を使おうとしても無理な話です。低い音はなおさら体を使いますし、ピアニシモはもっと使います。中間音で完全に体が使うことができれば、体ができたということです。
トレーニングをしてくると、高い音というのは、体を使いますから、どうでもよいわけです。ひびきの使い方、バランスを考えればよいのです。ひびきに乗せていたら、バンドの方で盛り上げてくれて、もつわけです。大切なのは、すべてに体が入るか入らないかです。きちんと歌ってる人はみんな入れています。
「あ~、シミレレ、シミレレ、シミレレシ」
ここで最後の「あなたへの」(シミレレ)で、「の」の音が下がるだけです。「あ~苦しいあなたへの」。3つしか音を使っていません。「レ~シミレレ、シミレレシ」こう入りますね。「あ~苦しい寂しいあなたへの」。
フレーズが多くなれば、それだけブレスも早くならないとできません。「あなたへの歌に~」は、一番難しいところです。「う」と「た」と「に」というのは全部、はみ出しやすいことばですから、ほとんどできないところです。全部合わせて5音くらいしか使っていませんし、聴いたところ全然上がり下がりなく聴こえます。相当低いところに聴こえていますが、実際合わせてみると、けっこう高いところで歌っているのがわかります。
それは、同じポジションで完全に握っているからです。「歌に」のところ、「ラララ~」のこの最後の音だけが、ポジションを同じにしているために、体をそこで使って音にしていない。深い息でやると全部そうなんですけど「ハイハイハイハイハイ」こうなるんですね。「ハイハイバイ・ハイハイ」、これが音にならない。「ハイハイハイ」、「歌に」、音にならないから、「う、た~に~」、こういう半分音になったような音になってくるんです。
もともと息の深い人は、そうやって音域をつくっていくから確実にできてきます。日本人はごまかしてやってしまう。音域は取れているのだけど、いつまでたってもその音域がものにならない。こういうところは発音の勉強にもなるのですが、発声の形で勉強してください。
こういう簡単なフレーズを繰り返し繰り返し練習し、自分の中に肉づけしてボリュームをつけていってください。結局、ポジションもフレーズも同じことです。応用の仕方はいろいろありますけど、体が使いやすい、シンブルにひとつで捉えてひとつで出せるというイメージで体を変えていきましょう。
ですから「アドロ」という言葉のところでも、聴きながら何回もやっていれば相当な練習になると思います。どこでもよいのです。「アドロ、アドロ」、これだけを1分やったって相当汗をかけますし、だいたい頭がクラクラくると思います。もちろん、頭クラクラさせる勉強じゃなく、体をしんどくさせる勉強をするのです。
そのとき喉に余計に力を入れたりしないように、リラックスすることを忘れずに。「ア~ド~ロ~」こんなことやっていると、どんどん変な力が入ってきます。喉を楽にして、体のほうに力を加えられて息が吐けるのであれば、そういう息がよいと思って下さい。
「あなたへ」のあの「へ」で力尽きています。
もう少しフレーズをきちんと取りましょう。1~2音下げても構いません。
ポジションだけとって、できたら3割くらい力を抜きましょう。フォームもできてるし、7割方そこでよいのですが、3割余計な力がついています。その3割を除いて7割で打った方がまだよいくらいです。普通であれば、5割くらいできていて3割余計なのがついてるから、その3割を除いて、もう2割、3割つけなさいとか言うのだけれど。今のようだと、そこのポジションをとれば、除いた方がよいですね。
今はその段階に入るところです。発声というのは、声をとれるようになってしまえば、あとはそれを邪魔する要素をどんどん取り除いていくことです。同じことができるのなら楽な方がよいのです。その方が声自体が浮いてきます。
