一流になるための真のヴォイストレーニング

福島英とブレスヴォイストレーニング研究所のレッスンアンソロジー

お話6題   471

お話6題

 

 

その1

 

歌がうまくない子が聞きました。

 

「神さまは、こんなに素晴らしい声の楽器くれたのに、

どうして歌をうまく歌えるようにしてくれなかったの」

「その楽しみは、君に残しておいたのさ」

 

それは、あなたが、自分の声で歌うためです。

歌が心のなかに生じるまで、待ちなさい。

待つ心が、より豊かな声を育んでくれます。

 

自分の努力で、何もないところから

勝ち得た最高の価値の喜びを知ることのできるように

神さまは、そう、はからったのでしょう。

 

急がないこと、急ぐことだけがあやまりなのですから。

 

 

 

その2

 

「歌は好きですが、その歌で表現する必要を感じないのです」

 

歌がなければ、ただの犯罪人が、

歌える犯罪人であれば、

何のための犯罪?

裁くのは法?

誰の法?

と声をあげることもできます。

それが大切なことなのです。

 

世の中、正しいことも正しくないことも、

人が勝手に定めてきただけ、

それを心の声で聞いて、

声にして生きるためです。

表現とは、生きるということです。

 

 

 

その3 

 

歌は決して君を裏切らない。

 

器用にいくつものことをこなせても、

たった一つ、絶対に強いものをもつ人の何かにはかなわない。

うまく立ち回り、楽に要領よく生きて、得しているつもりでも、

たった一つ、絶対と思い込んで賭けている人の生き様にはかなわない。

 

なのに…

 

時間も空間も自由に超えられる今、

僕らは時間も空間も自由でなかった人、

それは人類にとってほとんどの人、

のことを考えなくてはいけない。

 

つかの間、わずかな空間に、

彼らは自由を手に入れた、

自分の力で、そこに音楽を奏で、歌が聞こえた。

 

生きている苦しみを歌った、

歌に生きている幸せを感じた。

生きている幸せを歌い、生きた。

愛する苦しみを歌った歌に、

愛の不実を曠き、生きた。

 

人生を、年老いることを、子どもたちを、

愛を、憎悪を、怒りを、歓びを、

哀しみを、恋を、夢を、希望を。

 

歌い手の息吹きを感じ、自分の鼓動を確かめた、

歌い手のため息に手首の血管を見た、

歌い手の恍惚とした表情に背に流れる汗を感じた。

 

歌い手が吐き出した歌が、

体に満ちたとき、

世界やら人間やら、生やら愛やらがいっぺんに回転し始めた。

 

脳も胸も心臓も逝っちゃって、

やっと落ち着いたとき、

君は口ずさみ始めていた。

歌い手として。

 

歌は決して君を裏切らない。

 

君がそのときの心を

いつまでも持ち続けることができたら…

 

だから、結局、歌えないのは、人間が悪い。

もっと強く愛していたら、歌は離れることはない。

わずかな一生。

なのに…

 

 

 

 

その4 

 

資格

 

 

今、社会的にもうまく対応できず、

一人ぼっちで生きる力の根源を求めて、

歌う必要に迫られて

ここにいる人もいることでしょう。

 

ただ歌っているだけでは自慢にもなりません。

エリートサラリーマンとか

カラオケのうまい人の方が人を集め、楽しませられます。

 

しかし、感動させるには、マイナスの2乗(マイナスの人間×マイナスの環境〉が

大きなメリットとなるのです。

 

奇跡の日、大逆転の日がきます。

武器をもつこと、それが声。

武器を使えることと、それを歌のなかで使ってはじめて、

人前に立つ資格が得られるのです。

ヴォーカリストにも資格があるのです。

それは自らが自らに設けるものだから、尊いのです。

 

 

 

 

その5 

 

何を変えているのか。

 

しっかりと声を獲得している人は、

あたりまえのように、トレーニングしている。

 

声そのものが、日本人離れしているようになっていく人は、

すべてのレッスンにエントリーして、吸収している。

間違ったこと、余計なことも生じない。

やり尽くしてしまうからだ。

 

同じ時空でも、

こうも違うものなのである。

 

どの世界も、人の3倍やった人しか残らない。

 

少しくらい、今の日本で歌がうまいと思う人は、

もし本当にすごくなりたいなら、

心を入れかえて励むことである。

 

プロのヴォーカリストは、

プロの声をもっている。

 

一声であなたは、何を変えられるか。

そのまえに何を変えようとしているのか。

 

 

 

 

その6 

 

何が欠けているか。

 

ヴォイストレーニング以前の問題で、伸び悩んでいる人が多くなった。

体と耳というトレーニングの前に備えておく、この二大要素を取り入れる、

でも、そのまえの二大条件を加えなくてはいけないように思う。

 

なぜ歌うのか、

何を歌うのか。

 

昨年から、アーティストの歩みを追体験させている。

 

多くの国で多くの音楽、歌そして、アーティストに感動し、眠れぬ夜を過ごした。

それと日本とのギャップ。

そのはざまで、今も迷っている。

 

前進するかぎり、迷いはとけない。

それはよい。

そこから与えられるメッセージ。

 

そのために全てを賭けていくという思いと、

限りのない自己への挑戦

それが、初めの一歩。

 

欠けているのは、感動と意欲、狂気と熟。

 

その人がいるから熱く生きていける、

生きている熱い自分の思いを伝えたい、

そのためにどんな努力も惜しまない。

 

世の中に多大の影響を与えたアーティストたちに触れてみて欲しい。

案外とすんなりと、井の中での焦りは消え、

大海へ出られるかもしれないよ。