今はどちらかと言うと押していて、そういう歌い方もありますけどキツイですよね。はっきり言って、これでステージで10曲は歌えません。トレーニングですから、筋力つけるためにはそれでよいですけど、ひとつ間違えると喉のところにきます。今は少し外れてますが、さっきやったのはけっこう咽にきていました。これはやっぱりよくありません。
もう一度、「ラ」でも言葉でもどっちでもよいです。「あ~苦しい寂しいあなたへの歌に~愛していたのと〜」言葉にした方が入りますね。
フレーズ練習の中で声の純化を試みる
もう少し体の自然な流れでフレーズをつくってください。今ので言葉を全部捉えてるし芯も全部あるのですが、動き自体がギクシャクしています。コースをちゃんとど真中に当てているけれど、そこに余計な力が入りすぎてる感じです。そこを同じコースで同じフォームで打つ。
「あ~苦しい寂しいあなたへの歌に~愛していたのと~」
そうですね。息の流れはそれでよいでしょう。
「た」が少し気にかかるのと、「あ」が「あ~」とこっちの出方ですね。それはきちんと捉えておいた方がよいです。「あ~苦しい」、きちんとこういう捉え方です。「あ~苦しい」こういう形になってしまっています。
「あ~苦しい寂しいあなたへの歌に~愛していたのと〜」
フレーズをつけたいのだったら、「あなたへの歌に~愛し」そこのところで体を使い切る。
そのへんで完全にコントロールしていけばよいです。「あなたへの」のところで少しとりすぎですね。「歌に」の方でとるのであれば、「あなたへ」はくっつける。「あなたへ~の歌」とこうやるんだったら「歌」の方を中心にしてください。両方で取ろうとすると、大変です。
「あ~苦しい寂しいあなたへの歌に~愛していたのと〜」
そのへんの形です。簡単でしょうから、「ソミラソンミラソソミラソソミソラシ~ラララ~……」こういうフレーズを練習して、声をどんどん純化させていくことです。雑音やいろいろなノイズが入っています。歌の場合はそれでも魅力的であったり、よりブルースであったりもっと体使って、もっと深く入れる人もいるし、もっとハスキーにする場合もあるけれども、効率から言うと、余計なものを取って、それ以上に真芯にあるところの声だけできちっともっていくことを目的にしたい。
あまりやりすぎるとクラシックぼくなってしまうから、息は残しておかないといけません。そのへんは自分の中でどこを正解にするかです。音程がとれていて、今のようにリズムがとれて、フレーズが見えている部分にはどれも正解です。自分がやったものが正解になるわけです。最終的に自分にフィットする感覚はどれかというのを選べばよいのです。
ただ前半のはだめですね。ぎりぎりアマチュアとプロの接点のとこで選ぶのだったら、後半やったなかから自分でパターンを選んでください。どれが一番自分が満足できて、お客さんにインパクトがあるのか。前半のは声の問題がまだ大きすぎます。だからその分2~3割抜いてみました。
発声は、今のをさらに雑音を取っていった方が有利です。「た」が聴こえないとかどうこう言われますから。ポピュラーの場合はマイクでいくらでも聴こえるので、それで十分です。
ただ、発声をより完成していくとか、さらに音城とか音量にキャパシティーを拡大していきたいのであれば、今の真芯をきちっと握っていくことです。それで表現できるところまで耐えること、そのことで、それだけできることも多くなっていきます。こういう練習を中心のメニューにそろそろ入れていくとよいでしょう。
ーー
課題曲レッスン 「この愛に生きて」 340611
VA
考えよう!!
模範歌唱を分析して、自分の歌に活かす
練習するフレーズ
「愛は輝く 君と生きる今 愛は喜び震える この胸
(ミミミーレミレド ラシドレシドレソx2)
追込みと魅せ方
「アカントワテ」を3回。(ドドラレー、レレシドー、レ・レーシードー)
3回目がエンディングです。
「ア」でフェルマータをつけて、「テ」で伸ばします。この通りでなくてよいです。自分のエンディングにしてください。自分の呼吸、あるいは体の一つのリズムとどのくらい合わせていくかで、どこで切ればいいかが決ってきます。日本語でも、やってみましょう。最後のまとめ方をどこでつめるかは、まかせます。
「その日に」
「日」のところで深くつかめるかということと、「に」でひびきを殺すか、ひびきかせるか。それは体のフレーズで維持できるかどうかです。日本語の場合は、縦につながりにくいので、数段落ちています。かわるがわるやっていくしかありません。参考にミルバのを聞きましょう。
途中のサビの部分
「その日に(アカントワテ)」(ドドラレーレレレレ#ー)
前くらいのフレーズをとってもよいです。ここで一度終わって、頭の「この愛今こそ」に入ります。
「その日に」の繰り返しで、2回目を強調します。メロディーだけでなく、いろいろなとり方があると思います。1回目を暗くとって、2回目を明るく輝かせるとか、外側に出させるとかです。この感覚をどうとらえるかです。「日」が一番大切です。追い込んでいって魅せて、「に」で締める。「アカントワテ」は、原語なので転がしていけばいいです。
「愛は輝く 君と生きる今 愛は喜び 震えるこの胸
(ミミミーレミレド ラシドレシドレンX2
愛は輝く 君と生きるその日に その日に」
ミミミーレミレド ラシドレラシドドラレー レレレレ♯ー)
重点というのは、これと同じくらいになります。少なくともここで3回切れて、決め手の4回目で展開するわけだから、これが5回目になるくらいの大きさをもっていかないと、「その日にー」の後「この愛」と下りてこないですね。
なんとなく続いているようなかんじにしまいます。全体的に暗くなってきましたが、歌詞をよくみてください。光が射してくるような方向です。自分で構成を考えて下さい。8×4ではありません。
下がつながっているのはよいのですが、フレーズのなかにスパイスがないといけません。自分の体力にあった構成を考えなくてはいけません。そろそろオクターブをシェアにいれていってみてください。
ーー
課題曲レッスン 340611
VA
□練習するフレーズ
「この愛 今こそ捧げよう 君だけに
命の全てが燃え尽きて消える日があるとも AH~」
愛は輝く 君を生きる今
愛は喜び 震えるこの胸
愛は輝く 君と生きるその日に」
(ソソソー ファミレド ドレミレド ドレミレミー
ドレミーソー ミソラードー ラドミレドミレドレ レ#ー)
ミミーレミレド ラシドレシドレソ
ミミーレミレド ラシドレシドレソ
ミミーレミレド ラシドレラシドラレー
レレレレ#ー)
ミルバの歌唱に学ぶ
曲の構成
「この愛~ おさえる
君だけに
燃え尽きて~ 盛り上がる
~あるとも キープしつつ
Ah~ 経過音
愛は輝く~ サビ、大盛り上がり
*ミルバは、「愛は」から音色を明るく変えています。
「命の」が、×「いのちーのー」
「いのちのー」
「命の」で、×「いのちの↑」
「いのちの↓」
「Ah~」 半音で進行しています。
半音をとるときは、少し高めにとったほうがよいでしょう。
「あるとも~Ah~愛は~」 (ゼーマーイオー)で練習
音域が広く、1オクターブの2音上まであります。
ミルバは、オペラ的な歌い方をしています。そこは、まだ難しいでしょう。
ラストに向かって広がっていく独特の盛り上げ方をしています。
上の響きを使ってもよいですが、体を横ではなく、縦に使ってください。
とにかく、言葉をはっきりさせることが大切です。
VB 340607
練習するフレーズ
「この愛 今こそ捧げよう 君だけに
命の全てが燃え尽きて消える日があるとも AH~」
(ソソソー ファミレド ドレミレド ドレミレミー
ドレミーソー ミソラードー ラドミレドミレドレレ#(ミ♭)
トニー・ダララの歌唱で
曲の構成
4つのフレーズです。
「この愛~ おさえる
君だけに
燃え尽きて~ 盛り上がる
~あるとも キープしつつ
Ah~ サビ、大盛り上がり
(Mah~)
注意点
「命の」が、×「いのちーのー」
「いのちのー」
「命の」で、×「いのちの↑」
「いのちの↓」
「あ」、「き」、「る」が日本語の浅い発音にならないように。
音域が広く、1オクターブと2音上まであります。
お手本の歌は、少し喉を絞めているところもありますが、体の力でカバーしています。これだけのフレーズで、喉に全くこないようにしようとしたら、響きに逃げるしかありません。
響きに逃げてもよいですが、平たくならないように注意してください。
日本語自体が前に捉えることばですが、口よりことばが前に出ないこと。体でもっていって、体に入れておいて、ポジショニングで出す。そのうえで響いていくのはかまいません。